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-------- 婆ちゃんと銀太郎 --------  -----  第3話 もうエピローグ --------------- Short Story --------

朝がきた。
婆ちゃんが銀太郎に言った。
「夜中に何か気づかなんだか、珍治郎がおらん」
弁天が面倒くさそうに言った。
「ほっとき、どうせ女を探しに行ったんだ。帰ってこんでええ」

銀太郎は弁天に尋ねる。
「なんで珍治郎は弁天様と一緒に」
「大黒天に頼まれたのよ」
「なんでですか」

「『あいつ童子なのにどうも怪しい。異界の者かもしれん、珍治郎の面倒をみながら様子を探ってくれ』てね」
「あの珍治郎、異界の者なんですか」
「確たる証拠はないけどそう思う。天界でも手当たり次第に女を漁ってはタネを蒔いているし」

「タネ」
「そうよ、男が撃つタネよ、アンタもオスなんだからあるでしょ」
「あ、あると思いますけど」
「あいつ、畑に土足で踏み込んでは、レイプまがいのこともやって相手構わずタネを蒔いてんのよ」

「あのォひょっとして・・」
「わたしゃ弁財天だよ、珍治郎みたいなカスにやられりゃしないわよ」
婆ちゃんが言った。
「では、わたしも危ないのか」

「婆ちゃんはもう女じゃないでしょ」
「わたしゃまだ現役だよ」
「ウソ、この前会ったとき言ってたでしょ『今朝、あそこから赤い真珠の玉がコロンと出てさ、身体が勝手に女にグッドバイしちゃった。あ~切ないなァ』と愚痴ってたでしょ」

「そうだったかねえ、そうだったかなァ、そうかなァア・・」
婆ちゃんももう一度青春に戻りたいらしいが、無理だろうな、と銀太郎は思いながら弁天に尋ねた。
「それで珍治郎のことはもう大黒天様に」

「ああ、珍次郎は九割九分九厘、異界のモンですと連絡している。今日あたりおいでになると思う」
婆ちゃんは大黒天のファンだ。
「おお、大黒天様がおいでに、ほいほい、お酒と肴の支度をしとかなきゃならないね」

弁天は続けて言う。
「それにしてもあの珍治郎にはあきれる。あいつほど見た目と中身が違う男も珍しい。自分で物事が考えられず、他人の考えに乗るだけ。だからいつも誰かに利用されている感じ。

そのくせ女となると他人の意見は一切聞かずに突っ走る。
性格も小賢しいというか、小ズルいというか、自己弁護と言い逃ればかり。あげくに言葉もおかしくて何を言ってるのかわからないときが多いし。あれでもしも首相になったら日本人は世界の笑いものよ」

「珍次郎はやっぱり異界の者なんですか」
「そう、間違いない。タネを蒔いては異界の血が入った者をつくり、やがて天界をおのれたちの手に入れる気なのよ」
婆ちゃんも怒る。
「そりゃ許せないね」

「あいつの女房の栗捨瑠も胡散臭くてさ、ひと筋縄じゃいかないわよ。あの栗捨瑠も相当な玉よ。あの夫婦そろって打算と危うさを感じるのよね。あの二人、異界の意を受けた工作員と思って間違いないわ」

銀太郎は尋ねる
「へえ、異界の工作員。そんなのがいるんですか」
「うん、怖いわよ。あの二人もさ、まずは夫婦でニコニコ笑って近づいてくるのよ、ところがこの笑顔が曲者。あの笑顔に騙されると、その瞬間にジ・エンド。天界から真っ逆さまに人間界を突き抜けて一気に異界落ちよ」

婆ちゃんが尋ねる
「落ちたらどうなる」
「永遠に異界の奴隷よ」
銀太郎も尋ねる。
「奴隷、ですか、どんな」
「一例だけどね、朝日新聞社て看板の下がった印刷屋に送られる。ここは詐欺師とウソつきの鬼の集まりで、徹底的に使われる。

論説鬼という鬼が、『働きながらコンチクショー アベガー シンゾ―ガ―と叫べ』と怒鳴り続けながら鞭でしばき続けるのよ。
叫べなくなったら異界の外に捨てられる。

「異界の外とは」
「しゃべっても声も音もせず、匂いもせず、自分の手指さえ見えない闇の中で永遠に暮すの。じきにみな狂うだけ」

婆ちゃんは言った。
「うちも以前は同じ名前の新聞取ってたけど、ウソは書くわ、でっち上げは書くわ、個人でさえ人権なんか無視して誹謗中傷するわ、海外の報道は勝手に翻訳で意味を変えて書くわ、世論調査すると調査会社に圧力かけて違う数字を公表させるわでさ、あまりに偏向がひどいから購読を止めたのよ」

「そういえばこの前きたときはあったけど、いま見当たらないわね」
「ああ、購読をやめてからさ、毎朝の気分のええことええこと」
銀太郎が続いた。
「前は朝に新聞読むといつも不機嫌だったけど、あの新聞が来なくなってからいつも顔色がいいんですよ、婆ちゃん」

「そう、よかったわね。毎朝読むたびに不愉快になる新聞読まされて、あげくに金を払わされるなんてね、こんなバカバカしいことはないわよ」
広間の隅に置いてある大型のテレビで騒ぎのような声がする。
「さァてと、大黒天様の酒と肴を用意しようかね」
と婆ちゃんは言いながらをテレビを見た。

 例によっての昼前のバラエティー番組をやっている。
チャンネル変えてもみな同じような番組ばかりで、ここもコメンテーターや見物客がワイワイと騒がしい。
婆ちゃんが言った。
「あ、そうだ。明日は自民党の総裁選の投票日だ。総裁すなわち首相だからね」
弁天が言った。
「そうか自民党の総裁選か」

婆ちゃんが言う。
「でも自民党の議員がこれほどひどい連中だったとはの、まともな議員はせいぜい1割くらいじゃ」
と言いながら婆ちゃんはテレビの画面に近づきじっと見ている。

「知り合いでもいるの」
弁天が尋ねると婆ちゃんがテレビ画面を指差し言った。
「あ、こいつゥ  いた!」 
弁天も銀太郎も叫んだ。

「あ、そう、こいつ!」
テレビに映っていたのは珍治郎だ。
「でもあれは小泉進次郎だよ」
「いや珍次郎よ。あれは」

「まさか、そんなこと」
珍治郎はスーツを着てネクタイ締めて、爽やかそうなふりで話している。
テレビのテロップには総裁選候補の小泉進次郎とある。
「う~んしかし、こいつ珍治郎だよ」

婆ちゃんが弁天に尋ねた。
「そういえば珍治郎、最初に見たとき誰かに似てるなと思ったんだけど、それでだ。こいつ確かに珍治郎だ。どういうことよ」
弁天が言った。
「きっと進次郎に化けてるのよ」

「珍治郎が総裁選の有力候補である進次郎に?」
銀太郎が言った。
「まさかずっと化けていたわけじゃ」
弁天は答えた。
「異界の奴ならできるのよ」

銀太郎は納得がいなかない。
「小泉進次郎て、珍治郎が化けてたってことなの?」
「そうよ、こいつら天界のみか、人が住むこの人間界も手に入れる気なのよ。だから珍治郎も進次郎に化けてる」

婆ちゃんが言う。
「進次郎の父親の純一郎は間違いなく人間だし、祖父も明確だし、泡のようにいきなり出てきたわけじゃないでしょ」
しかし弁天のひと言でケリはついた。

「異界の者たちは何代も前から小泉一家に化けてんのよ」
婆ちゃんと銀太郎は唖然とした。
「そうだったのか・・」
そこへ婆ちゃんがテレビを指差しながら言った。

「あれごらん、進次郎の女房のクリステルも出てる」
弁天が言う。
「こいつは人間界の女だけど、だけどさ、どこか違うんだよね」
「どこが」

「確かこいつハーフだよね」
「そう日仏のハーフ」
「う~ん、向こうの違う異界の影響を受けていそうね」
「異界も一つじゃないんだ」

「異界はさ、いくつもあるんだよ」
「クリステルもどこかの異界の者が化けてたってことか、それも先祖のころから」

弁天が言う。
「クリステルと進次郎は環境は違っても同じ異界の仲間だね。二人ともよく似ている。人徳は無いし、包容力も感じないし、どこか見栄っ張りで危うい雰囲気を持ってるし」

弁天はなおも続ける。
「このクリステル、美人かと問われれば美人の隅にいる程度でしょ。利口というより小賢しいと言うべきね。打算的で計算高い女よ。仮にファーストレディーになってもロクなことにはならないわね、この女。首脳会談でも国際会議でもさ、皇后雅子様には千年かけても勝てないわよ」

「弁天様はクリステルはおキライですか」
「大ッキライ。仮にこの二人が首相とその女房になるなら、日本は終わりよ」
婆ちゃんと銀太郎は、そろって天井を見上げた。

ともに弁天に返す言葉が見当たらない。
言ってることは少々過激だが、間違いとも思えないのだ。
銀太郎は思った。
(あの珍治郎と栗捨瑠が首相とその女房・・・・  そうだな、想像しただけで寒気がする)

弁天はしつこい、まだ続く。
「進次郎は国会議員になって15年。国会議員は国法をつくるのが仕事、だから国会は立法の場。国会議員は自分の思想と信念に基づいて法を考え、それを議員立法として提出してこそ国会議員として働いていると言える。

もちろん他にやることを抱えている議員も多い。
だけど議員の仕事は立法であり、その前段の議員立法なのよ。
事実あの田中角栄は現役中に50を超える議員立法を提出し、総裁選で頭角を現してきた女性議員高市早苗でさえ、いままでに10本を超える議員立法を提出している。

一方で総裁選有力候補の小泉進次郎はいままで何本の議員立法をしたか。
15年も議員をやって、次期首相と持ち上げられながら・・・だよ。
なんとおどろくなかれ”ゼロ”だ。
議員立法は一本も無い。

つまり、ひと言でいえば『仕事をしない、考えない、国民の声を聞かない』男なのよ。
その進次郎のすぐ後ろにいるのが黒幕といわれる元首相菅義偉。ところが進次郎は支持率が下がって、何を考えたか、菅とは対立している麻生太郎の支持を求めて直接会った、ていうんだからもうメチャクチャよ」

銀太郎が弁天に尋ねた。
「そんな進次郎も珍次郎もクリステルも栗捨瑠も異界の者らしいけど、異界の者たちって普通はどんな姿をしているの」
「いいこと聞いてくるわねえ、そう、そこがキモなのよ」

弁天は奇妙な顔で笑いながらこう言った。
「この人間界にいる人間にそっくりなのよ。日本にも全国どこにでもいるのよ。この近所にも」
「異界の者はどこにでも」
「そうよ、隣のオバサンも裏のオジサンもそうかもしれない」

婆ちゃんも銀太郎にささやいた。
「異界の者でありながら、いまの人間界の人間でもある。そのときが来たら化けの皮が剥げるだろうけどさ」
でも銀太郎には、まだよくわからない。
「日本人に似ている、異界の者・・・ふ~ん」

「それにしても大黒天様はいつごろここへ」
婆ちゃんが言うと天井から声がした。
「ここにおる!」
ズズズ―と天上から抜けて下りてきた。

「われは大黒天である!」
と怒鳴ると袋を置き、そのまま自分で湯飲みに酒をついで飲んだ。
銀太郎は思った。
(「お神酒(おみき)上がらぬ神は無し」ていうけど、神様ってのは、本当に酒が好きなんだ)

婆ちゃんが問うた。
「珍治郎はいまテレビの中に」
「うん、わかっておる。お前たちの話しは先ほどから聞いておったでな。珍治郎と女房の栗捨瑠を天界に連れていって裁きにかけねばならぬ」

「天界、異界、人間界、そのまた日本人に化けた異界の者?」
銀太郎にはますますわからない。

大黒天がはき捨てるように言った。
「あの珍治郎めが進次郎に化けて自民党総裁から首相になり、女房の栗捨瑠はクリステルになりファーストレディーにな、冗談にしてもヒド過ぎるわい」
「まことにそうでございます」
と合わせたのはもちろん弁天だ。

大黒天が酒を飲み飲み話す。
「しかも国会の近くにおるとはの、天界もあ奴らが散々荒らしよったが、あいつら、人間界までやってきよったか」
「ずっと前から常に首相候補の有力者でしたから、他にも大勢」

婆ちゃんが言った。
「あのアメリカ民主党のロボット、岸田が辞めるとなって総裁選の様相を呈してくると、小泉進次郎の正体もバレ始めました。クズ新聞とバカテレビは黙ってますが、ネットではもう小泉進次郎に首相の目はありません」

「うん、わしらもネットはよう見る。人間の作った物の中でも特筆すべきもんじゃ、ただわしも書きすぎてバンされることもあるがな」
銀太郎が尋ねた。
「天界の神様でもバンされるのですか」

「ああ、人として書くでな、まさか神じゃとも言えぬしの、苦しいところよ。我らも怒るとブレーキが効かん、というより神は正しきもの、ということでブレーキが最初から無いのよ。ほんでのついつい書き過ぎるのよ、XもY
outubeもな」
「ハハアア~そんなことが」

「そんで婆さんの話しじゃが」
「はいはい、日本のマスコミのウソにみなが気づいており、ネットではもう小泉進次郎なんぞガキ以下の脳みそとまで言われております。見た目がいいだけで、中身はトンデモ男であることをみなが知りました」

「うん、まああれの正体は珍治郎であるからの」
「総裁選だ、となるまでは新聞とテレビは小泉進次郎が首相の最有力候補とされて得体の知れない世論調査でも常にトップでしたが、いまはその世論調査でさえ、まともな日本人は信じておりません」

今度は弁天が言う。
「世論調査をやる会社もいくつもあるのですが、こういう調査会社は新聞と通信社、その通信社の配信を受ける全国の地方紙、これにテレビキー局と全国の地方テレビが主な顧客です。加えて調査会社にも新聞社やテレビ局を退社した者が入り込んでおります。つまり世論調査会社というても実態は新聞とテレビのグループ企業の一つです」

「その通りだ。新聞とテレビが無くなったら調査会社なんか泡と消えるでな。新聞やテレビがこのような結果にしろ、と言えばそのようにする。いまの調査会社とはマスコミによる国民の洗脳手段の一つに過ぎん」

婆ちゃんも続ける。
「その新聞とテレビでの進次郎押しはもうずいぶん前からです。進次郎と並んで有力候補だったのが、ド親中の河野太郎と、スケベエ政治屋の石破茂の二人です。でもいまから思うと、この二人はクルクルパーの進次郎をトップにするための当て馬だったようにも思えます」

大黒天が言う。
「その河野も石破も天界の童子でその正体は異界の者じゃ」
婆ちゃんと銀太郎はおどろき、婆ちゃんが言った。
「あの二人も。道理でな、そうであろうな、まともな日本人ではないわい」

大黒天は笑いながら言った。
「河野太郎は天界では太吉、石破茂は天界では茂作と呼ばれておった。仕事は下働きの童子のそれも見習いじゃ、それがあの二人の正体よ。
今度な二人を見かけたら、河野太郎を太吉、石破茂を茂作と声をかけてみ、あいつらおどろくぞォ」
弁天も婆ちゃんも銀太郎も笑いこけた。

婆ちゃんが続ける。
「クルクルパーの進次郎が首相になれば、新聞とテレビの言いなり、米国や中国あるいは韓国の言いなり、日本はどうとでもなる、と左翼新聞や反日テレビや外国人が姦計をめぐらしたに違いありません。

ネットの無い時代だったら奴らの思い通りになっていたでしょう。
しかし今は新聞やテレビのウソがリアルタイムでバレる時代です。
進次郎は行く先々でその無知と無能をさらし、あっという間に首相の有力候補から転げ落ちてしまいました」

「そうか、日本が崖っぷちで踏ん張ったわけか。で太吉と茂作はどうか」
弁天が言う。
「全く使い物にはなりませぬ。ともに性格は良くなく、根性も卑しく、そもそも政界に来たこと自体が間違いであり、これほど政治家にふさわしくない者はおりませぬ」

「ならば次の首相はどうなる」
「女性候補が一人。新聞とテレビの意図的で悪意のある無視と批判をはねのけて支持率でもトップに近づいております。名前は高市早苗と申しますが、総裁選候補の中でただ一人、記者会見において日の丸を後ろに立てており、いまや保守にとってはジャンヌダルクのようなもの。

それだけに自民党員の支持はあっても、打算と計算しかない議員の支持がどうなるか、予断を許しませぬ」

「そうか、いまの自民党議員の体たらくと惨めさは天界にも聞こえておる。あの安倍晋三が亡くなると途端にボロが出たからの。安倍が自民党の腐敗に蓋をしそれを押さえていたのであろう。
民主主義は数が頼みじゃ。バカでも売国奴でも政策を成すためには一人でも多くの仲間がいるでな、仕方がないのう」

大黒天は進次郎にこだわる。
「進次郎のォ、正体がバレたら国会に置いておいても何の役にも立たぬ。
夫婦別姓も法の元は出来ているとほざいておったが、あれも民間の者がつくったもので進次郎本人はタッチすらしておらぬ。

こいつはそもそもから国会に来るほうが間違いだったのよ、横須賀の港の近くで女を漁っているのが似合いのチンピラじゃ。法をつくる作業は何もせずに、結果という果実のみを欲しがる卑しき生き方は親父の純一郎そのまんまだ。

一方で財政破綻で崖っぷちどころか片足だけが残っている中国にはだらしないほど一家で寄りかかっている。進次郎も中国については一切発言しない。
何だろうなこの腐った小泉進次郎という男は。

本人は何事も尋ねず、教わらず、学ばずで結局物事を知らない。
無知蒙昧という言葉がピッタリはまる男だ。
その正体が総裁選のおかげでいまや白日の下にさらされているわけだ」

婆ちゃんもこぼす。
「あれがあれほどバカで無知だとは思いもしませんでした。おまけに話す言葉の筋さえも通らないとは。

これを総裁選が決まった直後にあの朝日新聞社の論説委員たらいう得体の知れない女が持ち上げていました。
あんな新聞社に持ち上げられるような進次郎に首相官邸を明け渡すなど言語道断です」

婆ちゃんが尋ねた。
「それで肝心の珍治郎いや進次郎とその連れのクリステルはいつ天界に戻されまするか」

「そうじゃのう、進次郎とクリステルをどうこうするのも、とりあえずは総裁選の結果を見てから決めるのが良かろうと思う。日本人が利口かバカかも見たいしの」

婆ちゃんと弁天は『それがよろしゅうありましょうな』と答えた。
「銀太郎はどうか」
「わたしにもお尋ねになるので」
「そうよ、お前も仲間じゃ」

銀太郎は感激しながら答えた。
「わたしも皆様と同じ意見にございます」
「では、そうすることにする。まずは総裁選での結果と自民党の議員たちの醜態そして日本人の行動を見定めてからのことじゃ」

 テレビはバラエティー番組がすんでドラマになっていた。
広間に静けさが戻ってきた。
婆ちゃんが言った。
「お腹(なか)がすきましたでしょう。寿司を取りますから」
ワ~ッと拍手が起きた。

婆ちゃんは馴染みの寿司屋に電話した。
「急いでまいるそうです」
じきに玄関のチャイムが鳴り、声が聞こえた。
婆ちゃんと銀太郎が玄関に出た。

「こんちワ~まいどォ、お贔屓にしていただいてありがとうございます。松の上、それと茶碗蒸し、それぞれ四人前でしたね」
「そうよ、おや、いつもと違う人ね。それに今日は二人で」

「はい、忙しいものですから、兄弟店から応援で」
「お一人は女のかた、大変ね、力仕事で」
「ありがとうございます、何とかやってます」

「がんばってね、ありがとうね、ご苦労様」
と婆ちゃんは出前の二人に言った。
二人は和帽子をかぶり、男は受けとった代金を数え、女は出前の岡持ちを片付けている。

銀太郎は出前の二人を見上げている。
二人の顔が見える。
そして婆ちゃんの袖を引っ張った。
「どうしたんだい銀太郎、震えてるじゃないか」

出前の二人が顔を上げて婆ちゃんを見た。

屋敷に婆ちゃんと銀太郎の悲鳴が上がった。

ーーーーー 終わり ーーーーー

  懲りずに来週もお暇があれば、またお読みくだされば励みになります。
 ありがとうございました。


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