オススメ映画を語ろう:オジ&デス対談第4弾 Vol.4
お互いのオススメ映画の話は終わったものの、『ヘレディタリー』という「家族」の出てくる映画の話をしたところから、家族を描いた映画や日本映画についての話に…。わりとぐだぐだした駄話です。
最後にこの対談収録後に、さっそくお互いに勧められた映画を1本観てみているので、その感想文をオマケにつけてあります。(『ウォーリー』感想byデス&『ゲット・アウト』感想byオジサン)
「家族」とはなんなのか
デス まぁ、あとは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』みたいにさ、今日的な家族観、血縁でも属性でもなく、寄せ集めでも仲間意識や絆があれば「家族」になれるっていうさ、そういう物語も多いよね。で、古くは『東京物語』のように、逆にね、血縁関係があっても家族ってのはこういうものでしょ、「家族」は幻想に過ぎないんだよってことを描いた作品もあるし。
オジサン そこで突然小津安二郎もってくるあたりが映画マニアっぽいですね。
デス でもね、『東京物語』はなんだかんだ言って好きだし、家族映画的なモノを見るときには思いだしちゃうんだよね。連想して比較してしまって言うか。ま、家族映画…あのさ「家族映画」って言うとさ、なんか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいな家族みんなで楽しめる映画みたいなやつのことじゃない?(笑) 「家族を描いている映画」のことだよね。
オジサン そうですね。でも、ボク、『東京物語』観たことないです。
デス オレも小津安二郎はそれくらいかなぁ。黒澤明は好きだからけっこう見てるし、溝口健二の『雨月物語』は好きだな。
オジサン なんです?そのヴィム・ヴェンダースの好きな日本の監督3人挙げましたみたいなやつ?
デス まぁ、その3人は海外でも人気があるし、ヨーロッパ映画に影響を与えてるんじゃない?『雨月物語』はいいですよ。ちょっとホラー…というか幽霊ものだし。
オジサン やっぱり幽霊が好きなんだ…。
デス 日本映画っていえば、オレ、ある時期までの北野武も好きなんだけどさ、もうビートたけし自体がさ、クソオスじゃん?松本人志ほどじゃないけど、ああいうお笑い業界の虐め体質とか女性蔑視とかの権化みたいなヤツにお金落としたくないっていうかさ、だから、もうあんまり推す気になれないんだよね。映画としてはね、『HANA-BI』くらいまでは好きなんだよね。
オジサン ああ。ボクはね、『アウトレイジ』もね、一作目は見事だったと思いますね。プロットに粗はあるんですけどね。宇多丸さん言うところの「フレッシュな残酷描写」もありますけどね。
デス 「フレッシュな残酷描写」(笑)
オジサン 北野武はね、とても才能のあるひとだと思うんですけど、他のたいして才能も映画愛もないポンコツお笑い芸人がマネして映画を撮るようなったのはよくない傾向ですよね。ほんと勘弁してほしい。
デス ほんとそう。ビートたけしワナビーいるよね。要するにお笑いだけじゃなくて、クリエイター的なことをさ…
オジサン アーティストワナビーっていうか。タレントで売れたからってクリエイターっぽいこともやっちゃうよ、みたいな馬鹿を調子づかせたのはビートたけしな気がして。
デス あとお笑い芸人が時事ネタに口を出すってのも『TVタックル』くらいからじゃない?あれをマネして、松本人志がとかが偉そうにいろいろ言ってるけど、言ってることが片っ端からポンコツでほんとゴミだなって思うけど。
オジサン 爆笑問題も時事ネタやってますけど、彼らはすごく勉強してますよね。
デス 爆笑問題は最初からそういう路線のコンビだったからね。他の奴らは、売れてから、急にご意見番みたいになってんだよ。島田紳助もそんなだったし。
オジサン 意見があること自体はいいんですけどね、なんかあたかも専門家みたいな態度で適当なこと言うのが困りますよね。
デス わざわざコメンテーターとして呼んでたりするからね。ほんとよくないね。
オジサン なんかめちゃくちゃ脱線しましたけど(笑)
デス 家族の映画って話からね(笑) まぁ、世の中のみなさんもね、たけしの映画は観なくていいから、『東京物語』とかね、『雨月物語』とかね、黒澤明は観ましょう!
オジサン ちなみに黒澤だったら何が推しですか?
デス まぁ、やっぱねぇ、出来が素晴らしいっていうことで言うなら『椿三十郎』かな。
オジサン やっぱそうですか。あの押入れに敵側?のひとが入ってるやつですよね。
デス 押入れ???あったけ?
オジサン うん、面白いんですよ。ボク、あれ好きです。『椿三十郎』はお話としても面白いし…
デス あとはアクションエンターテインメントとしても質が高いよね。
オジサン そうですね。
デス で、もうちょっとヒューマンドラマ的なものを求めるんだとすると、『七人の侍』とかだよね。
オジサン そうですね。映画らしく面白い映画ですよね。
デス あとは…まぁ、何観ても面白いよね?
オジサン そうですね、もうみんな黒澤明は観たらいいと思います。
(ホラー)映画における制作者側の意識改革
デス でさ、散々最近のホラー映画はいろいろアップデートされていってるって話をしたけど、日本の映画監督できちんとアップデートができてるひとと言えばね、塚本晋也。オレ、前から好きなんだけど。もともとはね、タランティーノとか欧米の映画監督にも影響を与えているひとで、どちらかと言えばカルト映画監督っぽいひとで、カルト映画出身の過剰な暴力描写や過剰なエロティシズムってのがね、かつてはあったんだけど、『野火』観たらね、リアルだけど斬新なすごくシリアスな戦争映画になってた。
最近のインタビューでも、かつてのようなバイオレンスな描写をただ「楽しいぜ」ってかんじで観ることはできなくなった、そういう撮り方はできなくなったと言ってる。そういう意識のアップデートはトランプとか安倍みたいな極右やポピュリズムへのアンチテーゼだよね。最新作の『斬、』はまだ観てないけど、是非観たいなと思ってる。
たぶんもう歳は60近いけど、あの世代の日本のクリエイターとかサブカル言論人や音楽畑の連中やその愛好家ってさ、カスみたいなヤツ多いじゃん?特に男。しょーもないサブカル仕草っていうか、クソどうでもいいアングラ仕草とかエログロ指向とかつまらない内輪ウケネタとかさ、そんなごみ溜めみたいな腐臭を放ちまくってる男ばっかで、また、そいつらが社会的にもっとも権力を握ってる世代なわけじゃん?塚本晋也みたいにさ、あの歳できちんと意識をアップデートできるひとって日本じゃ珍しいよね。
オジサン あの全然違う話して申し訳ないんですけど、デスのひとと暮らすようになってから、ボクたちとれっどさんが観てるけどデスのひとは観てない映画ってのをちょっと思いだしてみてるんですけど、実写版『美女と野獣』『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』とか全然推せないディズニーの『くるみ割り人形』とか、あとは『沈黙』。宣教師の話、遠藤周作原作でスコセッシが撮ってる。あれで宣教師のひとりをやってるのがカイロ・レンのアダム・ドライバーなんですよ。
デス あとさ、なんか日本映画であったじゃん?タイトルが「いきる」みたいななんかそういう動詞っぽいあれ…沖縄のこととかさ扱ってる…
オジサン ああ、『怒り』ですね。
デス そうそう、『怒り』。あとは『バーフバリ』の一作目。
オジサン 『伝説誕生』の方ですね。そんなもんですかね。
デス 『サフラジェット』(※正しい邦題は『未来を花束にして』)は後からGYAOで観たし…。
オジサン その中からだと『沈黙』は推しかなぁ。まぁ、楽しい気分にはなれませんけども。あとは『ジュマンジ』もまあまあ推せます。
デス 逆にね、オレがひとりで観に行って推せるやつもありますよ。
オジサン それ、今話したじゃないですか。
デス 他にも『死霊館のシスター』とかさ。
オジサン 死霊館は怖いやつだから嫌です。
デス 『死霊館のシスター』は、もう、邪念と悪魔と絶望とお化け屋敷的なジャンプスケアの連続!
オジサン 全っ然だめですよ。それ、ボクの苦手なヤツじゃないですか。
デス オレ、単純に、趣味指向、好みっていう話で言うと、『エクソシスト』みたいな悪魔とか怨霊とか出てきて、『ロンドンゾンビ紀行』的なB級っぽいノリがなくて、ひたすら禍々しくてサタニックなホラーが好きなんだよ!
オジサン ボクは『ロンドンゾンビ紀行』的な方が好きなんで、よろしくお願いします。
デス (笑) でも、あっちの方が苦手ってひともいると思うよ、グロすぎて。
オジサン そうですか?
デス まぁ、割とグロい方だよ。ロメロの『ゾンビ』とか『バタリアン』『死霊のはらわた』『ゾンビランド』、色んなゾンビ映画の中でも、だいぶ血の量が多い部類に入るよ?
オジサン 『ゾンビランド』もまあまあ多いですけどね。
デス いやぁ、でも『ロンドンゾンビ紀行』の方が多いでしょ。オレ、そこら辺はホラー映画慣れしてるからよく覚えてるけど。まぁ、とにかく、オレが劇場でひとりで観てるのって…
オジサン 基本的にホラー映画ですよね。最近だと『ラ・ヨローナ 泣く女』とか。
デス そうそう。ま、近年のもので最もオレ好みでかつクオリティが高いのは死霊館シリーズ二作目の『死霊館 エンフィールド事件』なんだよね。ジェームズ・ワンが監督やってるんだけど、これは好みだし、今日的にアップデートされてるものでもあり、映画としての完成度も高い。
オジサン …観ませんよ…
デス 観ないんですか?
オジサン はい、観ませんよ。
デス 観てもいいんですよ。
オジサン 観ませんよ!怖いの嫌だっていってるじゃないですかっ!虐めですか?
デス まぁ、ホラー映画好きなんだけど、最近のホラーはあんまり観てないってひとにはオススメしたい。っていうかね、最近のホラー映画はいいものが多いんだよ。惰性でリメイクとか続編作ったり、ひたすら残虐描写をエスカレートさせたりっていう傾向がさ、ホラー映画界にはあったわけだけど、それをもっとメインストリームで通用するエンターテインメント映画に引き戻したのがジェームズ・ワンだと思うんだよ。
オジサン まぁ、たしかに最近のホラー映画が好きだっていう女性も多いですしね。
デス 実際、映画館にきているのも割と女性が多い気がする。
オジサン でも、ボク、怖いのは嫌なので…
デス 「ビビりか?」
オジサン ヴェノムのマネしてもダメですよ。
デス ちなみに『ヴェノム』の監督は『ゾンビランド』の監督ですよ。『ゾンビランド』も今年2が公開されるって話だよね。
オジサン あ、それは観てもいいですよ。ボク、ゾンビは大丈夫なんですよ。あ、でも、ひとりでゾンビ映画みるのはやっぱちょっと怖いです…。みんなで一緒に観ましょうね。ちなみに『インド・オブ・ザ・デッド』っていうインドのゾンビ映画とか、フランスの『ゴール・オブ・ザ・デッド』とか変なのも観てます。
デス なんだよ、それ。サッカー?
オジサン そう、サッカー。みんなでゾンビになってサッカーするのかと思って馬鹿っぽくて面白そうだなぁって思ったら、そういうのじゃなくて、イマイチでした。ヨーロッパには「サッカーコメディ映画」というジャンル?があると思うんですけど、ヨーロッパ映画はミニシアター系「いい映画」のイメージがありすぎてそういう馬鹿映画があまり紹介されてない気がして…。
デス オレ、映画クラスタだしサッカーもやってたのに、サッカー映画って観たことないかもしれないなぁ。
オジサン そうなんですか?じゃあ、機会があったらまた推しますね。ということで、デスのひとが今回紹介してくれたホラー映画3本、どれも面白そうなので是非観てみようと思います。
デス うん。オレ、あんまり邪魔しちゃいけないかと思って割と黙って聞いてたんだけど、『大脱走』も前から観たいとは思ってたし、またこういうトークをしてもいいかもしれないね。
=第4弾 完=
オマケの映画感想文
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