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BEMANI Pro League 2021のここがすごい
コナミが手がけているe-sportsの祭典として、BEMANI Pro League 2021(以下、BPL2021と書きます)というものがあります。わたしの敬愛する音楽ゲームであるbeatmania IIDXにおいて、圧倒的な実力を誇る24人の選手たちがしのぎを削っています。毎週土曜日にYouTubeにて無料で配信されており、最近は夢中で見ています。
BPL2021のシステムについて簡単に書くと、以下のような内容です。
①ゲームセンターを運営する企業6社が協賛しており、各チーム4人をドラフト形式で選抜
②6チームはリーグ戦を戦い、先鋒、中堅、大将を選ぶ
③各選手は互いに1曲ずつ選曲し、それぞれのスコアを競う
④各選手には試合に出場できる回数が決まっており、強い人をずっと出していればいいと言うわけではない
⑤リーグ戦を戦い抜いて、勝ち点が高いチームの勝ち
というような感じです。実際はもっと複雑なので詳しくは公式ページを見てください。これの何が我々を夢中にさせるのか?散々語り尽くされているものではありますが、本稿では、わたしなりに「ここが面白いのだ!」ということを3つに分けて書いていきます。
展開が一目でわかるように演出が洗練されている
ゲームの大会は、一般的にそのゲームをプレイしていない人にはよくわからないのではないか?と思われがちな気がしています。
これがBPL2021の試合画面です。どうでしょうか?BPL2021では、流れてくる譜面をどれだけ正確に叩くことができるか、そのスコアを競い合います。画面中央の棒グラフが、スコアの状況をリアルタイムで反映しています。どちらが何ポイントリードしているかが、わかりやすく書かれています。棒グラフの色がチームカラーになっているところもわかりやすさに拍車をかけています。
ゲーム中はこの点差がリアルタイムで激しく動きます!少しのミスで大きく点数が動くので、最後の一秒まで、どうなるかわかりません。ずっと劣勢だったのに最後の3秒で抜き返す、などのことも当然のように起こります。複雑なゲーム展開であっても、それをリアルタイムに、一瞥してわかるような形で表現できているのは、実は簡単なことではないと思っています。
beatmania IIDXは、平たく言うと2分間に2000回の操作を行うゲームです。2000個の操作一つ一つに厳しい判定があり、その結果は即座に反映され、目の前に表示されるのです。この世界にはたくさんのスポーツがありますが、2分間にざっと2000個の展開があり、なおかつ状況をだれが見てもわかる、というスポーツはそうないでしょう。このe-sportsを見ているときにしか得られない興奮が、確実に存在します。
もちろん、ゲームをしっかり遊んでいて、どれだけ凄いことをしているかわかる状態で見たほうが面白いことは間違い無いのですが、よくわかっていなくても、見れば「なんかすごいことが起こってるぞ!!」とはなると思うのです。ビートマニアをやったことがない方におかれても、騙されたと思って是非一度見ていただきたいです。
チームの戦略が光る
beatmania IIDXというゲームの戦略性については、説明するとそれだけで一つの記事になってしまうので他に譲ります。が、それを差し引いても、BPL2021という大会自体が、かなりの戦略性を要求されるように巧みに設計されています。最も単純な例で言うと、「コスト」という制度があります。この大会は先鋒、中堅、大将を1名ずつ選出して戦うのですが、大将の方が勝ち点のウェイトが重く、出場するのにかかるコストも大きくなっています。ですので、強い選手をとにかく大将でどんどん出せばいいかというと必ずしもそうではなく、相手の出方を読み、なおかつ将来の展開も見据えた上で、適切な采配をする必要があります。
それぞれの選手には得意技や弱点があります。各対決ごとに、課題曲のジャンルも指定されるので、そのジャンルに適した選手を選抜することも重要になってきます。
選手たちはドラフト形式で選ばれています。1巡目で指名された選手と、4巡目で指名された選手では、やはり実力の差があるのが現実のようです。それでも、明らかに格上の相手に対して、チームとしての戦略を駆使し、攻め落とそうとする様子は本当に面白く、かつ勇気をもらうことができます。
各チームは試合後に「ふりかえり配信」というものをしてくれているので、そこで「こういう戦略でした」ということを語ってくれます。試合だけではなく、各チームの思惑も楽しむことができるので、のめり込めばのめり込むほど、面白くなってきます。
チーム戦ならではのクソデカ感情がある
選手たちは人間です。そのため、場面によっては緊張のあまり本来の実力を出しきれなかったりするケースがあります。また、逆に追い込まれた状況において自らの限界を越えるようなプレーを魅せてくれる時もあります。個人戦には個人戦の面白さがありますが、BPL2021は、チーム戦ならではの面白さ、喜(怒)哀楽があふれています。試合後に涙を流す選手も少なくありません。
そんな、涙を流す選手たちの姿は、BPL2021が始まったばかりの頃にはあまり見られなかったように思います。試合展開が進んできて、チーム間の絆が深まったからこその巨大な感情が、選手たちの間に生まれているように思えてなりません。
わたし自身、最初の方は選手たちの個性もそんなによくわかってない状態で見ていたので、ただのスーパープレーを見るだけの回だと思って見ていました。選手たちの個性がわかり、性格がわかり、置かれている状況が見えてくると、感情の移入度合いが抜群に上がります。最近はもうドラマを見るような気持ちで、祈るような気持ちで見ています。
早速今週末見てください
本稿を読んでBPL2021面白そうじゃん!となった方は、是非早速今週末見てください。わたしの推しはシルクハットですが、シルクハットがレジャーランドと対決します。
BPL2021の魅力として3つ挙げましたが、実際初見ではそこまでのめり込めないと思います。まずはただ選手たちのスーパープレーを見るために、軽い気持ちでご覧になるのが良いかと思います。
今週末の放送を待たずして、過去のアーカイブを見るのも良いです。なんとなくですが、まずは第3試合あたりから見るとよいかと思います。