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歌のOKテイクの決め方。
歌とはあなた自身です。あなたは完璧な人間ではありません。その不完全性こそがあなたであり、あなたの魅力であり、人間の魅力なんです。
感情移入し過ぎて思わず声が裏返りそうになったり、リズムが思考から外れてズレてしまったり、声が思わず震えてしまったり、声が小さくなってしまったり、逆に大きくなり過ぎてしまったり。
人間の不完全性こそが聴く者の心を捉えます。
私は制作ディレクターとして歌入れも随分してきました。歌入れは大好きです。こんなふうでした。
たいてい3テイク通して歌って貰います。「通して歌う」、というのがポイントです。歌には物語があります。細切れの録音では物語としての流れが産まれません。
1テイク目はどうしても抑えめに歌いがちです。置きに行く、というやつです。丁寧さだけの歌になりがちです。2テイク目で少し場にも慣れて自然に感情移入された瑞々しい歌が録れます。3テイク目以降はこ慣れてきて歌から新鮮さが失われて行きます。結果として2テイク目をメインで使うことが多かったように思います。部分的に他のテイクと差し替えたり歌い直したりすることも当然ありますが、極力編集は減らして同一テイクで完成させたい。歌の中の「物語」を大切にしたいからです。
歌入れやテイク決めに関して実際はこんな単純では無いんですが、私の場合は、方針というか哲学はこんな感じだったように思います。後日歌入れに関してはもっと詳しく書きたいで