悟りの境地2

弟子：結局、買い物と蔵の掃除で一日終わったし…。
師：終わった？ありがとう〜
弟子：……
師：え？なに？お礼は言ったよ、心から。なに？言い方がダメなの？なに？
弟子：なんでいつも邪魔するんですか？
師：邪魔？なんの？
弟子：悟りの境地を求めて出かけること。絶対邪魔するじゃん
師：邪魔はしてないよ。行くならついでに、とか。その前にちょっとあれこれってなるだけで
弟子：師よ、もしやあなた…
師：なによ。え？なにその目。普段から細い目が、糸みたいになってるけど。見えてんの？ねぇ、それで見えてんの？
弟子：見えとるわっ！そうじゃなくて、師よ、もしかして師は、悟りの境地に至ってないのでは…いやっ！これはご無礼を！流石にこれは言いすぎました。師ともあろう人に、こんな邪推と疑いを持つなんて！失礼千万！わたくし、ついに血迷ったようでございます。どうぞ、お許しください！師匠！師匠さまっ！
師：行けばいいじゃん…
弟子：え？今なんて？
師：行けばいいじゃん、悟りの境地とやらに
弟子：師よ…許してくださるのですね！悟りの境地へ至ることを。わたくしに向かえとおっしゃっているのですね！おぉ〜師よ！ありがとうございます。では、早速、夜も更けてまいりましたが(気が変わらぬうちに)出発しようと思います
師：はいはい
弟子：では、行ってまいります！
師：おかえり！！
弟子：どこにも行ってませんけど！！！