#4 鳩時計って言ったじゃん
Amazonから届いた箱を開け、そう叫んだ。
キッチンに居た両親も駆けつけ、箱の周りに全員集合した。
「どこのやつ?どこから買った?よく読まなかったのか?」と父。
うちの両親とも、こういった類のサービスはジャパネットくらいしか利用したことがない。
説明してもどこまで理解してくれるか分からない。
違う、違うんだ。私は悪くない。
私はただ、はとぽっぽの時計が欲しかっただけだ。
訳あって、私は昨年末に突然実家へ出戻ってきた。
本当に突然だったから準備なんて何もしていなかったが、幸いにも旧子供部屋は今、ゲストルームとして機能していた。
コロナな世の中のおかげで、姉家族も以前より滅多に遊びに来なくなった。
シングルベッドがある。デスクを置けば仕事場にもなりそうだ。
思い立ったら即行動したい。すぐに必要なものをネットでポチった。
そして話は冒頭に戻る。
私の部屋にはどうしてもはとぽっぽの時計が必要だった。
必要不可欠なのだ。
しかし、今私の目の前ではカッコウが鳴いているではないか。
鳴き声がやけにリアルなのが腹立たしい。
確かにAmazonで 鳩時計 と検索した。それで辿り着いた商品だ。
商品名も 鳩時計 とあった。好みのカラーのものだった。
商品ページのどこを読んでも、鳩としか書いていなかったじゃないか。
たどたどしい日本語でそう説明されていたはずだ。
「カッコウもかわいいじゃん。」と母。
カッコウでいいわけがない。
「ポッポ」と「カッコウ」じゃ、話が変わってくる。何もかも違う。
他人に自分の可愛いを押し付けてはならない。
私の中では目玉焼きの食べ方くらいとても大切な問題だし、私は中濃ソースの過激派である。
私ははとぽっぽに癒しを求めていた。はずだったのに。
今日も二階の自室から、けたたましくカッコウが聞こえてくる。
中華生まれのカッコウ。
大変やかましく思う。
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