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【詩】ハイキ圏


プラスティックな気圏に
宮沢賢治が座している
ハイキ圏の向こうに
有機交流電灯が
曼陀羅へと指し示す
仏教の涅槃の胸中

そこから見下ろす街は
優しい光が点々として
街で生きる意味を考え直させてくれる

そこから見下ろす街は
優しい光が点々として
僕はハイキ圏から帰還した

雲間から差す陽は
悠久の時を経ているに違いなく
ぐぐると太陽の中心から
表面に届くまで17万年かかるという
僕の気分も晴れるまで
そのくらいかかるよ

家を出た
道すがら猫がいた
近づいても逃げないが
泣きもしない無愛想な
どっぷり猫だ
今日はこいつをミャーと言わすまで
ここを動かないと決めた

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