イマジナリー・フランス娘とおばさんの夢
大きくなったらフランス人になりたい。
将来の夢を聞かれたらそう答えていた。おそらく高校生くらい(?)からもう将来のことを聞かれなくなる年頃まで。30代くらい?怖い、怖い。
特にフランスに思い入れはないが、これはフランス人と結婚してーみたいな国籍の話ではなく、トリコロールのボーダーシャツにロールアップしたデニム姿で、トートバッグにバゲットを無造作に突っ込み颯爽と歩く金色の髪の乙女(?)になりたかったのだ。たぶん。自由でおしゃれ、みたいな概念としてのフランス人に。
夢と呼ぶには、随分ふわっとしている。
でも、将来の夢なんて知るかよーわかんないよー。な私の中で一番HAPPYな願いだ。もちろん、その場の空気を読んで教師になりたい等のそれらしい目標も言ってきたかもしれないが、どちらかというとフランス人になりたい方が圧倒的に熱量があった。普通に憧れるもの。そういう意味では、長い間いい夢見させてもらったよ。ありがとうイマジナリー・フランス娘。
ただ、今ならこの夢が少し的外れだったと分かる。
正解は、イギリス人。惜しかったね、お嬢さん。あれから〇十年、結局フランスにはそれほどはまらずに生きてきたわ。
スリム系の黒いパンツにDr.Martinを履いた、目の周り真っ黒のナチュラルボーン・パンクな乙女。いいじゃないか。まぁ、そもそもおばさんは乙女になれないから、目の周り真っ黒おばさんは避けたいけど(何の話?)真面目な話、私はイギリスが好きだ。
最初にして最後(現時点で)となったイギリス旅行は、2020年3月のはじめ、コロナ禍前夜。日本中が見守ったクルーズ船の集団感染と、ヨーロッパ中でドミノ倒しのように起きたパンデミックの狭間という、今考えると微妙で絶妙な時期に行ってきた。憧れのイギリス。出発のギリギリまで迷ったけどキャンセルはしなかった。その時の私の判断は、周りの人に「信じられない」「非常識」的なことをチクリと言われたこともあったし、実際にそうなのかもしれないけど、我ながらナイスだった。イギリス旅行で心に吸わせた栄養が、その後のコロナ禍を過ごす私を生かしたと思う。
1人で行けるほど海外旅行に慣れていないので、団体ツアーを申し込んで行ってきたのだけど、イギリスの何が好きって、穏やかで素朴な感じ。
同行してくれたバスの運転手さんは、礼儀正しくてちょっとシャイな感じのおじさんで「イギリス男=Cute」が、うん、わかるという感じだし、パブでもどこでも友達同士で集まってキャッキャしている若者たちもどこかかわいい。少し色のない風景と、田舎のクラシックな石造りの家も素朴で好き。有名どころを短期間で回るツアーであまり自由度は無かったけど、旅行中のイギリスは好感しかなかったな。
それに、イギリスを舞台にしている映画やドラマも大好物。
ラブ・アクチュアリー、プライドと偏見、ダウントンアビー、sense8…。特に、ダウントンアビーはイーディスの衣装が好きすぎる。あと、ハイクレア城の階段を手すりをゆっくりなぞりながら下りたい。プライドと偏見の海を見下ろす崖にも立ちたい。sense8のロンドンの丘をヘッドホンでWhat’s Upを聴きながら散歩したい。ラブ・アクチュアリーはねぇ、ロケ地は覚えてないけどちょい役が有名過ぎでエモい。
ああ、今さらイギリス人にならなくていいけれど、今度はフリープランでイギリスに行きたいなー。ロケ地巡りでごっこ遊びしたおすのが夢だわ。ダーシー様のお屋敷でプライドと偏見ごっこしたい人、私の他にもいるよね?
誰か円高にしてくれないかなー。
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