【僕の彼女は人魚姫】パロディ要素抜群の韓国産ギャルゲ。新たな人魚伝説の幕開け
作品紹介
韓国のTalesshop開発。
本記事ではリメイクされたリフレインを紹介。
人魚を題材としたドタバタコメディと恋愛ものの全年齢ノベルゲーム。
Live 2D実装。
Switch版は2019年(スマホにて2014年)配信。
SwitchとPS4にて配信。ここ最近は、セール価格でワンコイン以下になることも頻繁。
日本語と韓国語ボイス、テキストは日中韓英。
プレイ時間は本編8時間。ヒロイン1人との恋愛もので、NormalやTrue、いくつかのBadエンドが存在している。
また、エクストラモードに3時間。こちらはパロディとメタ発言を主にした短編集である。
シナリオライターはWorkingdog氏。
日本語翻訳者は景山梨彩氏。
イラストレーターはshnva氏。
Switchで展開されている『狐が僕を待っている』シリーズと同じ制作陣だ。
メインヒロインの衣音は渕上舞氏。
ぺた子は洲崎綾氏。
凛さんは景山梨彩氏が演じている。
中でも、景山梨彩氏に注目してほしい。彼女は本作の翻訳も担当していて、同ブランドのカリンちゃんやアデラも演じ、他タイトルの翻訳も。さらには、他出演声優と一緒に主題化も歌っている。大変多芸で、私の中では『Talesshop』といえば彼女といったイメージもある。
あらすじは以下の通り。詳細はストアページにて。
夏になり、地元に戻ってきた主人公。
再開した幼馴染は人魚になっていた!?
幼馴染以外にも、人魚になっている子がもう1人? なぜ、人魚になってしまったのか? 2人の世話をする巫女の目的は何なのか? 不思議なことに、村人たちは人魚であることを疑問に思っていなく……。
田舎でドタバタ生活をしながらの人魚伝説、ここに開幕。
『Talesshop』初プレイタイトルとなった。
PS4で遊べるギャルゲを探していたところ、なんだろこれは……と気になった。ネットでのレビューも数記事しか見かけなかったが、自分のセンサーにビビッと来たものだから購入することに。
以下に感想をまとめていく。構成内容、キャラクターやストーリーの魅力を語る上で微ネタバレもあるが、物語の核心には触れずに進めていく。
オススメ箇所
自由奔放なエクストラシナリオ
本編について語る前に、クリア後に読めるエクストラシナリオの魅力を語るなんて……。それほどまでにエクストラの破壊力が強かった。
パロディは当然として、メタ発言まで取り入れている。「エクストラだから〜」なんてセリフは日常茶飯事。「あのときのBadエンドではよくも……」とヤンデレモードで問い詰められる。あのときの苦労は何だったんだと思う『本編をすぐに終わらせる唯一の方法』。水着パートの直前にはまさかまさかの……ほんとにやりたい放題。何度笑ったことか。
『狐が僕を待っている』とその続編にもエクストラシナリオが存在しているが、本作のパロやメタネタは頭1つ抜けていると感じる。
非常に気に入っていても、1点問題がある。本編の感動やクリア時の余韻が、吹き飛ばされてしまったのだ。Trueエンドの感動を壊されないように。
感動やシリアスさも勿論思い出深いが、語りたいことのほとんどがパロディがどうこうばかりになってしまって……。先に書いたように、それほどエクストラシナリオの破壊力が強かった。
パロディ回収の楽しさ
版権タイトルを改変し、エクストラシナリオのサブタイトルとしているものが多く見受けられる。
『ラーメン大好き小泉さん』『干物妹!うまるちゃん』『からかい上手の高木さん』『君と彼女と彼女の恋。』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『HUNTER×HUNTER』『魔法少女まどか☆マギカ』『厨二病でも恋がしたい!』といったように、タイトル改変はパッと思い出せるだけでも数多い。
ただタイトルを改変しただけでなく、サブタイトルとシナリオが一致しているのだ。「〇〇のパロディをしたいなぁ → こういうサブタイトルにしよう → だったら、内容はこんなもので……」とパロディありきのシナリオにも感じられた。
例をあげていくと、『カップラーメン大好きイオンさん』というシナリオは、カップラーメンを初めて食べて、その魅力に取り憑かれてしまうというもの。『干物人魚ぺた子ちゃん』は、ゲームにハマったぺた子が外に出たくないとゴネて……タイトルからして分かる通りあの子である。他にも、『巫女×巫女』では感謝の正拳突きをネタに、あのセリフが収録されている『彼女と僕と彼女の推理』も。
エクストラシナリオのタイトルから〇〇のパロディと察して、だとするとこういう話なのかなぁ、もしくはあのネタはあるのかなぁと期待して……パロディ好きの私としては、大変楽しめるものであった。
エクストラシナリオでパロネタを最大限楽しめるのは勿論として、本編にもパロディが多く仕込まれている。
韓国版ニコニコ大百科的な『ナムウィキ』にて、本作のパロディ一覧ページが作られているほどだ。
パロディの王道とされるジョジョやエヴァ、ガンダム等の「何をするだァーッ!」「笑えばいいと思うよ」、通常の3倍とする赤。他にも、エロゲネタやホモネタまでもが。
また、「わけがわからないよ」は頻出で、このネタ何度も見た、ギャグにおける天丼ってこういうことかと実感してしまったほどだ。思った以上に、まどマギネタが多いわね。
クリア後にキャラクターたちのおまけボイスを聴けるようになる。自己紹介からシステムボイスのようなものまで様々で、その中にパロディセリフという項目まである。
「中に誰もいませんよ」「希望よりも熱く、絶望よりも深いもの」「人がまるでゴミのようだ」「パンツじゃないから恥ずかしくないもん」「諸君、私は戦争が好きだ」等。
さらに、セリフのチョイスも上手く、言っていても違和感ないなぁと感じる自然なものだ。
ヤンデレモード多めの衣音が、中に誰もいないと言うのは納得できる。「諸君、私はBLが好きだ」と繰り返す凛さんなんて、容易に想像がついてしまう。
クオリティの高い日本語翻訳
悲しいけどこれ海外産なのよね。
日本アニメやラノベ、エロゲネタをめちゃ使いまくっているのに、日本産じゃないことに驚くばかりだ。と同時に、国を越えて繋がるアニメ文化の輪を感じられて高い満足度を得られた。
海外産タイトルに馴染みがないと、日本語訳がどうなっているのか不安、ましてパロディやジョークを表現できているのか疑問に思う人も多いかもしれない。
これまでの記事を読んでもらえればわかる通り、パロディ含めて日本語翻訳のクオリティは非常に高い。
その翻訳文章に関心を抱きながら、凛さんの演技にかわいいと悶えたりやり取りに笑ったりと景山梨彩氏スゲェとなっていた。
ギャグとシリアスの緩急
エクストラシナリオが最高、めちゃ満足できるパロディ、キャラクターのやり取りがドタバタで面白いと語ってきたのに、本編シナリオについて言及してこず……非常に申し訳ない。
人魚になってしまった理由や村人たちがなぜ人魚を認識していないのかといった謎、後半で明らかになるぺた子や凛さんの新たな一面と私好みのシナオであった。事情を知っている凛さんが詳しく話してくれないのはモヤモヤしてしまったが……。
ヒロイン3人と自宅でワイワイ遊んでいたはずが、とある一言で空気が一変。人魚としての体に異変が生じて、雑談どころではなくなってしまう。それ以外にも、ヒロインの様子が一変する箇所、二人称の変化から不穏な空気を感じたりがとろこどころに。
やっぱり普通の人じゃないんだなぁ、この症状を治すにはどうしたらいいのだろうと続きが気になってしまう。
他にも、アホの子としていつも絡んでくるぺた子が、低音で不気味なことを伝える場面もあり……。
ギャグからシリアスに急変する瞬間がたまらない。
購入前の注意点
癖が強すぎるヒロイン
ヒロインはめちゃかわいい。みんな大好きで、特に凛さんがお気に入り。諸君、私は凛さんが好きだ。
ヤンデレモードの衣音が主人公の名前を呼びまくる、ぺた子の「これだから大人は」と拗ねたような言い方、凛さんの「ですわ〜」「〇〇で殴られたことございます?」といったセリフを代表に多くの名言(迷言?)がある。
だが、癖が強すぎるだ。ハチャメチャさが好きという私のような人もいれば、その逆もあるのは仕方なしで……。
衣音は暴力が過ぎる。かわいさから来る照れ隠しとわかっていても、頻繁に尻尾ビンタが飛んでくる。主人公が吹き飛ばされるシーンを何度見たことか。このご時世あまり見かけなくなった暴力ヒロインと言っても良い。
素手でゴキブリを潰して、主人公に見せてきたぺた子。事情があるとはいえ、何度会っても初対面のように接してきて、ウザ絡みもしてきて……。
BL大好き凛さん。彼女が1番暴力ネタ多い……。BL&暴力の凛さん。「(地面に)埋めますわ〜」というセリフは何度も耳にする。その演技が好きすぎる私には問題ないが、くどさがあるかもしれない。また、趣味で巫女をやっている者(挨拶の仕方がワンパンマンのパロディなのよ)のようで、憑依として口調や性格がガラッと変わることもある。それがまた癖の強いこと強いこと。
他にも、凛さんの影響で、頻繁にホモネタやえちえちセリフが……。パロディやメタ発言の多さは、言わずもがなである。
そういった癖の強さが大好きとなる場合もあれば、人によってはなんだか……と思うことも。
私の感覚になるが、HARUKAZEの『らぶおぶ恋愛皇帝 of LOVE!』のみんなよりは癖は弱く、すんなりと物語に入ることができた。プレイ済タイトルの中で1番癖が強く(言動について行けない場面か多かったり、頻繁なホモネタに少々呆れたり)感じたため、ここで取り上げることにした。
UI周りの物足りなさ
セリフ送り毎に流れる効果音が大きく感じ、効果音を下げて遊んでいた。この問題は『狐が僕を待っている』でも変わっていなかった。
また、通常送りは勿論として、スキップ機能を使っても、キャラクター演出が入る。それが終わらないと次のセリフに移行できない。エンディング数が多く、やり直しのため何度も同じエンドを見る可能性すらあるため、少々煩わしく感じた。
他にも、バックログジャンプ機能未実装、あのセリフをいつでも聴きたいという要望に応えたセリフ保存も実装されていない。
シナリオやギャグに満足できればそれで良いかもしれないが、UIが気になるという意見もわかってしまう。
実写背景
実写を取り入れた背景で、水彩絵具のような塗りも見受けられる。
こういうのも美しいなぁとすぐに馴染めたが、人によっては安っぽいもしくは不自然と思うかもしれない。
また、とある食事シーンがあるのだが、美味しそうと思うと共に韓国要素強いなぁ……と。
田舎風景や日本式家屋が多い中でいきなり出されたものだから、戸惑ってしまった。
Trueエンドの難しさ
本作の選択肢は非常に多い。これまで『Talesshop』タイトルをいくつか遊んできたが、その中でも1番の多さと感じた。
同じ選択肢を何度も選ぶ、選択肢中の時間切れを満たさないと、解放されないエンディングやエクストラシナリオもある。
1つしか選択肢がない、何を選べば〇〇ルートに行けるかをすぐに理解できるものより、やりごたえがある。
遊び甲斐を取るか、Trueに行けない……と悶々とするかは個人差だろう。
攻略情報を参考にしてTrueを迎えてしまったが、選択していく楽しさがあった。
まとめ
オススメ度★★★★★★★★★★
プレイ時間は10時間程度。その内3時間程度は、エクストラシナリオ。
ドタバタ会話劇、パロディやメタ発言に振り切ったシナリオが大好きのため、このオススメ度にした。
ヒロインたちとの掛け合いやパロディでめちゃ笑ったり、翻訳のクオリティに驚かされたり、充実した時間を過ごせた。
田舎での一幕、人魚ということから不安になるかもしれないが、脚を生やしての学生服立ち絵やCGイラストは実装されている。そして、水着CGイラストも勿論。
というか、ヒロインに脚が生えるということ自体、物語の大きな鍵となっているため、そこにも注目してほしい。
癖が強すぎるキャラクター、パロディをあまり理解できない、もしくはパロディやメタ発言自体好みではないという場合は、少々考えものだ。
そうだとしても、物語自体の謎、ドタバタした展開からシリアスへの急変に引き込まれたりとシナリオ面で楽しめるはずだ。
セールでワンコイン以下が頻繁だったので、その価格のときにとりあえずで手に取ってみるのも。
もしかしたら、大半の人にとっては、『狐が僕を待っている』の方が遊びやすいかもしれない。
キャラクターたちのかわいさやシナリオの魅力はそのままに、パロディ等が抑えられ、癖の強さも控えめになっている。
こちらも頻繁にワンコインセールになっていると記憶しているので、両方遊んでみることを勧める。
点数評価 95点
シナリオ ★★★★☆
伏線多め。唐突に来るシリアス展開が癖になる。
クリア後に読めるエクストラシナリオのバカ騒ぎで、本編の記憶が薄まってしまうのが致命的かも。
キャラクター★★★★★
みんな大好きだが……諸君、私は凛さんが好きだ。
衣音のヤンデレ表情も大好き。
コメディ要素★★★★★
何度も笑った。本編もドタバタ騒ぎだが、それすら凌駕するバカ騒ぎエクストラシナリオ。メタ発言やパロネタが好きなら特に気に入るかも。
パロネタありきのエクストラシナリオのため、パロディがわからない、もしくは苦手だと考え物かも。
演出 ★★★☆☆
Live 2D実装。
選択肢が多く、Trueエンドへの到達が困難。攻略サイトを頼れば楽だが、自力では注意が必要。
遊びやすさ ★★★☆☆
よくあるノベルゲーム。初の『Talesshop』タイトル及び韓国産ギャルゲーだったため、新鮮さも強かった。