松竹梅(日本酒)の「昴」が美味しかったです。
日本酒が好きです。20代後半から30代まで、1年で360日以上飲んでいました。おかげで当時はガンマGTPが1000を超えてしまい、1年くらい断酒したこともあります・・・。今も数値は高いですが、週に1、2回にセーブして飲んでいます(本当は断酒が良いのですが・・・)。
良く飲むのは入手しやすい「菊水」「八海山」「久保田」あたりの普通酒が多いです。
大吟醸や純米吟醸も飲みますが、比較的高価なのでそんなに頻繁には飲めません。
今年に入って、「変わったお酒無いかなー」と近くのスーパーを物色していたら、松竹梅の「昴」というお酒が目につきました。
松竹梅の「昴」
今回、「昴」に興味を持ったのは、パッケージに
・フルーティーな香り織りなす生貯蔵酒
とあったからです。紙パックのお酒ですので、値段もお手頃!(いつも飲んでいる菊水より安かった)
遥か昔の松竹梅って
松竹梅の普通酒は、昨年家を建てた時のお祝いに沢山(3升以上)いただいたので結構な期間飲んでいました。その時の感想は「まあ、飲めるなー」「昔に比べて、美味しくなったなー」でした。
40年以上前の話ですが、松竹梅や白鶴といったメジャーなメーカーの日本酒は甘ったるくて嫌いでした。(二日酔いが酷い気も・・・)
その頃地酒が流行り出したころで、会社の先輩に「選ぶ酒が悪い!!」「成分表に糖類が入っているのはダメ、酸味料は論外」と教えてもらい、「雪中梅」「越乃寒梅」あたりを飲ませていただき、日本酒が好きになりました。(その結果、ガンマGTP1000越えですが・・・)
その方によると
・コスト削減で醸造用アルコールを添加(辛口にするために添加するのもあるので、ここまでは許容範囲)
・アルコールが多くなって辛くなりすぎるので糖類を添加(日本酒として許容できるか微妙なレベル)
・糖類が多くなって甘すぎるので酸味料を添加(日本酒としてダメ)
なので「できるだけ糖類や酸味料を添加しないで醸造時に出来た成分だけのお酒の方が良い」、とのことでした。
実際には、そのころの一般人の好みが「甘い」「味の濃い」ものだったのかもしれません。メーカーはそれに合わせただけかも。
今では、糖類や酸味料を添加していないお酒が多くなっています。純米酒や吟醸酒の方が普通酒より多く見かけますし、普通酒でも糖類を添加しているお酒の方が少ないです。
酵母が吟醸香を沢山出すらしい
フルーティーな香りは吟醸酒の代名詞です。
吟醸や大吟醸はお米の外側のたんぱく質が多い部分を削って雑味を消すのですが、酵母もフルーティーな香りを出すものを使い、この相乗効果で「雑味が無く、フルーティな香りのお酒」になります。
「昴」では酵母に「通常の吟醸酒の2倍以上の香り成分を生成する」「独自開発酵母」を使っているとのことです。
確かに「昴」は、フルーティな香りのお酒でした。
改めて、香りが味に大きな影響を与えることが解りました。
確か「かき氷のシロップは味は同じで香料と色だけが違う」だったと思います。お酒も同じような効果があるようです。
鼻から抜ける香りを含めて味わっている感覚です。
味もスッキリ
ただ、香りが「フルーティ」なだけではお酒としてのバランスが悪くなります。
前述のように雑味があると飲み口が重くなります。安いお酒だと、「舌にまとわりつく」「舌の横側が刺激される」感じを受けることがあります。
なので、雑味を抑えないとせっかくの香りが生きないと思います。
ところが「昴」では米を磨いていないのに(精米度は非公開みたいです)雑味が少なかったです。
どうも、「生貯蔵」で雑味を抑えているようです。このあたりの仕組みは良くわかりません。
ただ、比較的安いお酒なのに吟醸酒と似たような飲み口になっていました。コストパフォーマンスが良いと感じました。
ちなみに安い吟醸酒や大吟醸酒だと、「吟醸(大吟醸)なのに雑味を感じるなー」ことがあったりします。
技術力が凄いなー
日本酒の技術革新が凄いと感じました。
最近だと「獺祭」の旭酒造さんに代表されるように、酒造に科学を適用していく試みがされています。
松竹梅(宝ホールディングス)は日本有数の蔵元ですが、「同じように技術開発してるのだろうなー」と感じました。
「あまり米を磨くことなく(低コストで)」
「吟醸酒に近い風味」
「大量に安定して供給できる」
お酒を提供しようと頑張っていると感じました。(有難いことです)
日本酒のメーカーは上場してる?
私は株をやるので、「日本酒メーカーは上場しているか?」「業績はどうなの?」と興味を持ちました。
日本酒のメーカー
日本酒のメーカーを調べてみました。
最近のデータが無かったですが、有力な企業は以下の通りのようです。
・白鶴酒造
・月桂冠
・宝ホールディングス(松竹梅)
・大関
・日本盛
https://www.nikkankeizai.co.jp/images/uploads/20220401-193930-390117601.pdf
この中で上場しているのは「宝ホールディングス(2531)」だけでした。
アルコール関係の上場企業
そこで、アルコール関係で上場している企業を調べてみました。
・サッポロHD(2501):サッポロビール、焼酎(こくいも、こいむぎ)等
・アサヒ(2502):アサヒビール、ニッカウヰスキー等
・キリンHD(2503):キリンビール、フォアローゼス等
・オエノンHD(2533):焼酎(ビッグマン、博多の華)等
やはりアルコール関係は、上場企業は少ない感じです。アルコールは上場になじまない可能性がある気がします。
とりあえず、上場5社の比較をした結果を示します。
やはり、アサヒさんとキリンさんが規模が大きいです。
宝ホールディングスさん(松竹梅)はこの2社に比べると規模が小さいです。
規模が違うと先ほどの業績比較等は見にくくなるので、宝ホールディングスさんのみを抽出した図を示します。
宝ホールディングスさんは、おおむね堅調な経営だと思います。
ただし、予想配当利回りだけで見ると、キリンさんが3.5%、アサヒさんが2.9%に対して宝ホールディングスさんは2.3%と見劣りします。
これだと宝ホールディングスさんは買いにくいです。
日本のお酒市場
国税庁の「お酒に関する情報」に日本のお酒市場の情報がありました。
日本市場では、ビールが221万KLに対して日本酒が41万KLと約2割の規模です。
この情報で特徴的なのは、日本国内のアルコール関係の数量が減少傾向にあることです。つまり、国内だけに目を向けた場合、市場の大きな伸びは期待できないことになります。
したがって、売上を伸ばすには輸出が必要になります。
輸出金額ではウイスキーが501億円、清酒が411億円と国内の酒類シェアとは大幅に異なっています。
日本のウイスキーが海外で人気なのは肌感覚で分かります。山崎がこんなにも入手できなくなるとは、思っても居ませんでした。今や、スコッチやバーボンの方が安く手に入ります(今や私には高い日本産ウイスキーよりもスコッチウイスキーで充分だったりします)。
日本酒も海外で人気のようです。日本酒メーカーもこの波にうまく乗れれば収益を伸ばせる可能性があります。獺祭は海外でも人気と聞いています。
宝ホールディングスさんも伸びる可能性ありそうです。
実際、個人投資家向けの資料を見ると海外市場に注力しているようです。
こうなると、若干魅力が出てきました。
まとめ
松竹梅の「昴」が安くて美味しかったので、調べてみました。
・「昴」は吟醸香を2倍以上出す酵母を使用している
・「昴」は生貯蔵で雑味を少なくしている可能性がある
・結果として「昴」は吟醸酒的な風味を低コストで作れている可能性がある
また、日本酒を製造しているメーカー(蔵元)は非上場が多く、松竹梅を作っている宝ホールディングスさんのみが上場していることがわかりました。
日本国内のアルコール市場は減少傾向で、国内だけを対象とした場合は大きな成長は見込めない市場であると考えられます。しかし、海外では日本産のウイスキーと日本酒の売上が大きく、この2種類は成長の可能性があることがわかりました。
ウイスキーが当たっているサントリーは非上場ですし、有力な日本酒を作っていて上場しているのは宝ホールディングスさんのみです。
ちょっと宝ホールディングスさんの株を買ってみたくなりました。