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食べる者

35から42歳頃まで、仕事で台湾、韓国、
タイ、上海、広州、深圳を訪れたことがありました。


どこの国へ行こうと仕事は仕事であるし

当時、機械関連メーカーの営業でしたが
言葉がわからないだけで、提案することは本邦と変わりません。

それでも海外チームの通訳とサポートには
助けられました。


あれ?
ズレました(笑)

食べるでしたね。

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以下回想のままに…

ソウルにて


接待以外は単独でその街の食べ物屋に

入るのを好む。

まだ今より若く、体力もあったので

食欲、酒量いずれも旺盛であった。



東大門市場近くの宿に体を預け

ざっとシャワーをし、私服に着替え

表にでる。

季節は4月下旬、日本より寒い。

中綿のジャケットを持ってきてよかった。


宿から右に向かうとアーケードが見える

商店街だろう

ポヂャンマチャ(布張馬車)が並んでいる。
いわゆる屋台である

むき出しの屋台もあれば、天幕まで作った空間を提供する屋台もある。


いまでは、日本でもポピュラーになった
トッポギ、おでん、ホットク(お菓子)の
屋台、海苔巻き(キムパブ)、チヂミ、
お粥、ホルモンをケンニン(ごまの葉)と炒めたものも美味しそうだ

ぶらぶらと散策しながら
豚肉とスンデ(腸詰め)を売る店のテントを
くぐる

私は在日コリアン三世であるが、韓国の人から見ると日本人に見えるようだ。


屋台のアジュンマ(おばさん)が一瞬困惑した表情を浮かべる。

さもあらん

ガイドブック片手でもなく、観光客とも見えない日本人?がふらっと入るのだから。


「オソオセヨ(いらっしゃいませ)」

(メッチュハナチュセヨ)

ビール1本下さい

私はハングルは読めないが、カタコトの会話は可能である。


多少言葉が通じると思ったのか
アジュンマ(おばさん)の表情が和らぐ


腹が減った…

HITEビールは軽く飲み口はさっぱりし
口当たりがよい

仕事がはねての一人酒は異国でもうまい。


注文だ。

(スンデ ハナ ハゴ テジコギハナヨ

クリゴ テンチョ ド チュセヨ)

腸詰め一つと豚肉一つそれと青唐辛子も
下さい

「ネー」はい


出てきた料理は圧巻であった

ボリュームが半端ではなく

とても一人で食べ切れる量ではない(笑)
と思った

大人三人でちょうどいいくらいの量であり多分総量1.5キロ近くあっただろう汗

スンデにはカン(肝)もついていた。


(ソジュ ハンビョン チュシゴヨ)

焼酎1本ください


粗塩をスンデ、豚肉に少々振り頂く。

青唐辛子にテンジャン(味噌)をつけ生のままかじる。

肉の甘みと唐辛子の辛さに味噌が絡む。

焼酎をショットグラスで流し込む。

基本的に韓国では焼酎はストレートでありあらかじめ冷やしている。

うまい。

昼食抜きであった胃袋がアルコールで

燃える。


ただひたすら食べて飲む。

まるで食と対話してるようだ。

私はおいしそうに食べる人が好きなので

当人もおいしそうに食べるように

している。


無言で焼酎を飲み、ひたすら肉と青唐辛子を口に流し込む私を見て、アジュンマが
言う。

「ト ドゥリカヨ?」

もっと出しましょうか?


(アニヨ テッスミダ ヂャルモゴッソヨ)

いいえ、結構ですよ

ごちそうさまでした。


学生時代ならいざ知らず

中年となってあれだけの豚肉を

平らげたのはこれを機会にない。

これも旅の思い出だ…

アジアのザワザワとした活気に包まれた

東大門の夜は深くふけていった…

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ここまで読んで頂きどうもありがとう
ございます。

良い一日をお過ごしください💚

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