なぜキャリアを重ねる度に以前より曲が書けなくなるのか。
あなたの好きなアーティストの大好きな曲を思い浮かべてください。最近のお気に入り、というレベルのものでは無く、文句無しの傑作で一生物の愛聴すると思える曲です。それはそのアーティストが20代の頃に書いた曲では無いですか?
ポールマッカートニーは世界中の誰もが認めるソングライターですが人気のある名曲は20代のうちに書かれています。他に例をいくらでも挙げられそうですが、もうわかりますよね。つまりは若いうちに名曲が生まれてる。
理由は色々と考えられますが、今思い当たったことがあるので書き記しておきます。名曲は数を打たないと出てきません。10曲のうち9曲は凡曲です。それ以上の率で名曲を作ってる人を私は知りません。自分を過大評価しがちなアーティスト本人かその信者以外にとっては、特定のアーティストの名曲は10曲に一曲あれば良い方です。多くの人はそれ以下か、そもそも名曲を作ったことが無い人です。
キャリアを重ねると誰しもが曲の出来るスピードが落ちます。ボブディランを見てると顕著ですね。60年代にあれほど歴史的名曲を作り続けた人がその後ピタッと止まってしまいました。何年も曲を作れない時期もあったようです。繰り返しになりますが名曲を作れないのは凡曲を含む多くの曲を作れなくなってしまったからです。
なぜ多くの曲を作れなくなったのか。それは自身でダメ出しをしてしまうからです。キャリアを重ねると音楽的知識が増え技量も高まります。そのために出てきた曲のかけらにストップをかけてしまうんです。自分で許せなくなる。レベルに達して無いと思い込んでしまう。
若い頃はどんどん曲を書いてました。ハードルも低い。曲を作れる、出来ることだけで満足してました。無邪気に曲作り楽しんでました。次から次へと曲が出来ます。もちろんその多くは何かと似てる凡曲ですが当時のあなたは気にしません。楽しさが勝つんです。
ベテランになると無邪気じゃ無くなってしまうんです。以前書いたこととここで矛盾したことを書こうとしてます。私は様々な音楽を聴くべきだと書きました。世界の芳醇な音楽を自身に染み込ませるべきだと書きました。それは間違って無いと思います。その後が問題です。音楽的知識が増えるのに比例して自身のハードルを上げてしまうんです。しかもそれを他の人に聴いてもらう前に没にしてしまう。
以前のように無邪気に沢山の駄作を作ってください。無邪気とは自身のハードルを下げるだけ下げることです。あなたがキャリアの中で身につけた音楽的知識は既にあなたの中に染み込んでます。曲を作る時は意識下においやってください。それでも作る曲の中にはしっかりと生かされます。心配いりません。
10曲出来たらそのうち1曲は名曲になるかも知れません。若い人の方が名曲を作る確率が高い原因はこれでは無いでしょうか?あなたはどう思いますか?