【三好の2019シネマランキング】
あけましておめでとうございます。正月休みも最終日の滑り込みになっちゃいましたが、昨年映画の総括をお届けいたします。
2019年は、7月から11月の5ヶ月間、劇場へ月イチも行けずというここ10年ではじめての状況だったため見逃し作品も多いのですが、1月と3月に国際映画祭に2つも参加させてもらえたおかげもあって、なんとか年間総鑑賞本数(劇場+ソフト・配信)は113本。うち今年劇場公開された新作は60本でした。
今年のTOP10は、自分が「2019年の映画」を思い出したときどの映画がまた見たいか。というのが選出基準です。
それでは参りましょうー。
【2019年シネマランキング】
1.『バーニング 劇場版』
2.『イップ・マン外伝 マスターZ』
3.『荒野にて』
4.『バジュランギおじさんと小さな迷子』
5.『キャプテン・マーベル』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
6.『ブラック・クランズマン』
7.『スパイダーマン:スパイダーバース』
8.『魂のゆくえ』
9.『ジョーカー』
10.『新聞記者』
次点『トイ・ストーリー4』
次点『トイストーリー4』
シリーズを通して、おもちゃという“いのち無きもの”に生命を吹き込んでしまった作り手たちからの、誠実過ぎる落とし前と敬意に感服。
10『新聞記者』
日本でもついに時事とリアルタイムに対抗する、こんなにも面白い映画が!主演二人のツラがまえ(あえてこう言いたい)と画づくり。力強い演出。どれも上級でした。
9.『ジョーカー』
8.『魂のゆくえ』
2本を並べたのは、両作とも映画『タクシードライバー』の系譜にある映画で(前者はストレートなオマージュ、後者は「タクシー〜」の脚本家ポール・シュレイダーが監督脚本を務め どこかテーマも通底)、そこに僕は「現代のアンチヒーロー像」のバリエーションを見たのですが、2019年の僕は『魂のゆくえ』のそれにむしろ共感したのでした。成せるのか、成せないのか。その理由は。『魂〜』のラストその選択が、2019年の僕には、ほんとに忘れ難いのです。
7.『スパイダーマン:スパイダーバース』
これはもうアメコミ映像化の極点をリアルタイムで目の当たりにできてしまった喜びと、「多次元世界」と「ヒーロー」をテーマにした作品として完璧な結論に大号泣した件から。ほんと最高だったなあ。
6.『ブラック・クランズマン』
抜群に面白い映画でありながら、生半可なカタルシスのうちに劇場をあとにさせることは絶対に許さない監督の気迫に。2019年は本作に『バイス』、『フロント・ランナー』といずれも最後に観客に鏡を返してくるタフなポリティカル映画の良作が並びました。時代ですね。どれも映画単体で屈指に面白いので、マジでみんな見て欲しい。
5.『キャプテン・マーベル』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
当初この3作はさらっと次点に置いていたのですが、今年を振り返るほどにやっぱり外せず大幅格上げ。わけても忘れがたいのは『キャプテン・マーベル』の覚醒シーン(自らを徹底的に承認/肯定して覚醒するあの力が信じたくて、しばらく携帯の待受画面にしていたほど)、『エンドゲーム』のキャップのあの1語(鑑賞中のノートには涙染みが残っています←実話)、そして掛け替えのない「世界の命運」と「高校生の1度のキス」が等しく輝く『ファーフロムホーム』の素晴らしさ。
4.『バジュランギおじさんと小さな迷子』
たったひとりの人間の善行が、多くの人を巻き込み、ついには今なお現実に激しい争いの原因となっている宗教や制度までも乗り越えてしまう!本作が現地の映画史上歴代3位もの観客に支持されたという事実は、人々の願いのホンネを明らかにしていて、なんとも痛快ではないですか。これぞエンタメの力であり希望。問答無用に楽しくて泣ける(僕はもう終盤涙でぐっしゃぐしゃでした笑)最高の1本ですよ。
3.『荒野にて』
寄る辺ない世界に放り出された少年と馬に自らを重ねながら見た。じっくりと、丁寧に丁寧に人物そして物語を運んでいくアンドリュー・ヘイ監督の筆致に感服させられる傑作。アメリカ中西部の美しい景観。冒頭とラストで彼の走る場所はどう変わったか、なんてひとつひとつの小さな場面や演出さえも愛しく、今でもこの映画のことを思い出してはしみじみと味わっている。大切な、ほんとに大切な一本。
2.『イップ・マン外伝 マスターZ』
2019年どの映画が一番楽しかった?と聞かれるたび1年間ずっと推し続けた大ッ好きなやつ!「イップ・マン」シリーズ3作に次ぐスピンオフ。同じ詠春拳の達人でありながらイップマンにいちど敗北した男=チョン・ティンチが再び自らの拳を信じるまで。アクション監督の巨匠ユエン・ウーピンが全力で演出したアクションシーンはすべて見たことないほどフレッシュでこれでもかと観客を満足させてくれるうえに、わけてもティンチの再起が完成するあのシーンは(お願い、本当に見てください最高だから)、先述の『キャプテンマーベル』覚醒シーンと並ぶ、今年一番力をもらったシーン。何度見ても絶対声をあげてガッツポーズしてしまう。やっぱり僕は、負けざる者たちが再起をかけて戦う熱い映画が、大好きなんだなあ。
1.『バーニング 劇場版』
現存監督のなかで最上級と称えて止まないイ・チャンドン監督が、村上春樹の短編「納屋を焼く」を映画化。一度目の鑑賞時にはその構成力や(村上だけでなくフォークナーの同名短編も織り込みながら、いま現在を生きるイ・チャンドンによる「納屋を焼く(バーニング)」として完璧に完成させた点)、正確無比に決まっていく全てのショット、映画の手触り、などその一式に圧倒され、鑑賞後には瞳孔開きっぱなし。今年はもうこれ以上の映画は出ようがないや、となったのですが。先日二度目に見たら、実在と不在、幻想と現実、ないものとあるもの、の間で漂いもがく彼らの物語がいまの自分と切実に迫るものがあったもので、いよいよ「2019年」と「映画」と「自分」を考えたとき、本作以外に1位はありえないのでした。破格の傑作と言って良い作品だと思います。
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以上ですー。
2019年は映画と自分の関係がかなり変化した一年でしたが、やっぱり誰かと映画の話をしたり、映画を紹介させてもらうことは、大好きで大好きで大好きで仕様がないので、今年もたくさんそういう場面を持てたらな、と思ってます。
2020年もたくさんみんなで映画見て、語らいましょうね!