ドール オムニバス0
ネジを巻く音。
レコードプレーヤーからパイプオルガンが荘厳に、しかしあくまでも静かに囁くように流れている。
…青と赤のオッドアイ。
瞳孔が閉まったり、開いたり、ぎこちない。まだ光に慣れないようだ。
眼球が取り出され、再調整される。
優しく眼窩にまた入れられて、男がチェックする。
職人のような格好をした男は、優しく肩を抱いて、椅子の上に座らせた。男の所作はあくまで優しい。
…ドール。
そう、それは、人間の子供位の少女のドールだった。
人間の歳で言えば11歳位の感じで、顔は端正な中にも、可愛らしい部分があって、優しさをも秘めていることをうかがわせる。
唇はほのかに色が差していている。
服は黒のゴシックロリータらしい。後で調べたんだ。
「さて、君の名前を決めないと行けないね」
僕は手足の無い状態で棚に載せられて見てたんだ。多分僕のお姉さんを。
(おしまい)
タイトル画像:nocopyrightgirl