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【感想】My So-called Future Girlfriend


作品紹介

 韓国の『Talesshop』開発
 ループを題材とした全年齢ノベルゲーム
 対応機種はsteamのみ。日本語字幕対応、音声は韓国語のみ
 プレイ時間は5時間未満。ヒロイン1人で、GoodとTrueのマルチエンディング方式。
 
 大まかなあらすじは以下の通り。詳細はストアページにて。
 初対面から「こんにちは、未来でアナタの彼女になる者です」と声をかけるユーリン。どうやら、未来の主人公から、過去に戻って話をしてほしいと言われたようだ。
 そんな彼女と同棲生活をし、3日間で好きになってもらうまでループを繰り返すもの。主人公はその間の記憶をすべて忘れてしまうが、彼女はしっかりと憶えていて……。
 
 これまで多くの『Talesshop』タイトルを遊んできて、その流れで購入した1本だ。
 以下に、プレイしての感想をまとめていく。構成内容、キャラクターやストーリーの魅力を語る上で微ネタバレもあるが、物語の核心には触れずに進めていく



オススメ箇所

ヒロインの可愛さ

 ユーリンは本作唯一のヒロインで、サブキャラも存在しないため、本作は彼女の魅力と2人で過ごす日々で成り立っている。
 淡い色使いと表現すればよいのか迷うが、イラストの綺麗さに目を奪われる。

 そんな彼女が、冒頭から好感度マックスで声をかけてくれる。主人公のように不審な言動で怪しさも覚える人もいるとはいえ、ついついデレてしまうだろう。 
 しかも、縦セタ。縦セタだと胸が強調されると言うが、彼女はまぁ小さめで……。いや、15歳なんだ。年齢を明らかにしている分、良さが生まれるというもの。 
 さらにさらに、普段は縦セタ、一瞬とはいえバスタオルを巻いた姿や彼シャツ、デート中の試着姿……。勿論、シャワーシーンや着替えも。 
 イラストや服装だけで満足度が高い。

 甘々な掛け合いが多い中で、特に記憶に残るのは彼女の食事パートだと思っている。とにかく食べる、めちゃ食べる……。 
 いっぱい食べる君が好き、食事中の笑顔が大好きといった人にはたまらない。 
 さらに、「ホットクを食べるときはこうした方がいいって未来のアナタが教えてくれた」、「たい焼きをどこから食べるかで性格がわかるって未来のアナタが教えてくれた」みたいな会話もある。未来の幸せな生活を思い描けると共に、些細なことでも覚えているなんて健気な子だ……と。
 料理を作るのは苦手なようで、何度か作ってはモザイク料理を提供してくれる。そんな中で成功する瞬間があるが、そのときの彼女の状況からも考え、非常に感動が強いものになっている。

 【Phase2】まではこのような可愛さを全力で味わえ、それ以降は違った観点からも彼女を見ていける。好きになってもらうまでループを続ける過酷さ、それで生まれる感情はストーリーに深く関わってくる。


周回毎に変化する彼女の印象

 ループものと記載した通り、ヒロインであるユーリンは3日間を10回近くも繰り返している。その過酷さから、性格が大きく変わってしまう箇所がある。【Phase4】まである中で、印象の変化が特に大きいのが【Phase3】だ。

 1周目は「未来の彼女です」と言われ、流れで家にあげ泊めてしまうことに。その後、甘々な掛け合いのまま進んでいき、運命の3日目。BADエンドのような流れで終わりを迎えたと思えば、タイトル画面で【Phase2】と表記され、2周目を開始することができる。
 この段階で「本作はこういうゲーム性なんだな」と理解できるだろう。
 2周目もそこまで大きな違いもなく、主人公宅を懐かしんだり馴染むのが早かったりする程度かと。また、ユーリンに好感を持っていると感じられる対応で終わるため、次回の掛け合いが気になるかたちとなる。
 
 だが、問題の【Phase3】が待っている。
 【Phase3】のユーリンはこれまでの絶望が重なり、性格が大きく変わってしまっている。
 アナタが好き好きといったものから、傲慢さが強く見られる。幾度ものループで主人公のセリフや次の行動を理解しており、食い気味で話しかけたり目的地に先回りしていたり……。
 最終的には、主人公を激怒させてしまう。ただ、彼女の行動によるものが強く、その言葉はもっともなことで、主人公に嫌悪感はまったく抱かなかった。『初対面から3日間で好きになってもらうこと』と『成功するまで、記憶を保持したまま何度も何度も繰り返すこと』といった、ユーリンに与えられた使命の過酷さを改めて思い知らされた。また、「次のループで主人公はすべて忘れているとはいえ、彼女が負った精神的な傷は確かなもので、次週はどうなっていくんだ」と不安も強く……。
 最悪な終わりになるかと思われた【Phase3】だが、主人公の怒号から1つのヒントを得ることとなる。それが最後のループである【Phase4】に繋がっていく。  

 ひたすら甘い掛け合いが楽しめる【Phase1】。
 甘々要素はそのまま、細かな違いを探していける【Phase2】。
 彼女の変化から不穏な空気に恐れ、主人公の言葉で物語が大きく動き出す【Phase3】。
 出会いから強い変化が見られ、今度こそ上手くいくはずと信じたい【Phase4】。
 最後を除き、1回のループが30分~45分程度で読み終わる。初回と2回目、ターニングポイントとなる3回目、結末の4回目と中弛みしない最小限のループ回数。3日間の出来事やループ回数は短いながらも、非常に満足いく内容だと感じた。


短いながらも満たされるおまけ要素

 TIPSからユーリンの日記を読むことが出来る。 
 彼女がループをする度に付けていた日記で、これを読むことで彼女の気持ちを少しでも理解できる。そりゃもう【Phase3】でそうなるよなぁ……となっても仕方がなかったり、必死さに胸を打たれる内容でもある。
 
 TrueEND後には、Exシナリオを2本用意されている。
 『僕の彼女は人魚姫』や『狐が僕を待っている』をプレイしたことがあるプレイヤーは、ギャグ要素強めなシナリオかと勘ぐってしまうことだろう。私自身そうであり、「食べること大好きなユーリンのグルメ道中記」とかが見られるのかなと期待してしまった。
 だが、2本ともネタ要素ゼロでメインストーリーと地続きの感動ものであった。短いながらも、これらのExシナリオを読んでこそ終わりを迎える。



購入前の注意点 

日本語未実装

 先述した通り、本作は韓国語のみ対応で、日本語ボイスが存在しない
 日本語ボイスありが良い人、韓国語を耳にしたくない人には厳しいかと。どうしてもなら、ボイス音量をゼロにするのも手だろうが……。

 私は韓国語にまったく馴染みがなく、最後まで何言っているのかわからなかった。音としてしか認識出来ず、単語や文の繋ぎすら理解できず……。時折、聞き覚えのある言葉(和製英語だったりそういうもの?)が聞こえてきて、驚いたり関心したりした程度だ。
 そんな私でも、いつの間にか「ユーリンかわいい、ユーリンほんと良き……」となっていた。何言っているのかはわからなくても、感情の変化はわかるものだなぁと。


『Talesshop』らしいクセも強い

 人によっては、効果音のクセが強く、回数も多いと感じてしまうかもしれない。代表的なものとして、主人公の震えを表現している「ガクガクガク……」といった効果音が実装されている。
 『Miracle Snack Shop』や『Adolescent Santa Claus』でも同じ効果音が使われているため、「もう慣れた。いつものだなぁ……」とも。とはいえ、特徴的ともいえるため、こちらに記載しておく。
 
 悩んでしまう選択肢が多く、Trueエンドまでは難易度が少し高く感じた。【Phase4】以降の選択肢が対象だとはわかっていても、私は数回やり直しをすることになった。攻略もあるため参考にすればいいだけとはいえ、自力でやりたいのなら少しだけ注意が必要だ。
 『僕の彼女は人魚姫』よりは易しいが(こちらでは思い切り攻略を参考にした)、選択肢の複雑さも『Talesshop』らしいだろう。

 

 

まとめ

 オススメ度★★★★★★★★★★
 プレイ時間は5時間未満。3日間の出来事やループ回数が最小限だからこそ中弛みしない。それにもかかわらず、非常に満足行く時間を過ごせる。『短い時間で充実した内容』の私好みなタイトルだと感じた。
 
 序盤の掛け合いでは可愛いを強く感じるだけだったが、【Phase3】でのヒロインの様子と結末から物語に引き込まれ、一気にラストまで読んでしまったほどだ。
 Goodエンドは感動もの。Trueはその上を行く。最後に、Exシナリオで完結する……と感動の三段構えが待っている。
 
 欲を言えば、日本語ボイスを実装してほしかった。とはいえ、韓国語にまったく馴染みがなくても、ユーリンの可愛さや感情の振れ幅を理解できたため、このままでもいいのかなぁと……。
 というか、日本語未実装の『Talesshop』タイトルをローカライズしてほしい。

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