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デフ・レパードはすごい!〜英国が生んだダイアモンド・ヒーローズ〜:オジ&デス対談 第9弾 Vol.5

 Def Leppardの魅力について、言語化に苦戦しつつもあれこれ語る対談は今回が最終回です。まだまだ語り足りていないことが多く、また、今回の対談は音楽を聴きながら収録したこともあり、書き起こした内容を割とそのままでお届けする形になりました。そのため、ちょっと話が行ったり来たりしてしまっていますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
 ベテランでありながら、最新アルバム『Diamond Star Halos(ダイアモンド・スター・ヘイローズ)』も素晴らしい、まさに「英国が生んだダイアモンドのような英雄バンド」であるデフ・レパードのスゴさがもっと多くの人に知られることを願って…


『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』は傑作である

オジサン:ところで…、ボクは今、『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』の話をしようとしてるんですよ。これは一番新しいアルバムですけど、やっぱり一曲目がミドルテンポでゆっくり盛り上げていく感じなんですよね。

デス:なんて曲だっけ?

オジサン:〈Take What You Want(テイク・ホワット・ユー・ウォント)〉です。

デス:ああ、そうだったね。あれもガツーンって感じの曲じゃないよね。

オジサン:そうです。割と爽やかな音で始まって…最初聴いたときは「これが一曲目なの?」ってちょっと思ったんですけど、何度か聴いてるうちに「ああ、一曲目だわ」って感じがしてくる、ちょっと不思議なテイストの曲で、その曲をライブ(2023年11月のMötley Crüeとのジョイントライブ)の一曲目でやったんですよね。

デス:そうだったよね。

オジサン:ボク、すごいなって思うんですよ。新曲で、しかも、最初に聴いた時は「え?これが一曲目?」って思うタイプの曲をライブの一発目に持ってくるっていう、まあまあリスキーな選択だと思うんですよ。

デス:うん。

オジサン:だから、Mötley Crüe(モトリー・クルー)目当てで来てる観客や往年のヒット曲は知ってるけど、新譜とかは聴いてないタイプのファンにとっては、いきなり知らない曲でライブが始まることになる。でも、それを補って余りある説得力みたいなものがあって。

デス:あとデフ・レパードの曲はキャッチーだから、その場で聴いてすぐに「いい曲だな」ってなんとなくノれるってのもあるよね。

オジサン:まぁ、あの曲はギターも最初から音が入ってるので、ライブで全員が演奏しながら登場するっていうにはピッタリだったと思うんですけど。ただ、自分たちの演奏にも新譜にも自信があるからできることだなって感じました。

デス:『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』はいいよね。

オジサン:名盤なんですよ。ベスト盤なんかで往年のヒット曲から聴いてもらって、デフ・レパード入門してもらうのもいいと思うんですけど、いま、いきなり入門するひとは『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』がけっこういいんじゃないかなって思うんですよね。っていうのも、ミドルテンポの「いかにもハードロック(HR)」じゃない始まり方をするアルバムだし、2曲目の〈Kick(キック)〉はPVにもなってますけど、これまでにも話したようなギターが止まってて手拍子とヴォーカルのパートもあって、あるタイプのデフ・レパードらしい曲だし…

デス:あの曲は曲調にT.REXっぽさがあるんだよね。

オジサン:その他の曲なんかもバランスがいいと思うんです。2020年代らしさもありつつ、デフ・レパードらしさも健在なので、いいんじゃないかな〜って。ちなみにゲストで参加している女性シンガー、Alison Crauss(アリソン・クラウス)はカントリーのひとですよね?

デス:そうそう。彼女は、ロバート・プラント(レッド・ツェッペリンのヴォーカル)とも一緒にアルバム作ったりもしてて、しかも、それでグラミー賞も受賞してるんだよね。

オジサン:そうなんですね。そのアリソン・クラウスが2曲に参加してて、それがまたどっちもタイプの違ういい曲なんですよ。

デス:片方の〈ディス・ギター〉に関しては、割とフォークロックッぽい感じだよね。でも、そういうことやっても、あざとい感じがしないよね。ちゃんとデフ・レパードらしさを損なわないでやってるからね。

オジサン:ちなみに、〈ディス・ギター〉は曲自体はけっこう前に作ってあったみたいですね。タイミング的に作品として仕上がったのが今回だった、という感じで。

デス:ああ、そうだった。そう言ってたよね。

オジサン:まぁ、とにかく、『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』は、一曲一曲もいいですし、全体の流れもいいし、デフ・レパードの色んな魅力が味わえると思うんです。スローなバラードもあれば、デスのひとの言うところの"空間を生かした曲"やミドルテンポの曲もあるし、ドラムや手拍子が印象的な曲もあるし、ちょっと重めの曲もあるし、どの曲を聴いても基本的にコーラスがきれい。日本人好みだと思うんですよねぇ。だから、もっとみんな聴いた方がいいと思います。


空間系の曲を聴いてみよう

デス:ところで、ちょっと試しにオレが「空間的」って言ってるような曲をここでかけてみたいと思うんだけど…。たとえばU2とか。

オジサン:はい。かけてみてください。それをどうやって文字起こしするのかについては、また考えることにして…。

デス:いや、あの、逆にさ、聴いてもらうと、どう文字起こしすればいいかってことが、オレの説明では言葉足らずだったのが、「あ、なるほどこういう感じですね、じゃあ、こういう風に言語化すればいいですね」ってオジサンも思いつくかもしれないよね。

オジサン:まぁ、そうですね。どうしても思いつかない場合は、読者のひとに考えてもらいましょう。音楽をたくさん聴いているひとが読んでくれていることも多いので。そしたら、それを今後は使わせてもらいましょう。うふふふふ。「みんなで作る対談」ですよ。

デス:まぁ、オレも、後で思いつくだろうけど。っていうか、これ、録音されてる?

オジサン:録音されてますよ。こんだけ喋ってて録音されてなかったら泣きますよ、ボク。

U2の〈Pride (In The Name of Love)(プライド)〉

デス:これ、U2の曲だけど、デフ・レパードにもこんなかんじのパートがあるの、わからない?音のバランスとかさ。

オジサン:まぁ、わかりますけど…(言語化してくださいよ…)

デス:U2のこれ、当然ながら丸っきりHRぽさないじゃん?で、例えばモトリー・クルーには基本的にこういう要素はないわけだよね。

オジサン:そうですね。

デス:Aerosmith(エアロスミス)にも基本ないじゃん。でも、デフ・レパードは大体いつもさりげなくこういう要素も取り入れてるわけ。それをどう言葉で表現したらいいのかってのがさ…。U2っぽいって言っちゃうのもそれはそれで安直な感じがするじゃん。

オジサン:はい…(でも、文字媒体なのでなんとかしてください)

デス: 別にU2だけの特徴でもないし。
 ただね、この時期のU2はブライアン・イーノってひとがプロデュースしてるのね。この人はグラムロック系のRoxy Music(ロキシー・ミュージック)のメンバーだったことでも有名なんだけど、それ以上にDavid Bowie(デヴィット・ボウイ)のいわゆるベルリン3部作『Low(ロウ)』『Heroes(ヒーローズ)』『Lodger(ロジャー)』のプロデュースなどで有名なんだよ。ベルリン3部作では、プロデュースだけじゃなくて演奏もしてて、事実上、ボウイとイーノの共作って言われているのね。で、こういうU2っぽい音作りっていうのは、遡るとその『ロウ』や『ヒーローズ』なんだよ。

オジサン:そうなんですね。

デス:で、ほら、デフ・レパードはデヴィット・ボウイが大好きじゃん?ライブ開演前のSEでは、デフ・レパードの演奏する〈Heroes(ヒーローズ)〉が流れたりもしてたじゃん?

オジサン:流れてましたね。

デス:だから、もちろん、同時代のU2みたいなバンドからの影響ってのもあるけど、それ以上にデヴィット・ボウイを意識した結果として、U2と共通するような浮遊感のあるサウンドになった可能性はある。あとフィル・コリンが「自分たちはIron Maiden(アイアン・メイデン)よりDuran Duran(デュラン・デュラン)に近いと昔から言ってた」と証言してたけど、デュラン・デュランもデヴィッド・ボウイがルーツだし納得だよね。

オジサン:(〈プライド〉について)この曲なんかは、ちょっとダンサブルでもありますね。

U2の〈With or Without You(ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー)〉

デス:ほら、この曲なんかは、ギターは微かに鳴ってるだけで、ベースとかドラムの方が目立ってるじゃん?もちろん、デフ・レパードは、これよりはもうちょっとHR寄りの作りになってるけど。HRバンドにしてはわりと踏み込んでベルリン時代のデヴィット・ボウイ的というかU2的な音作りをしているように聴こえる。そこのバランスがまた絶妙で、「どっちつかず」になってないところがスゴイんだけどね。

オジサン:まぁ、わかります。

デス:あの時期のハードロック/ヘヴィーメタル(HR/HM)バンドでベルリン時代のボウイっぽいことやってる人たちとか、他に思いつかないし。
 あと、あれは?デフ・レパードがT.REXっぽいってのはピンとくる?

オジサン:うーん、T.REXはそんなに聴いてないですねぇ。多少は知ってますけど。

デス:特定の曲がってわけじゃなくて、T.REXというバンド自体がデフ・レパードのある部分に影響を与えてるんだけど。

オジサン:ジョー・エリオットがT.REX好きなのは知ってますけど。

T.REXの〈Get it on(ゲット・イット・オン)〉

デス:こんな感じの曲ってデフ・レパードにもあるじゃん?

オジサン:歌い方とかもちょっと意識してるかもしれませんね。

デス:特に00年代になってからのアルバムにはこういう感じの曲が1、2曲くらいはあるんだよね。

オジサン:あ、これ、“♪ゲリローン“じゃないですか!これは知ってます。でも、T.REXじゃなくて誰かのカバーで先に聴いてる気がしますね。

デス:わかるでしょ?でも、言われてみればそうだなって感じで、「まんま」みたいなのはないんだよね。だから、意外とデフ・レパードの引出しの多さみたいなものは、やっぱりファン以外にはあまり知られてないのかなって。
 バカにしてちゃんと聴いてない人たちってのは、「デフ・レパードって昔MTV受けして流行っただけの懐かしのHRバンドでしょ」みたいな扱いをしちゃってるところがあると思う。一般リスナーならともかく、評論家とかがそんな感じなのは良くないよね。

オジサン:とはいえ、ボクたちも、この間のアルバムとかそんなに追いかけてなかったですからね。ちょっと反省しましたよね。

デス:でも、それは、別にデフ・レパードを過小評価してたから聴いてなかったわけじゃなくて、いろいろ成り行きでたまたま聴いてなかっただけじゃん。

オジサン:でも、こうやって活動を続けて、来日もしてくれるのは、ボクらが聴いてなかった時代にもちゃんとアルバムを買ってライブ行って応援してた人たちがいてくれたからじゃないですか。

デス:それはもう、もちろんその通りだよ。

オジサン:だから、そういう人たちがいてくれて良かったな、って。

デス:まぁ、オレが言ってるのは、ロックは全体的にほどほど好きなくせにいつ何時もデフ・レパードやBon Joviとかは絶対にスルーしてやろう、みたいなタイプね。

オジサン:そんな強固な意志を持ってですか(笑)

デス:そうそう。現にその二組がなかなかロックの殿堂入りしなかったのも、そういう奴らが沢山いるからであって。そういう奴らはしょーもないって話だよ。

オジサン:アメコミ映画で言うなら、クリストファー・ノーランのバットマン3部作とか(ボクらも対談で批評してる)『ジョーカー』はありがたがって観るけど、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース:マーベルコミックス原作の映画。マーベル映画は現在はディスニー傘下)だけはネグってやろう、みたいなタイプですかね。

デス:そうそうそうそう。


結論:みんな、もっとデフ・レパードを聴こう!

オジサン:今回、「デフ・レパードはすごい!」ってタイトルにする予定なんですけど、その割にデフ・レパードの話がうまくできてるのか怪しい感じになってるところで、また脇道にそれちゃうんですけど、モトリー・クルーの〈Time for Change(タイム・フォー・チェンジ)の話もしておきたいです。
 ボク、モトリー・クルーのこと、割と「馬鹿っぽい」とか言ってますけど、けっこう良い歌詞の曲もあって、前回のBon Jovi対談でも最初に話題にしている、モスクワ・ミュージック・ピース・フェスティバルの後にその〈Time for Change〉って曲を作ってるんですよね。

デス:まぁ、因果関係ははっきりはわからないのだけど、少なくとも、その曲が入っているアルバム『Dr.Feelgood(ドクター・フィールグッド)』のリリースはモスクワ・フェスのちょっと後だからね。
 たまたまちょっと歌詞を調べる機会があったんだけど、ざっくり言うと「変化の時だ、頭の固い大人たちは放っておいて若者たちが変革をしていこう」みたいな感じの歌詞で、もしかしたらモスクワ・フェスでの経験が歌詞に反映されているんじゃないかなって内容だったんだよね。モスクワ・フェスで、明らかに新しい時代の到来を感じさせるソ連の若者たちを見て、それに触発されたのかなって話をしてたんだよね。

オジサン:そうです。

デス:モトリー・クルーのメンバーたち自身も当時は若かったわけじゃん?彼らもアメリカからソ連に来た側の若者として何か感じることがあっただろうし、ソ連の若者たちもアメリカから来たロックミュージシャンたちから何か感じることがあったんだろうと想像できる。新しい何かを感じて、「変化を起こそう!上の世代がごちゃごちゃ水を差してくるかもしれないけど、もう変わる時なんだ!」みたいなね。そういうことを考えたのかな〜って歌詞なんだよね。

オジサン:そうなんですよ。だから、なんか、モトリー・クルーはアホである、みたいなことをボクもちょっと言い過ぎた気がして…。

デス:まぁ、実際そういう側面があることも否めないから(笑)。

オジサン:確かに。Netflixの『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』って伝記映画とか観ても、完全にアホなんですけど、でも、ちょっとそういう側面ばかり強調しちゃった気がして、悪かったかなって反省しました。

デス:あと、歌詞と言えばさ、デフ・レパードの『Hysteria(ヒステリア)』収録の〈Gods of War(ゴッズ・オブ・ウォー)〉って曲があるんだけど、オレは曲名を見て、これもどんだけ厳つい曲なんだろう?って思って聴いたんだけど…(笑)

オジサン:いかにもHR/HMっぽい感じしますもんね(笑)。Manowar(マノウォー:「偽物のメタルに死を!」とか言ってるヘヴィーメタルバンド)みたいだし。

デス:そうしたら、いつものデフ・レパードらしいメロディックな曲で、「こっちとらゴッズ・オブ・ウォーだぜ!邪魔する奴はなぎたおしてやる!」みたいなイキった曲では全然無くて、しかも割と社会派の、簡単に言うと戦争反対の曲だったんだよね。

オジサン:へー、そうなんですね(って、なんなんですか、そのイキった発想は…)。そういう曲も『ヒステリア』に入ってると。

デス:時期的にはまだ湾岸戦争は起きてないはずだから、意識したのはイラン・イラク戦争とかかもしれないし、ソ連のアフガン侵攻だったのかもしれないし、特定の戦争について歌っているわけじゃないかもしれない。あるいは冷戦そのものを意識してる可能性もあるよね。でも、ちゃんと、あの時代からみた戦争の悲劇ってものを誠実に歌にしたんだな〜って感じで、すごく良いんだよ。

オジサン:その頃のデフ・レパードのメンバーってまだ若いですよね。20代とか?
 日本語文化圏だと、ミュージシャンが戦争反対みたいなメッセージを出すと、「そんなことより音楽だけやってくれればいいんだ」みたいなことを言っちゃうひとが多いですけど、デフ・レパードにしてもモトリー・クルーにしても、20代とか若い頃にも当たり前のように戦争のことや東西冷戦のこととかを歌ってたわけですよね。

デス:まぁ、そういう歌詞なんかをきっかけに、一般的に思われてるほど、HR/HMって馬鹿なパーティーロックじゃないのかもしれないってことにも、HR/HMに偏見を持っている人たちにも気付いてもらえるといいよね。気付いた方が、好きなもの・いいと思えるものの数が増えて幸せなわけだし…。オレもデフ・レパードについてはライブを機に改めて気づかされたことも多いけど、もっと早い時期から彼らの凄さを知ってファンとしてずっと支え続けてきた人たちがいたから、オレもこうやってライブを観ることもできたわけだし。

オジサン:そうですよね。HR/HMに苦手意識ある人たちも、あんな馬鹿な音楽は聴かないんだ!って最初から決めつけずに、ちょっと聴いてみるといいと思いますよね。別にいきなりSlayer(スレイヤー:スラッシュ・メタルのバンド。演奏が速くて攻撃的なのが特徴)を勧めてるわけじゃないわけですし。
 デフ・レパードくらいから聴いてみると、聴きやすいけれどもHR的な魅力もちゃんとあって。れっどさんや家族も、Bon Joviとかデフ・レパードとかを聴いたことで、もっとHR/HMらしいバンドも聴くようになったので、ロックからHR/HMへの橋渡しをしてくれたバンドって感じですかね。だから、普通にロックとかロック寄りのポップスを聴くよ、って感じだったら、デフ・レパードはいいと思いますね。
 で、そういうときに、ボクが最初におすすめしたいのが、しつこいようですけど、『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』です!

デス:まぁ、オレも入り口として勧めるんだったら、そうなるかなぁ。

オジサン:これだけ活動歴が長いバンドで、入り口としておすすめできるアルバムが最新アルバムって、考えてみるとすごくないですか?

デス:そうだよね。ベテランバンドになると、惰性でとりあえずアルバム作ってるけど、全盛期には及ばないってことがあっても驚かないからね。

オジサン:そう。だから、「最初に聴くなら、全盛期のコレだよね、ベスト盤だよね」ってなってもおかしくないわけですよ。だけど、最新作が「とりあえず」でおすすめできるクオリティなんで。そこから遡って聴いてもらって、全然問題ないっていう。

デス:それに、デフ・レパードって駄作が一枚もないんだよね。色々賛否を巻き起こした『Slang(スラング)』も含めて、やっぱどのアルバムもちゃんと真面目に作ってるし、ただ真面目に作ってるだけじゃなくて、どのアルバムもいいんだよ。つまらない、完全な駄作ってのはない。

オジサン:そうですね。『スラング』はだいぶ色々言われてたみたいですけど。
 あ、一応、説明しておくと、『スラング』はグランジ・オルタナ全盛期の頃に、どちらかと言うとそちらに寄せて作ってみようっていう感じになってるアルバムです。なので、従来のHR/HMっぽさやデフ・レパードっぽさとは少し別の路線に行ったかんじだった。割と作り込まれたサイバーなサウンドが好きだった人からすると少し違うというか。別に悪くはないけど、デフ・レパードに求めてるのはコレじゃない、みたいな。

デス:そうね。デフ・レパードにしては、少しそっけない音っていうかね。

オジサン:で、その後の『Euphoria(ユーフォリア)』は完全にまた『ヒステリア』路線に戻ったというか。れっどさんなんかも「おかえりー」って思ったらしいですけど、逆に「おかえり」感が強過ぎて、あんまり聴き込んでなかったらしくて、最近聴き直して「これも名盤ですよ」とか言ってますよね。

デス:いま、オジサンは『ヒステリア』路線って言ったけど、単に80年代の音作りに回帰したってわけじゃなくて、あの時代に自然とかつてのデフ・レパードらしさもあるアルバムを作った感じなんだよね。だから、わざとらしい80年代セルフパロディしてるわけじゃないし、そういう懐古趣味とは無縁の、無理のない自然な形でそうなってる。あと、元々『ヒステリア』でデジタルでメカニックな感触のサウンドを作ることに成功してるから、90年代後半以降にエレクトロニカっぽい打ち込みとかを導入しても、ごく自然に馴染むんだよね。

オジサン:ちなみに『ユーフォリア』の一曲目は珍しく(?)アップテンポな曲ですよね。

デス:そうだね。

オジサン:なので、『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』の次は『ユーフォリア』を聴くのもありだと思います。

デス:まぁ、オレは、『ダイアモンド〜』の一つ前の『Def Leppard(デフ・レパード)』ってアルバムもその2枚と同じくらい推せると思ってる。

オジサン:で、あとはベスト盤なり、サブスクなんかの「まずはこれを聴け」リスト的なものでヒット曲を聴いてもらうといいと思うので。ライブ映像とかもネットに上がってますしね。

デス:もうちょっとデフ・レパードのサウンド面でのスゴさを語る言葉があったはずなんだけどな…

オジサン:まぁ、それはまた日を改めて…ということで。今回喋ったことでまた思いつくかもしれないですからね。今日のところは、ここで一旦収録を終了しましょう。

デス:そのうちモトリー・クルーの凄さについてもちゃんと語ってみたいね。

オジサン:昨年、武道館公演を実現させたハロウィンとか今度ライブに行く他のバンドについて語るのも良いかもですね。

=第9弾 完=

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