BPLS2 IIDX おつかれさまでした(上)
KONAMIが誇るe-Sportsの大会である、BEMANI PRO LEAGUE SEASON 2のIIDX部門が無事に閉幕しました。今回はどのチームもどの選手もレベルが非常に高く、どこが勝ってもおかしくないようなものでした。
本稿では、そんなシーズン2の感想について各チームごとに書いていきたいと思います。ちょっと上から目線みたいになっちゃったらすみません。
SILKHAT
シルクハットは昨年度に比べて非常にバランスの整ったチームに仕上がった印象があります。☆12の高難度譜面ならなんでもござれ、絶対的エースのSEIRYU選手を補強するかのように、スクラッチに強い(そしてDPの経験からおそらくソフランも強い)EXIT選手が加入しました。また、プロとしての経験が豊富なANSA選手と単発系に強いKIDO選手が加わることで全方位に対してバランスのいいチームだった、と思っています。それでいて全体的に知的なチームだったなと思っていて、そこが個人的な推しポイントでした。
また、SILKHATはファンサも素晴らしくて、レッスンイベントを開いて我々一般市民にプロの技術を教えてくれる機会を設けてくださったり、数多くのグッズの販売をされたりしていました。
しかしながら、序盤からなかなか苦しい展開で、上手く勢いに乗りきれなかったところがありました。特にEXIT選手は非常に警戒されてしまい、ストラテジーカードを何回も喰らってしまいました。そこで勢いを封じられてしまったのが痛手だったのかな……という印象があります。また、チームの戦略としてSEIRYUさんの2タテに期待する向きがありましたが、それも警戒されてしっかり対策されてしまった……というところも苦しいポイントの一つだった気がします。
そんな中でカッコよかったのが、DINASO選手vsEXIT選手の対決と、SEIRYU選手vsMIKAMO選手の対決でした。DINASO選手とEXIT選手の対決は、すでにチームとしては負けが決まってしまい、またストラテジーカードを投げられて自選曲が変更させられた、というシチュエーションの対決でした。そんな中でEXIT選手は、in the Sky(A)でMAX-6という尋常ならざる精度を叩き出し、意地を見せたのでした。これは本当にシビれて、家の中で叫んでしまいました。
TAITO STATION Tradz
Tradzのすごいところは、SILKHATとも似ていますが、ファンサの手厚さでした。驚くべきはマネージャーさんの敏腕さです。契約が決まってすぐRIOO選手のホームにライトニング筐体を手配したり、ハチャメチャにカッコいいプロモーションビデオを作ったり、大阪や名古屋でのイベントを開催したり、マリオンクレープとのコラボをしたり、などなど、ここには書ききれないほどたくさんの規格を、尋常ではない段取りで実現していました。他にも、新宿のEX BARでライブビューイングを催したりなど、BEMANI PRO LEAGUEをe-Sportsとして一つの文化にしていくんだ、という気概すらをも感じるチームでした。
そうしたプロモーション戦略が功を奏したのか、選手の人気投票では1位〜4位をすべてTradzが独占するという、とんでもない偉業を成し遂げることになりました。とんでもない偉業ではありますが、プロモーションの力の入りようから考えると、当然の結果とも言えるのでしょう。
また、個人的にタイトーステーションに一番お世話になっているというか、人生で最も多くのクレジットを投じているゲームセンターなので、その点でも非常に応援していました。
チームとしてはTradzも非常に警戒されることが多く、ストラテジーカードを多く被弾する苦しい展開でした。皆さん言っていることですが、厳しかったのは勝ちきれなかったことでした。Tradzは引き分けを最も多く経験したチームでした。引き分けした時点では、「悪くない、悪くない」という感じだったのですが、この引き分けがあとにボディブローのように効いてくる展開になりました。BPLレギュラーステージの大混戦っぷり、そしてレベルの高さに驚くばかりでした。
個人的にカッコいいと思ったのは、SuperNOVA Tohoku戦のVELVET選手vsTATSU選手の対決でした。VELVET選手にとっては自信のあるジャンルで、KACでも選曲するほどの自信のある曲を選び、2タテするつもり満々だったのですが……
この対決によって、TATSU選手の自選曲を通す力が広く知られることになったと思っています。チームとしては負けが確定していても、その状況において「意地」を発揮できる選手は本当にかっこいいと思っています。
GAME PANIC
ゲームパニックは、昨年度と監督陣も含めて全く同じ布陣で挑む、という挑戦的なチームでした。実際、変えようにも変えようがないだろう、というほどバランスの取れたチームなので、むべなるかな、という感想です。今シーズン恐ろしかったのは、今回のレギュラーステージのルールが、極めてゲームパニック有利なものになっていたところです。これまでのBPLでは、最もポイントの比重の重い大将戦は☆12で戦うことになっていました。しかし、ルール変更によって、☆11で大将戦を争う指定A方式と、従来通り☆12で大将戦を争う指定B方式の二つに分かれたのです。ゲームパニックのMIKAMO選手とPEACE選手は☆11を庭としている選手です。したがって、ゲームパニックと指定Aの大将戦で戦うのはどのチームにとっても正念場でした。
蓋を開けてみるとゲームパニックもなかなか苦戦する場面が多かった印象でした。チームの実力を考えると本当に不思議でしょうがないのですが、最後のROUND 1戦を迎えるまではレギュラーステージを突破できるかどうかの瀬戸際に立つほどでした。
個人的にカッコいいと思ったのは、レギュラーステージの最終日、ROUND1戦での54GAYA選手vsKUREI選手の死闘でした。チームメンバーがつなぎ、54GAYA選手が1勝すればクォーターファイナル通過、2敗すれば敗退というプレッシャー、さらにはストラテジーカードを被弾してしまう、という展開の中で見せた魂の試合でした。
見ていて本当に心が揺さぶられました。GAME PANICが勝利した瞬間は、わたしの推していたSILKHATの敗退が確定する瞬間でもありました。ですが、この映像を見て、どうしてGAME PANICの勝利を祝福せずにいられようか?そう思いました。
このツイート見て泣いちゃったな……
APINA VRAMeS
アピナは前シーズンのチャンピオンでした。前シーズンで伝説的な活躍を見せたDOLCE選手が今シーズンは不参加ということで、苦戦するのではないか?という下馬評もあったように思うのですが、実態は全くそんなことありませんでした。UCCHIE選手をはじめ、「昨シーズンはドラフト順が1個ずつ下だったはずですけど!?」と思うほどに、全くと言っていいほどDOLCE選手の不在を感じさせないプレーだったように思いました。
とくに、ドラフト4巡目で加入した46選手の活躍がめざましいものでした。自分にわからないのは、「アピナは凄い選手を見つけてくるのが上手いのか、加入した選手を凄い選手にする力があるのか、どっちか?」ということです。大会の中盤から活動を開始した46選手は、VELVET選手やCORIVE選手などの超強敵を相手に自選曲を通す凄まじさを発揮していました。また、昨シーズンにおいても、UCCHIE選手の成長率というのが尋常ではないものがありました。ROUND1のU*TAKA選手からポイントを奪ったのは、2シーズン通してアピナの選手だけです。(※違ったらすみません)
これは、他のどのチームも注目していなかった凄い選手を見つける能力があるのか、あるいは、驚異的なペースで成長させられる環境があるのか、どっちなんだろう?ということが不思議でなりません。おそらく両方なのでしょう。
今シーズンでも安定した強さを見せていましたが、クォーターファイナルの短期決戦で惜しくも敗れてしまいました。次シーズンではさらに恐ろしいチームになっているのではないか、と思います。今から楽しみでしょうがないです。
個人的にカッコいいと思ったのは、GiGO戦におけるCORIVE選手vs46選手の対決でした。2人はもともとしのぎを削り続けてきたライバル関係にあり、それでいてタイプが全然違う選手でした。そんな中、CORIVE選手のフィールドであるスクラッチというジャンルにて46選手が殴り込みをかけることになりました。チームメイトが勝利をつなぎ、46選手は1曲でも取ることができればチームとして勝利できる状態に持ち込まれていました。46選手はそこで、磨きに磨きぬいた武器をぶつけるのです。
負けて泣くというのも選手の本気を感じるのですが、勝って泣くというのもまた、選手の本気を感じられて心が大きく動かされます。
CORIVE選手は前シーズンにおいて、DOLCE選手に対して自選曲を取り、チームを勝利に導いた経験があります。このときも、DOLCE選手のフィールドであるSOF-LANというジャンルにおいて、圧倒的努力と対策、そしてひとつまみの運によって、強大な相手に対して勝利を得たのです。それと同じ構図が、次のシーズンにおいて、「自分が倒される側」として再現した、ということに胸が熱くなりました。このことは、46選手の成長の物語であるとともに、CORIVE選手の成長の物語でもあると思います。わずかな間にスター選手が次々と生まれる、BPLは本当に夢のある舞台だと思います。
つづきます
書いているうちに尋常じゃないほど長くなってしまったので、後半戦はまた来週書きたいと思います。