デフ・レパードはすごい!〜英国が生んだダイアモンド・ヒーローズ〜:オジ&デス対談 第9弾 Vol.1
この記事は、カエルのぬいぐるみ「オジサン」と私の夫「デス・バレリーナ」が対談形式で映画や音楽について語る「オジ&デス対談」シリーズの第9弾です。
前回(第8弾)の対談では、米国のハードロックバンドBon Joviの魅力を中心に据えつつ、ハードロックやヘヴィーメタルに対する偏見や雑な論評への反論をお届けしましたが、約1年ぶりとなる今回の対談では、英国のハードロックバンドであるDef Leppardの意外と見落とされている気がする独自性についてなどを語っていきます。Vol.1では、Kアリーナ横浜で2023年11月に行われたモトリー・クルーとのジョイントライブの話を中心にしています。
ファンの方には「そうそう!」と頷きながら読みつつ、「いや、待て!ここが語り足りてないぞ!」と指摘していただければ嬉しいですし、ファンではない方には、この記事がデフ・レパードやハードロックと出会うきっかけになってくれたら…と思います。少々長めの記事ですが、よろしくお付き合いくださいませ。
なお、バンド名やアルバムタイトルがアルファベットのものとカタカナのものが混ざっているのは、ぱっと見た時に読みやすい方を優先させた結果です。
デフ・レパードとの出会い
デス:よろしくお願いします。
デス:アメリカのHuluで制作されて、日本ではDisney+で配信です。
デス:デフ・レパードはBon Joviのレーベルメイトでもあるし、ともに80年代のハードロック・ヘヴィーメタル(以下、HR/HMと略す)全盛期を駆け抜けた盟友バンドとも言えるしね。
デス:そうです!
デス:そうそう。
デス:そこはオジサンから語ってくれてもいいよ。
デス:いや、だってさ、モトリー・クルーとデフ・レパードのジョイントってなったときに、当初はどっちかというとオレがモトリー・クルー担当で、れっどさん(珈音のこと)がデフ・レパード担当みたいな感じだったでしょう?オジサンは、もともとはれっどさん家のコだしさ。
デス:でも、まぁ、オレから語ってもいいけど。
デス:順番的にね。
デス:うん、そうだね。1995年頃だよね(Bon Joviの『クロスロード』は1994年)。
デス:『Vault』が最初だね。さっきも言った通り、ちょうど、あの頃って、Van Halen(ヴァン・ヘイレン)とかAerosmith(エアロスミス)とか、ハードロック界の大御所がベスト盤をよく出してた時期なんだよね。
デス:しかも、どのベスト盤もけっこう売れててさ。1990年代と言えば、あの「グランジ・オルタナ全盛期」なわけだけど、「ほれ、HR/HM系もバリバリ売れてましたよ」っていうね!
デス:で、オレもBon Joviの次くらいにデフ・レパードの『Vault』を…学校サボって聴いたりしてました。
デス:発売当時の中3の頃とかにね(笑)。なので『Vault』を聴くと今でも中学の思い出が蘇ります。
ライブにおけるデフ・レパードの強み
デス:で、デフ・レパードのスゴさなんだけど、まぁまず去年のライブに関して言うと、想像以上にパフォーマンスの完成度が高かったよね。
モトリー・クルーもデフ・レパードもどっちもメンバーによっては還暦を過ぎてたりするわけだから…
デス:あと、あんなド派手な赤いジャケットが似合うジョー・エリオットもすごい。
デス:でさ、HR/HMってのは、ロックの中でも体力勝負っていうか、演奏するにしても、歌うにしても、わりと体力も必要とされるジャンルじゃん?だから、実際に見るまでは、メンバーの年齢とかを常識的に考えると、ちょっと厳しいっていうか、大変だったりもするかなーって思ってた。とはいえ、まあそれを差し引いても充分に楽しめるだろうねって感じで行ったんだけど、いやいやデフ・レパードのライブは年齢とかほとんど関係なしにものすごく完成度が高かった。もちろんモトリー・クルーもとても良かった。
デス:うん。さっきも言ったけど、もともとはオレの方がモトリー・クルーをよく聴いてて、逆にデフ・レパードはれっどさんの方が好きって感じで。それで、れっどさん的に「先にデフ・レパードだと私はそこで気持ちが燃え尽きちゃって、後のモトリー・クルーはあんまり盛り上がれないんじゃないかなぁ」って言うんで、れっどさんの意向を尊重して2日目に(笑)。
で、二つのバンドを続けて観たことで、こう言っては何だけど、デフ・レパードの格の違いみたいなものを痛感させられた、っていうか…。どっちかというとモトリーびいきだったオレが見てもね。
デス:そう、モトリー・クルーもすごく良かったんだよ。ここは強調しておきたい。ただモトリー・クルーも凄いけど、デフ・レパードはさらに凄すぎた。モトリー・クルーという比較対象が無かったとしてもね。
デス:モトリー・クルーは、かつては、一旦トラブルが起きると、バンド全体がそれにちょっと振り回されがちだったバンドなんだよね。リーダーのニッキー・シックス以外は出たり戻ったりが多かったりとか。それもモトリー・クルーらしさとも言えなくもないけど。
逆にデフ・レパードの場合は、問題が起きてもその都度その都度対処してうまく建て直して活動を続けてきたって感じだから、そこら辺、デフ・レパードの方がプロのバンドとしての足腰がしっかりしているんじゃないかな。
デス:それが演奏とかにも反映されているっていうか。
デス:そうだね。
デス:そうだよね。コーラスの厚みとかね。
デス:うん。あのライブを観に行った音楽ライターのひととかのレポートを読んでも、だいたいの人が「デフ・レパードの方がすごかった」っていうようなことを書いてるんだよね。モトリー・クルーも良かったけど、やっぱり粗いところもあって、デフ・レパードの完璧さってものを痛感させられた、みたいなことを言ってるライターの人とかがけっこう多かった。
デス:それは、もともとモトリー・クルー推しでデフ・レパードにはあんまり興味なかった人なんじゃない?
モトリー・クルー:かわいさと意外な真面目さ
デス:トミーが満面の笑みで「(日本語の)ヤバーイ!」を連呼したりしてかわいかったよね。
デス:あ、そうなんだ(笑)。
デス:へぇそうなんだね。英語ヒアリング能力が低いオレは気づかなかった(笑)。
デス:(笑)。まぁ、モトリー・クルーはデフ・レパードのようにちゃんとプロフェッショナルに徹しているバンドじゃなさそうに見えるし、実際そういう側面はあるんだけども、でも、あれだけもともと破天荒な不良集団として名を馳せたグループにしては、けっこう努力もしてんだよね。
ああいうバンドって「真面目に努力なんて下らねえ!ロックなんてその場の思いつきで適当に鳴らせばいいんだよ」とか言いそうな空気出してるけど、実際にはモトリー・クルーはそういう努力嫌いのバンドではないんだよね。それは、アルバムを出す度に着実に成長してたことからもわかるし、グランジ・オルタナっぽく変化した時代も、思いつきでやりました、っていう程度ではなくて、ちゃんと作ってる。
デス:うん。ヴォーカルがジョン・コラビだった1994年リリースの『Mötley Crüe(モトリー・クルー)』のことね。
デス:うん、そうだね。ヴィンスが歌うバージョンも改めて想像すると案外しっくりくる。
デス:そうそうそう、そうなんだよね!
デス:そうなんだよ。
この前のBon Joviの対談でも話したけど、80年代のグラムメタルって言われたバンドたちの中でも、今でも活動してて若い人たちにも名前が知られているようなバンドってのは、単に出てきたタイミングが良かったとかルックスが良かったとか売り方が上手かったとかだけじゃなくて、音楽的に同ジャンルの他の人たちよりも一つ二つ頭抜けてるみたいなところがあるんだよね。
デフ・レパードのヴォーカルのジョー・エリオットは「NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)と呼ばれたバンドの中で、今でも残ってるのは俺たちとIRON MAIDEN(アイアン・メイデン)だけだ」と言ってたけど、これもデフ・レパードとメイデンが傑出してたから。
デス:そういう音楽的に肝心なところをね、HR/HMを馬鹿にしてる連中ってのは、全然分かろうとしない。分かるほど聴かないから。そして彼らはピンからキリまで想像だけで十把一絡げに論じている。
デス:そうそうそうそう。60~70年代にヒットしたロックソングもそうだし。
デス:そうなんだよ。
=Vol.2に続く=
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