近接音波兵術「落語」
襖を蹴破る音、銃声。
続くのは怒声。
「ここ使わせろつってんだろがぁ!!落語なんてくだらねぇんだよ」
ヘビメタ雑誌の編集長がラジオで話した「やっぱ落語ですね」の一言が20年以上気になり続け、結果、地元のカルチャースクールで落語を習うことになった。
その初日、自己紹介と講座の説明が終わり、先生役の初老の男性がこれから一席演じるところで、乱入者が現れた。
初めて聞いた本物の銃声と、あまりの大声に身動きができないでいると、高座から先生の声が聞こえる。
「何度言っても来やがるねぇ、いい加減諦めたらどうだい」
芝居がかった、それまでの話し方とは全く違う声色が聞こえてくる。
乱入者に視線を向け、また固まる。
すでに先生は乱入者の背後に立っていた。
「いいだろう、また聞かせてやるよ、
お前の脳に直接、あたしのシン・寝床を、ね」
【続く】
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