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【LAA】オフシーズンのエンゼルスの現在地 (野手編)
明けましておめでとうございます!Kengelsです。
初noteでは自己紹介をさせていただきました。
この2本目のnoteでは、今がオフシーズンの真っ只中であることを踏まえ、「2023年1/1時点でのエンゼルスの戦力」にフォーカスして現状について見ていこうと思います!
あくまで今はまだチーム強化の途中なので、補強した各選手の個人的評価やオフシーズンの総括は、補強がほぼ終わった2月〜開幕前のタイミングでまたまとめて記事にできればと思っています。
今回は野手編です。意外と長くなってしまいました笑
※1/1時点のnoteなので、以降に獲得したBrett Phillipsは記事の内容に含まれていません。
1.ここまでの補強概観
昨季(2022年シーズン)のエンゼルスは、開幕時の打線こそ期待できるものでしたが、相次ぐ主力の怪我と不振にあえぎ想像以上の苦戦を強いられました。
Ward-Trout-大谷というメジャーでも指折りの上位打線を擁していたにもかかわらず、野手陣のwRC+は93、守備・走塁も良くなく総合評価のfWARでは30チーム中22位と、コンテンダーを名乗れる成績ではありませんでした。
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この昨季の惨状を踏まえ、エンゼルスは内野にBrandonDruryとGioUrshela、外野にHunterRenfroeを補強しました。昨年終盤までいたベンチクラス以上の野手はMatt Duffy以外流出していないため、この3人はFA流出選手の埋め合わせではなく、純粋なアップグレードということになります。
各選手の個別の紹介は2月以降のnoteに譲りますが、3選手ともスターではないものの、全員例えばWARでいうと2かそれ以上計算できるような、安定した働きを期待できる堅実な補強だと思います。
そして彼らが複数ポジション守れる柔軟性を有していることは、怪我や不振の懸念が付きまとうここ数年のエンゼルスにとって非常に価値が大きいです。ある程度の離脱を織込み済みにできている点で去年までの反省が活きているといえます。
2.現状
補強した3選手を含め、左右それぞれの打席での成績を加味しつつ打線を組むと、大体以下のような感じでしょうか。
(なおキャッチャーは昨年メジャーデビューを果たしたO'Hoppeに期待しているところですが、ThaissのMiLBオプションが切れているため、スプリングトレーニングの結果によっては開幕時のバックアップ捕手はThaissになるかもしれません。)
対右投手
LF Taylor Ward
CF Mike Trout
DH 大谷翔平
3B Anthony Rendon
1B Jared Walsh
RF Hunter Renfroe
2B Brandon Drury / Gio Urshela
C Max Stassi/Matt Thaiss/Logan O'Hoppe
SS David Fletcher / Luis Rengifo
対左投手
LF Taylor Ward
CF Mike Trout
DH 大谷翔平
3B Anthony Rendon
RF Hunter Renfroe
1B Brandon Drury
SS Luis Rengifo
2B Gio Urshela / David Fletcher
C Max Stassi/Matt Thaiss/Logan O'Hoppe
(加えて外野4番手として、OF Mickey Moniak/Jo Adell)
打線のなかでカギになるのはやはり「健康ならば」という"if"が付くRendonとWalshでしょう。
彼らが本来の姿なら中軸を張る力はあります。ただRendonは怪我で2年連続長期離脱し、Walshは昨年胸郭出口症候群の影響で大不振に陥りました。彼らが活躍できず下位打線に留まる、あるいはそもそも離脱して打線にいないといったことがあれば大幅な弱体化は避けられません。一方で、もし彼らが健康に活躍できれば打線がストロングポイントになる可能性も十分にあると思います。RendonもWalshも健康な状態に戻ったとのことなので、活躍に期待したいと思います!
打線全体としては、Ward-Trout-大谷の1-3番には依然として重厚感がありますし、補強により下位打線やデプスにも厚みが増したことで昨年の惨状からは大きく改善が見込めそうです。
ただそれでも"if"が付く部分も少なくなく再び機能不全に陥るリスクもあるので、安心できるレベルには至っていないかなと思っています。とはいえもししっかり噛み合えばリーグ上位の成績を残す可能性も秘めた打線にはなったと思うので、上手くいくことを祈るばかりです。
ちなみにFanGraphsによる現時点での予測では、来季エンゼルスの野手陣のfWARは30チーム中12位となっています。手術明けのWalshが担うファーストをはじめとして懸念は示されているものの、昨季から大幅な改善はしていると評価してくれているようです。
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3.今後の補強ポイント
(1)ショートの現状
そのうえで、さらなる補強ポイントとしてよく挙げられているのはショートでしょうか。
外野とキャッチャー、DHは枠が埋まっていますし、ショート以外の内野ポジションは健康に疑問は残るものの、複数選手がこなせるためカバー可能といえそうです。一方、ショートで現実的な選択肢として挙げられるのは現状David FletcherとLuis Rengifoしかいません。
まずFletcherは昨季怪我で長期離脱し、61試合の出場に終わりました。守備は少ない出場機会ながらOAA+8と相変わらず一流でしたが、打撃がwRC+75と振るわず、fWARも0.7に留まりました。
そしてRengifoは昨季17HR、OPS.723と活躍したものの、OAA-8と守備には荒さがあります。そして打撃についても、OPSが対左投手.909、対右投手.629と左右で大きく差があります。そのため、より機会が多い右投手との対戦時は、打撃も守備も平均未満という選手になってしまいます。(もちろん今年成績が向上する可能性は十分ありますが)
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他にはLivan SotoやAndrew Velazquezもいますが、Sotoはまだメジャーでの経験が少なく、昨季の打率4割超えの活躍もwOBA.424に対して期待値を表すxwOBAは.283となっており、計算に入れるのはまだ早いと思います。Velazquezも守備は一級品とはいえ、昨季のようにOPS.500台、wRC+50では流石にスタメンとしては使いづらいです。
(2)ショートを補強すべきか?
このように補強の余地が十分にありそうなショートですが、補強資金等が残り少ない場合は現有戦力のまま凌ぐのもありなのかなと個人的には思っています。具体的には対右投手では主にFletcher、対左投手では主にRengifoを起用するという形です。
理由は2つあって、まず1つ目が現状の戦力にある程度は満足していることです。
Fletcherは怪我から7月末に復帰して以降、8月は打率299、OPS.719と昔の姿に戻っていました。9月半ばに手に死球を受けてからはバットを振れなくなったりもしたものの、健康なら打撃もある程度は期待できると思っています。そしてそれ以上に、彼の守備には高い価値があると思っています。短縮シーズンの2020年を除くと2018年以来毎年OAA+8以上と、安定して高水準を保っていますし、実際にプレーを見ていても安定して正確な守備をしています。
シフト規制が始まる来季はより守備が重要になるので、彼の強みが活きるのではないかと考えています。
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またRengifoも対左投手相手では強打者ですし、申し分ない働きができると思っています。
そしてより大きな2つ目の理由は、後日投手編で見る通り、まだ先発とリリーフにもっと大きな穴があることです。先発は1人、リリーフも最低1人はまだほしい状態になっています。もちろん可能ならショートも補強したいのですが資金や放出対価には限りがあるため、その前提のもとでは投手補強を優先してほしいなと思っています。(資金等に余裕があればショートもぜひ補強してほしいところです。)
そのうえで新たにショートを補強するとしたら、トレードを受け付けていると最近話題に出たところだと例えばパドレスの金河成は大きなアップグレードとなりそうですが、対価もしっかり必要となりそうです。放出可能な余剰戦力に乏しく、かつ投手をより必要とするであろうエンゼルスが獲得に向かうかは不透明だと思っています。
あるいはFAにはまだElvis Andrusが残っていますが、特に公式記者からエンゼルスと関連付けられた情報は出ていないはずです。
また、Rengifoのユーティリティをこなせる役割がDrury, Urshelaと重複しておりややダブついている感もあるので、左投手への強さとユーティリティ性をウリにベテランのリリーフとトレードするのはありかなと思っています。ただその場合はショートを誰か外から連れて来たいところです。
4.おわりに
使える資金と打線に残っていた穴の多さからして恐らく大型の補強は厳しいなかで、派手さはないものの、着実に穴を埋める堅実な補強が行えている印象です。
今後は投手補強がよりメインにはなりそうですが、補強を楽しみにしています!
…簡潔めにするつもりだったのですが、それでも結構字数がいってしまいました笑 徐々に簡潔に文章を書けるようになりたいと思います。
次は近日中に投手編を投稿する予定です。ぜひご覧ください!
[注釈]
この記事は1/1時点での戦力について概観したものです。それ以降に起きたBrett Phillipsの加入は記事に入っていません。
[出典]
下線が引かれている箇所にはリンクが付されています。
文中に記載されていない出典に関して、見出し画像はAngels公式Twitter、選手のデータはMLB.com、FanGraphs、Baseball Savantのものを用いています。
なお、OAA、wRC+といった指標については、英語になってしまうのですが今回は公式の定義をリンクとして貼ることにしました。分かりやすく日本語で解説してくれているサイトもあるので、知りたい方はよろしければ検索いただければと思います。