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新曲リリース時のX投稿についての考察。

あなたのバンドの新曲が遂にリリースされました。出来るだけ多くの方に聴いて欲しいと思います。さっそくXに投稿します。

「ついに新曲でました。最高なので聴いてください。」

何も無いよりはマシですがそれだけではファン以外にはスルーされてしまいます。今日は新曲を聴いて貰うためのX投稿について考察してみます。

人間は固有名詞と数字を覚えるのが得意です。それらを見た時に脳になんらかのインパクトがあるんだと思います。以前、歌詞に固有名詞と数字を入れることの有効性について書きましたが、これは宣伝文にこそ使えます。例えばこういうのはどうでしょうか?

「2020年の8月3日の夜に井の頭公園のベンチでアサヒスーパードライを飲んでる時に2番の歌詞が突然頭に浮かび、その後2年を経て完成したこの曲はいままでで2番目に悲しい曲になりました。」

数字と固有名詞をたっぷり使い、しかも「2」を連続させて少し詩的にしてみました。「1」では無くて「2」というのが信憑性を増してます。文節のリズムもなかなか良いです。文章が長いことを除けば我ながら興味深くなったと思います。聴いてくれる人は少なくとも倍くらいにはなるんじゃないでしょうか。

日本人は自画自賛をしません。そして他人の自画自賛を嫌います。そういう民族なんですね。だから「最高の曲が出来たので聴いてください」では弱いだけではなく、もしかしたら少しネガティブな印象すら与えてしまうかも知れません。

他には思い切って他のアーティスト名を引用してみます。ぺんぎんの憂鬱のたなさんがユーモアのセンス溢れる構文にしてます。面白いので以下に全文引用させてください。

「めっちゃいいから聴いてほしい!
tricot感じる変拍子や初期きのこ帝国的なシューゲイズなサウンド、かわいくて繊細な歌声、必要以上に暗い歌詞。羊文学やリーガルリリー好きな人にも絶対刺さる人いると思う!!
ライブたまにしかやらないから逃さず行ってほしいーー」

引用されてるバンドのファンは聴いてみたくなりますね。そしてそれ以上に構文化することにより他のアーティストも使えるようにしてるのが肝です。何人かが試しにやってますがなかなか面白い試みです。他のバンドが真似ることで間接的な宣伝になるんです。通常と違った広がり方が期待できます。さすがです。他のアーティスト名を出すと薄っぺらさやあざとさを感じさせてしまうリスクもありますが、そこをユーモアで見事に包んでます。ぺんぎんの憂鬱のたなさんのXはぜひフォローしてみてください。色々と参考になると思います。

新曲が出た時のX投稿は非常に重要です。代理店のコピーライターになったつもりで最高の決め言葉を考えてみてください。どうか徹底的に悩み抜いて捻り出してください。

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