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パリピ孔明面白かった
あんまりアニメを見ない人生だったのですが、u-nextに入会したので、これを期に、と『パリピ孔明』を見ました。これが非常に面白かったです。本稿ではその感想をほんのりと書いていきます。もしかしたらネタバレがあるかもなので、まだ見てなくてこれから見ようとしている方は注意ください。
キャスティングが面白かった
現代に転生した蜀の孔明がボーカリストのEIKOさんと出会い、その歌声に感動し、今度はEIKOさんを君主として天下泰平を目指す、という話です。そのEIKOさんは、声優と歌唱担当が別で分けられています。これが面白くてかつ絶妙でした。しゃべっている声の延長線上にありそうな声質で、なおかつ歌が明確にバッキバキに上手い、という人を見つけてくるのは難しかったろうな、と思います。それでいて、別人にすることで、歌パートに切り替わった時の“別人感”を醸し出すことができていたように思います。プロのアーティストでもしゃべっているときと歌っている時では全然オーラが違う人がいます。その歌声を聞いた瞬間のハッと息を呑んでしまう感じが表現されているように思えました。
また、話の中盤からKABE太人さんというラッパーの人が出てくるのですが、こちらはラップパートも声優さん本人が演じられていました。千葉翔也さんすごい。これに関しては見ればわかるのですが、むしろ別人でない方がいいのです。KABEさんのキャラクターで、マイカフォンを握ると人格が変わったかのようにラップをする、というのがいいのです。ライバル役の木村昴さんもすごかったです。ヒプノシスマイクも見たくなりますね。
ストーリーが気持ちよかった
気持ちのいい話を書くのは難しいです。とくに、溜飲の下がるような話というのは明確な悪役が出てきて、その人が「うぎゃーーー」となることで大団円、という展開が多いと思います。一方で、こういう復讐系の話は、匙加減を間違えると、前半の悪いやつパートが悪いやつすぎて、復讐に成功しても「いや全然納得できないが???」となることも多かったりします。
パリピ孔明の場合は、悪いやつがほぼ出てきません。「うぎゃーーー」となる展開もあるにはあるのですが、不正が暴かれて人生が破滅するとか、5億円の借金を背負うことになるとか、死ぬとか、そういうネガティブの方向ではなく、「嘘だろ?どうしてこんなことが?」というポジティブな方向の「うぎゃーーー」であることが多かったです。
登場人物が壁にぶつからなかったわけでもないのです。作中では明確に巨大な壁にぶつかり、もがく様子が描かれていました。が、それもポジティブなもがきというか、暴力や理不尽との戦いというわけでもなかったので、非常に心を楽にしてみることができました。
わたしは「登場人物が全員かわいかった」という感想を抱いています。主人公勢がかわいいのですが、ライバルたちもそれぞれかわいく描かれているように思いました。やっぱり何か目標に向かって真剣に頑張っている人たちはみんなかっこいいです。この話を作った人は、そういう頑張っている人たちへの敬意を常に持っている人なんだな、と思います。そうじゃなければもっとわかりやすい悪役を作り、そいつを貶める展開にしていたはずなので。
最後に、わたしが一番好きなキャラクターはオーナーさんで、一番感情移入したのはKABE太人さんでした。理由についてはまたいずれどこかで……