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指欠けちゃった

指が欠けました。チクショーーーーーどうしてこんなことに!本稿はその経緯と詳細を記しますが、全般的にとっても痛そうな内容なので、そういうのが苦手な方は読まないでください。

事故の経緯

わたしが在宅勤務中に昼ごはんを作ろうと思ったときにキッチンにて事故が発生しました。玉ねぎを切ろうと思ったのですが、一部分だけが腐っていました。内側から3枚目くらいの部分だけが腐っていたのです。それを取り除こうと包丁を使ってグリグリとしていたところ、想像以上に柔らかい部位があったので包丁が想定しない強さで暴走、その結果、包丁で指の先端をカットしてしまいました。具体的には下図のような切り方です。

爪の一部ごと持っていかれた

爪の一部も持っていかれるような形で、皮膚だけではなく肉の部分に刃が通ってしまいました。完全に削げ落ちたわけではなく、首の皮一枚で繋がっているような下図のような感じでした。

首の皮一枚

事故後の対応

しばらく流水で傷口を洗いました。これが悶絶級の痛さで、しかも無限に血が流れ出ていきます。その後ガーゼやいいタオルなどがなかったので、ティッシュを十数枚押し当てて全力の止血を行いました。食欲は完全に失せたので昼ごはんどころの騒ぎではありません。全力の止血をしながら仕事に戻り、14:00-15:00までの打ち合わせが終わるのを待って家を飛び出しました。(仕事を優先したのは近所の病院の開院が14:30以降のところばかりだったからというのもあります)

包丁で指を抉った場合は皮膚科か外科が良いというネットの記事を見て、近所の皮膚科に行きました。皮膚科は3時間待ちで、「包丁で切った」と伝えると「それは……外科じゃないっすかね?」と言われました。3時間待った挙句やっぱ外科じゃね?となるよりは良いと思ったので、そのまま皮膚科をあとにし、外科へ向かいました。

たどり着いたのは外科もやってるし内科やらなんやらもいろいろやっている病院でした。入ると異常に空いています。「こんなに空いてて大丈夫か?」と思いながら受付をするとすぐに対応してもらえました。ありがたいですが、さっきの皮膚科の混雑と比べるとちょっと心配になります。

医者が出てきました。ここで性欲の強そうな50代男性を思い浮かべてください。あなたの脳内に今召喚されたような感じの人が担当医でした。患部を見せるためにまだ持っていたティッシュを取り除きますが、血が絡んでいるのでこれも苦戦します。水でティッシュを破壊しながらやっとの思いで患部を見せました。首の皮一枚で繋がっている肉片を見て、「これはもうくっつかないです」と言って引きちぎられて、「食べる?」と聞かれました。(出た!ジジイのユーモアだ!)と思って心の中では笑顔になったのですが、「だ、大丈夫です」ということしかできませんでした。なお、肉片はもう白っぽくなってしまっていたので実際もうくっつかなかったんでしょうね。

「血は止まりますよ!大丈夫です」と言いながら医者が指を強力な握力で握ってきました。「こうやってグッとやればいつか止まりますから」と言いながらグッグッと指を握ってくるのです。これはマジで痛いので「そんなことをしてなんになる?」と言いたくなりました。「大丈夫か?」という気持ちがどんどん強くなって身体中にじんわりと汗が滲んできます。

ベッドに寝かされて外科手術が始まりました。ベッドの周りにわらわらと若い医師たちが集まってきて、変わる変わるいろんなものを担当医に渡していきます。さながら大手術が始まるかのような雰囲気です。
普段献血や採血のときは「何が起きてるかわからないと怖いから」という理由で施術をガン見するのですが、今回ばかりはマジで怖くて直視できませんでした。医者が「※☆×Ωしてあげるからね」となんなのかわからないことを救済のように口にします。一応局所麻酔をして手術してくれるようです。「痛み止めですからここは我慢してください」と言われ、指になんなのかわからない針が刺され、何かが注入される感覚が走ります。指をカットしたことによるズキズキとした痛みが通奏低音のように響く中で、鋭い痛みが指先に走ります。痛みのハーモニーがわたしの顔を歪めました。わたしの顔が歪むたびに、助手っぽい若い医師が「痛みますか、がんばってくださいね」とやさしく声をかけます。「痛いに決まってるよ〜なァ?」と痛みを生み出している張本人の医師が開き直って言うのでわたしは考えるのをやめました。元はといえばわたし自身がこの痛みを生んでいる張本人なのですが。

局所麻酔なのか痛み止めなのかが効いたのかよくわからないまま施術が始まります。「止血のために指を縫合して肉が上がってくるのを待つ」という戦略のようです。ところで皆さんは爪に針と糸を通されたことがありますか?それも肉がついているあたりの爪にです。わたしはそれを体験しました。爪のようなやや固いエリアに針を入れ、その後爪の裏側に糸が通っていくのです。中世の拷問に爪を剥がすものがありましたが、それの簡易板を体験しているような気持ちでした。爪に針が通るたびに鋭い痛みが走ります。さっき注入された痛み止めはなんだったんだ?と思うレベルで痛いです。
途中、糸か針の太さの規格(?)が医者好みじゃなかったとかで入れ直しになるなどしました。また、老眼だからということで医者が20回くらい舌打ちしながらわたしの爪に針を打ち込んでいました。「大丈夫か?」という気持ちが痛みでどうでも良くなってきました。「頼むから後遺症だけはなんとか……」と祈ることしかできませんでした。見習いの医者たちが多数来ている日だったようで、「こういう傷はよくあることで、こういう処置もよくあるんですわ」という話をずっとしていました。「ヤクザの指を落としたこともあったけど、あいつらは強がって麻酔いらないとか抜かしててさァ、でも骨にガンと当たったらそのまま気失ってたわ。」みたいな話を得意げにしていました。それを聞いてどんな気持ちでいればいいんだよ。

というわけで手術は無事完了しました。3針縫う結果となりました。施術が終わったあと、医者は「普通は大声を出してもおかしくないのによく耐えましたね、我慢強いですね」と言ってくれました。その後抗生物質と痛み止めを処方してもらって幕となりました。処方箋の薬局もそこそこ混んでいたので、「本当に大丈夫だったのか?」という気持ちがまた湧き出ることになりました。この記事を書いている頃には慢性的な痛みは引いているので、まあ総合的には今のところ大丈夫だったんだろうなという感じです。

事故を経て

左手の親指が使えなくなるのは想像していた以上に厳しいものでした。スマホのキーボードも打ちにくく、袋を開けるのも難しいです。また、趣味としている音ゲーもできないし楽器演奏もできません……せっかくお盆休みでたくさん練習しようと思っていたんですけどね……

事故の最大の原因としては、包丁の恐ろしさを忘れていたことかなと思います。2週間ほど旅行して、その後1週間ほど在宅勤務をせず、包丁を握るのが久しぶりでした。料理の感覚をちょっと忘れていた中で、普段やらないイレギュラーな行為を行ったことで事故が発生したものと思います。玉ねぎが腐ったのも旅行のせいであろうことを考えると、2週間も旅行に行った代償を支払ったというのが一番自然な解釈です。何か他の罪の代償の可能性もありますけど……

これに懲りて包丁はもう握らない、ということにはならないつもりです。処方箋薬局の人からも「包丁で切ったってことは逆にちゃんと料理してるってことですね。偉いですね。」と言ってもらえて抱きしめられたかのようなうれしさを覚えました。この人を裏切らないためにも(?)自炊は続けるべきです。というわけでこの手負いの状態でも薄いビニール手袋をつけながら玉ねぎを切るなどしました。

玉ねぎを使った雑なパスタ

数週間前のnoteに「そろそろ大きな怪我か食中毒をやりそう」と書いた気がするんですがまんまと当たりました。こういう失敗で人は大きくなっていくのです。この程度で済んでよかったですね。

なお、一応施術後の患部の写真は撮っていますが、グロテスクなので貼りません。もし気になる人がいたらダイレクトメッセージをください。……いや、見たがるということが怖すぎるのでやっぱり連絡してこないでください……

以上です。みなさまも包丁やスライサーの扱いにはご注意ください。

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