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東北に旅行に行きました

先月、JR150周年記念パスを使用して東北に旅行に行きました。本稿ではその記録を記します。

ざっくり旅程

初日

・新幹線で盛岡
・盛岡から山田線で宮古泊

2日目

・宮古から三陸鉄道で盛
・盛からBRTで気仙沼
・気仙沼から大船渡線で一ノ関
・一ノ関から東北本線で北上
・北上から北上線で横手
・横手から奥羽本線で新庄泊

3日目

・新庄から陸羽東線で小牛田
・小牛田から気仙沼線などで柳津により小牛田に戻る
・小牛田から東北本線で仙台
・仙台から新幹線で郡山
・郡山から磐越東線でいわき
・いわきから常磐線特急で帰宅

山田線めっちゃ遅れる

盛岡から山田線というのに乗って宮古に行きました。かなり外が暗い時間になってしまったので景色は何一つ見えませんでした。この手のローカル線は大抵ワンマン運転だと思うのですが、山田線にはなんと車掌さんがいたのがびっくりポイントでした。

特筆すべきは、めちゃめちゃ遅れるやん!ということです。とくに気象条件が理由だったというわけではなく、「空転」が原因でした。初めて知ったのですが、落ち葉などが線路にたくさん落ちていると、車輪が一回転してもその分前に進まない、空回り状態になってしまうことで、思っていた程のスピードが出なくなる、という現象があるそうです。運行本数が多い路線ならこんなことはないのですが、1日に数本しかないローカル線ではこういうことがあるようなのです。

それでいて、山田線はほぼ単線なので、行き違いができるのが茂市駅と上米内駅の2箇所しかありません。というわけで、わたしの乗っている車両は上米内駅でなんと45分ほど待つことになりました。さらに、わたしの乗っている車両もまた空転の影響で遅れてしまったので、宮古駅に着いたのは1時間10分遅れでした。すごい話ですね。わたしは宮古泊の予定でしたし、車内の人たちもほぼそうだったっぽいので、誰も怒っている人がいなかったのが救いでした。山田線に乗ろうと思う人たちは豪の者ばかりなので、みんな山田線の空転について知っていて、あらかじめ計画に入れていたのかもしれません。

宮古駅に着くと、釜石行きの車両がなっててくれていて、「こんなに長い間待っててくれたなんて!」と、乗るつもりもないのに感動してしまいました。

70分も待っててくれた三陸鉄道の車両

宮古に着いたのは21:30だったのですが、飲食店は居酒屋しか開いていませんでした。一人で居酒屋に入る度胸がなかったので、この日はコンビニで済ませてしまいました。そんな日もあるね。

三陸鉄道とBRT

2日目は三陸鉄道とBRTを使って南下しました。三陸鉄道の沿線を見て思ったのは、「めちゃめちゃきれい」ということです。これは、自然が美しいということがまず一つです。

きれいな三陸の海

きれいなのは自然だけではないです。それだけではなく、建造物や道路が、とにかく新しくてきれいなのです。これは喜ばしいことでもあり、悲しいことでもあるな、と思いました。きれいな建造物のあったところには、古くからあった建造物がかつてあったのです。古くからある建物と、新しい建物のコントラストに、災害の記憶が刻み込まれているように感じられるのです。

三陸鉄道やBRTに乗るのは実は2回目です。2017年に一度陸前高田に訪れたのですが、その頃は一面見渡す限り盛り土で、何もなくなってしまった、という印象でした。これだけの広大な土地に、かつて人々の生活があったということなんて想像もつかないほどの光景でした。しかし、5年ぶりに陸前高田に行くと、そこにはめちゃめちゃ立派な市場が作られていて、溢れんばかりの人が訪れていたのです。泣きそうになってしまったので写真は撮れなかったのですが、この光景を忘れることはないと思います。

被災地復興のキャッチコピーとして知られているのは「がんばろう、東北」です。「がんばれ東北」ではないところがポイントと思います。東北に行くまでは、このキャッチコピーが「お前も東北のためにがんばろう」と言っているような感じがしていて、見るたびに「何もできてなくてすみません……」という気持ちになっていたものでした。しかし、東北に、被災地に行くと、そういうメッセージだけじゃなかったんだな、という気持ちになりました。絶望的な状況から立ち上がって、故郷を再生させようとするエネルギーの強さを見ていると、「自分もがんばらないとな」というエネルギーをもらえるのです。傷だらけの手で肩をポンと叩いてもらうような感覚です。触れることで伝わってくる傷と体温が、こちらを明確に勇気づけてくれるような、そんな世界があります。「がんばろう」ってそういうことなんだな、と思えてきます。

ただ、気仙沼港のトイレの男性用小便器のところに、「気仙沼の復興と共にもう一歩前へ!」と書いてあったのは「やかましいわ」と思いました。

サンマを自慢する盛駅の木彫りの像
気仙沼港で買えるシャークチップス、これがジャンクで美味い

宮城といわき

3日目は眠すぎてほぼ移動しただけになってしまいました。早朝に陸羽東線に乗ったのですが、眠すぎてほとんど寝てしまいました。電車がピタッと止まって何事かと目を開けると、そこは鳴子温泉の回顧(みかえり)橋でした。紅葉が尋常じゃないくらいきれいで、一瞬で目が覚めました。絶景すぎて死後の世界に来ちゃったのかと思いました。

紅葉がえげつない

陸羽東線に乗るにあたって、というか鳴子温泉の近くに行くにあたって、こういうのがあるということを調べずに行くのはよくなかったな〜と思うのですが、図らずも紅葉の一番いい季節に、予想もしない形でこれを見ることができたにはシンプルに幸運だったと思います。

そんな旅程の3日目でもう一つ記憶に残っているのが、いわきで食べた焼き鳥です。これはフォロワーの方に教えてもらった、「クウカイ」というお店です。

お通しの時点で暴力的にうまい
蒸したニンニクを豚肉で巻いたもの、悪魔的においしい
もずく酢もうまい、そんなことがあっていいのか?
焼き鳥、仕事が丁寧

一般的な居酒屋くらい(4000〜5000円くらい?)の価格帯で、ここまで美味しい焼き鳥が食べられるのか!という驚きを覚えるお店です。串焼きも接客もとにかく丁寧で、それでいて変に気取っているわけでもありません。こんなにひたむきに仕事をしている人たちがいわきにいるのだ、という事実に今日も勇気づけられてしまうほどのお店です。変なお客さんに見つからず、変に話題になりすぎず、心身共に健全な状態で仕事を続けてほしいな、という、一般的な飲食店に抱くものとまるで違う感想を覚えてしまうような、そんなお店でした。これから何回いわきに行けるかわかりませんが、その度に何とかねじ込んででもいきたいな、と、そう思えます。

魂の充電ができる東北

東北に行くことで感じられるのは、魂が充電されるな、ということです。絶望的な状況から立ちあがろうとする人を見ると勇気が出ますし、自分も何かできることはないかと自然と思います。これまでろくすっぽ支援もしてこず、ふらっと来ただけの分際でそんなことを言うべきじゃないのかもしれませんが、「俺たち/わたしたちはがんばっているぞ」という姿勢を見て、「自分もがんばろう」と思える、そういう地だな、と改めて感じることができました。またそのうち行きたいと思います。

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