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【往復書簡エッセイ No.11】母の本心とつながった話

レラちゃん、こんにちは!
おばあちゃまのヒミツの恋バナに、涙腺が緩みました。浅き夢見し……。大切な思い出をレラちゃんに伝えたくなった乙女心に思いを馳せたよ。

今回は、母に対するモヤモヤがテーマ。私の内省トークを聞いてください。


母の本心とつながった話

80代の両親は二人暮らし。どうにかギリギリのところで日常生活を回しているが、どちらか一方が風邪でも引けば、途端にバランスが崩れてしまう危うさである。

週2回、LINEで二人とビデオ通話をしているが、小康状態のときと、話題が身体の不調ばかりになるときを行ったり来たりして、寄せては返す波のようだ。

これから徐々に不調の時間の方が増えていき、そう遠くないうちに、もっとサポートが必要になるのだろう。

ビデオ通話では、身体に不調はあるが口の達者な母が、メインの話し手だ。軽度認知障害(MCI)の父は、傍らで黙って聞いていることが多い。

母は体調の悪さをひとしきり語ると、最後に必ず「あんたを頼りにしてるのよ」と付け加える。

私はこれがイヤでたまらなかった。

なんでだろう? 将来の介護をよろしくと宣言されているみたいだから? いや、それは別にいいのだ。すでにサポートしつつあるのだし。

そうではなくて、なんだか芝居がかっているように感じられるのだ。母の気持ちとは関係なしに、とりあえず言葉だけを宙に放ったような。完全な嘘とまでは言わないが、100%の本音というわけでもないように私には聞こえたのである。

そういうことを言う割に、母が私の意見を頑として受け入れないのも不満だった。不便になりつつある生活パターンを変えて、もっとラクに暮らせるようにと色々な提案をしているのだが。

母から「あんたが頼り」と言われるたびに違和感が募ったが、私がひねくれ過ぎなのかもしれず、面倒なのでいつも「はいはい」と適当に聞き流していた。

先日、実家に行って母と二人で話す機会があった。父は別室でテレビを見ていた。

認知が弱まっていても身体は丈夫だった父が、このところ原因不明の胃痛と腰痛を訴えて、何もしたがらないそうである。そのシワ寄せがすべて母に行き、自分の身体だけでも精一杯なのに父の面倒も見なければならずタイヘンなのだとこぼす。

ビデオ越しに毎度「調子が悪くてタイヘンだ」と聞かされて少々ウンザリしていたのとは違って、その日は母の話を共感的に聞くことができた。

やはりリアルに会って直接話すと違うよね……と納得しかけて、ふと頭のなかに電球のように灯ったものがあった。

母は、父がいないから本音を語っていたのでは? 本音だからこそ私は共感できたのではないだろうか! 

これまで母のみとビデオ通話をしたことがなく、いつも父が一緒にいた。母にとっては、何となく父に聞かれたくないことや、逆にわざと父に聞いてほしくて私にセリフを投げかけることがあったのでは? それならば「芝居がかっている」と私が感じたことも、腑に落ちる。

両親の健康状態は悪くなってきていても、母の本心とつながった気がした。私にとっては以前よりもポジティブな心持ちである。

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