1分小説 精神科

「次の方どうぞ」
白髪の老人が入ってきた。見たところ全くもって健康体。だがこういう人が1番危ない。精神科医として10年勤めてきたからわかる。外見に現れない分、内側に大きなものを抱えてしまうケースが多数ある。

「今日はどうされましたか?」
「…………………。」

戸惑い呆れた顔でその老人は立ち尽くしていた。
今回は相当時間がかかりそうだ。
すると、その老人は恐る恐る私を訝しげに見つめてこう言った。

「えっと、今日予約されてた高橋さんですよね?私の椅子に勝手に座らないでもらっていいですか?」

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