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エネルギー使用量を国連データから調べてみました

 国連の種々のデータがcsvでダウンロードできるので、エネルギーの使用量を調べてみました。
 目的は、「EUが中国製EVに追加関税だそうです」の記事を書いたときに、「EUって偉そうなこと言っているけど、自分で沢山エネルギー使ってるのでは?」「彼ら人に偉そうに言うだけで、本気で環境なんて考えてないでしょ」と言う疑問です。
 一応、数字で確認しておかなければ駄目だと思いました。


国連のデータについて(くどいので飛ばしてOK)

UNdataは色々なデータが簡単にダウンロードできます

 国連のデータは、ホームページから簡単にダウンロードできます。
 しかも、CSV形式でダウンロードできるのでデータ解析が楽です。
 人口とかエネルギーとかの主要なデータはフロントページからダウンロードできます。

 世界合計や地域(Asiaとか)が国と一緒のカラムにあるので、若干扱いに注意が必要ですが、変なエクセルデータしかダウンロードできない日本政府のホームページより何万倍も使いやすいです。
 余談ですが、日本の総務省の選挙結果データは、俗に言う「紙エクセル」で作られており、データ解析が事実上不可能です。

 このあたりは、関西大学の方々が参議院の選挙結果をデータベース化されています(危機感を持ったのでしょう)。
 しかし、最新データが2013年となっていて、更新されていないようです。

エネルギー関係のデータをダウンロードしました

 UNdataからEnergy production, trade and consumptionをダウンロードしました。
 2023年のデータにアップデートされているようです。

UNdataのホームページ

 そのままでもPowerBIで見える化できますが、同一カラムに国と地域が混在しているので、あらかじめPythonで新たな「Division」カラムを作って「all」「Areas」「Countries」の3分類を追加しています。
おおむね以下のようなデータ構造です。
Year:1993年から2020年のデータ
Series:Total supplyやSupply per capita等のデータ
Countries:国名(一部地域もあります)

 エクセル等で整理する場合、Seriesの「Total supply」だけ抽出して整理する必要がありますが、PowerBIの場合はそのままでもグラフ化できます。
 なので今回は、そのままのデータでグラフ化しています。
 その代わり、「スライサー」機能でチェックボックスを作ってSeriesを選択しています。これを実施しないと違ったデータの合計や平均値となってしまいます。

各カラムの内容

エネルギーの使用量等の比較(お急ぎの方はこれだけでOK)

Total supply(総供給量)

 Total supply(総供給量)を比較してみます。各国の使用量みたいなものでしょう。
 国別で2020年のデータを選択しました。
 最もエネルギーを使用しているが中国で約20%、次が米国で15%、3番目がインドで7%、4番目がロシアで6%となります。まあ、大国がエネルギー使用量が多いことになります。
 ヨーロッパは小国が沢山あるので、それぞれの国の絶対量は小さいです。
 品質管理の考え方だと、「大きいところから優先的に対策を取る」のが王道ですので、これら大国のエネルギー使用量をなんとかするのが先決です。
 噛みつくなら、「中国」「米国」「インド」「ロシア」に噛みつけ!です。「どうせ怖くて、噛みつけねーだろ」です、少なくとも私には無理です・・・。

各国の2020年のエネルギー Total supply 出所:UNdata

Supply per capita(一人当たり供給量)

 Supply per capita(一人当たり供給量)です。
 こちらは、先進国と原油供給国が大きいことがわかります。
 グローバルサウスの国々が先進国を批判するのも納得のデータです。
「偉そうなこと言う前に、贅沢すんじゃねーよ(エネルギー使い過ぎなの!)」もごもっともです。

各国の2020年のエネルギー Supply per capita 出所:UNdata

時系列変化 Total supply(総供給量)

 時系列変化をみてみました。
 世界全体では、2020年にわずかですが減少傾向になっています。
 これ、各国の努力でエネルギーが減ったのでは無く、コロナの影響だったりします。
 景気さえ無視すれば、エネルギー使用量を減らせると言う証拠のような気がします。CO2対策なんかより、こちらの省エネルギーの方向が根本対策なので何倍も良い気がします。

エネルギーの年間推移 Total supply 出所:UNdata

 地域別のデータでは。やはり中国を抱えるAsiaのエネルギー使用量が格段の伸びを示しています。それでも、2020年は減少しています。恐るべし、コロナです。
 一応、先進国が主体のヨーロッパと北米は横ばいです。

エネルギーの年間推移 Total supply Areas毎 出所:UNdata

時系列変化 Supply per capita(一人当たり供給量)

 地域別の一人当たり供給量の時系列変化です。
 北米は一人当たり供給量を減らしていますが、まだまだ断トツでエネルギーを使っています。アメリカ人はエネルギー使いすぎです。
 オセアニアとヨーロッパも一人当たり供給量は減少傾向にありますが、グローバルサウスが多いアジア、ラテンアメリカ、アフリカに比較するとまだまだ高いです。アジアなんて中国を含めてこれですので、如何に先進国が贅沢にエネルギーを使っているかが解ります。

エネルギーの年間推移 Supply per capita Areas毎 出所:UNdata

 個別の国を見てみます。

 ヨーロッパのフランスです。最近ニューカレドニアで暴動が起きたように、結構植民地の名残のフランス領を持っています。
 UNdateでもFrench GuianaとFrench Polynesiaがデータであったのでグラフにしました。明らかに、フランス本国の一人当たりエネルギー使用量が大きく、フランス領は低いです。
 そりゃ、これだけ違うと独立運動もしたくなりますね。そんなところに中国やロシアが付け込む余地がでてきます。

エネルギーの年間推移 Supply per capita フランス関係 出所:UNdata

 ヨーロッパの国々を適当に抽出してみました。
 一応、先進国として「フランス」「ドイツ」を、中間国として「イタリア」「スペイン」を、途上国として「ポルトガル」「ギリシャ」「ルーマニア」を選んでみました。
 予想通り、一人当たりエネルギー使用量が違っています。
 「ルーマニア」なんてアジアに毛が生えた程度です。
 ヨーロッパといっても一枚岩ではないようです。
 これを、欧州議会でまとめようとするのは結構無理がありそうです。
 だって、エネルギー使用量が少ない国に対して「EVを100%にしてね」なんて通じないです。

エネルギーの年間推移 Supply per capita ヨーロッパ(適当抽出) 出所:UNdata

 北欧4か国を抽出してみました。
 世間的には「北欧は環境先進国!」のイメージですが、どうしてどうしてエネルギーを結構使っています。「デンマーク」以外の3国は「フランス」や「ドイツ」よりも一人当たりでは沢山使っています。冬が長いからかもしれませんが、EVなんかに力を入れる前に、もう少し省エネを進めた方が良いと感じます。
 それに、ノルウェーなんか北海油田持ってますので、まずはそれを止めてから偉そうなことを言ってほしいです。

エネルギーの年間推移 Supply per capita 北欧4か国 出所:UNdata

まとめと感想

 エネルギー使用量をUNdataを元に調べてみました。
 予想通り、先進国はエネルギー使いすぎです。昔で言うと「王侯貴族」の生活だと思います。
 まずは、自分たちのエネルギー使用量をグローバルサウス並みに下げてから偉そうなことを言う必要があると思います。
 マリーアントワネットが「パンが無ければケーキを食べれば」と言って断頭台に送られたように(史実では無いそうですが)、「CO2を減らせば温暖化が抑制できる」「そのためにEVだ」「再生エネルギーだ」と言われたって、そもそも使っていない国々にとっては「そもそもエネルギー使いすぎ!(俺たちにはパンが無いの)」「EVとか再生エネルギーはコストが合わないの!(ケーキはそもそも買えないの)」で先進国が断頭台に送られる羽目になりそうです。

 そもそも、先進国の人達もこの事実は理解していると思いますが、一度覚えた「王侯貴族」の生活は捨てられないのが現状でしょう。たぶん、グローバルサウス並みのエネルギー使用量だと国内をまとめられないでしょう。

 さらに悪いのは、「環境」「CO2」を自国の利益に結び付けようとする勢力が居ることです。EUなんてその親玉のようなものだと感じています。
 開き直っている「米国」や「中国」の方が素直な国に思えてきます。

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