見出し画像

よく考えたらこわいことだらけだった➁


ベレー帽がこわい。

正確に言うと、「ベレー帽をかぶっている人」がこわい。
私自身、帽子はきらいではない。どちらかと言うと好きかもしれない。
ただ、私にとっての帽子の役割は「外界との遮断」がまず第一、なので絶対つば付き。料理の仕事をしていた時は髪が落ちないようにキャップを被っていたこともある。深くかぶれば視界がせばまるし髪も落ちない。最高だ。その頃はつば付きの帽子を被って出勤して着替えてキャップに被り変えていた。なんという安心感。しかもちょっとおしゃれにも見える。最高。

ベレー帽、あれはなんのためにあるのか。wikipediaをざっと読んだけどよくわからなかった。外界との結界ができるわけでもなく日差しも避けない。私の中ではあれは「おしゃれ番長の被りモノ」としてゆるがない。服が買えない私はもちろん「おしゃれ番長」もこわい。シーズンごとに何度も試着して服を買い、毎朝うきうきと鏡の前に立つ、そんな人...こわい...こわいのカタマリ。雑誌で見る分には服もベレー帽も好きなのだが、いざ自分のことになると猛烈に拒否反応が出る。この私があんなブランドのあの服を買ってさらにはベレー帽まで被って街を闊歩するなんてことはあってはならないのだ。おしゃれの為だけに帽子をかぶるなんていうことは。ベレー帽をかぶる人はきっと自分のことが好きなんだろう。(勝手に推測)日も避けない、結界もできないあの帽子をかぶる人の自己肯定力は計り知れない。

日本からバンコクに来る前は、一年中暑いから帽子をかぶって生活するものだと思っていた。が、来てみたら暑さがすごい、帽子なんて被ったら熱中症になるんじゃないかっていうくらい暑い。麦わら帽子?だめだめ、それも存分にこわい。おしゃれ番長じゃないんだから。

で、私が取った対策は「めがね」。日本にいたころは外に出るときはコンタクトレンズを使っていた。料理の仕事をしているとめがねは曇ったりずれたりするからコンタクトレンズが具合がよかった。それが習慣化していたので渡航前に大量に買って持ってきた。

こちらにきてからは料理の仕事をすることもなく、結界としての役割をめがねが担っていたので、曲がってもきずがついても同じめがねを毎日かけている。誕生日に夫に買ってもらった大事な白山眼鏡店のめがねをそこらのめがね屋に触らせる訳にはいかない。

今日も歪んで傷のついためがねをかけ、大量のコンタクトレンズは引き出しに眠ったままだ。

いいなと思ったら応援しよう!