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曲中に一箇所だけスパイスを入れてみる。

ハク。の「自由のショート」と言う曲には見事なスパイスが一箇所含まれています。この曲は基本的に

C Em Am F Fm

と進行します。切なさ混じるメランコリックな中に前に向く意思を表現するにはもってこいの進行です。歌詞の内容にもとても合ってます。ここからが本題です。これに私は初めて聴いた時から衝撃を受けました。1番が終わり2番に向かう時の間奏です。余計なことは全くしません。淡々としたギターのコードカッティングとそこにメロディーを乗せたベースのフレーズ。でもそこに秘密があったんです。この16小節の間奏のコードは以下です

C E A F

普通です。でも普通じゃ無いんです。普通なら2つ目と3つ目はそれぞれEmとAmになるはずなんです。聴いていてもリスナーそれを待ってるはずです。ずっとEmとAmで進行してきてその後も同様に進行します。たった一箇所だけなんです。これ、不協和音とか転調とかそんな次元では無い、いったい何が起こってるんだろう、くらいの衝撃です。それもある意味ささやかな衝撃。ここだけ変えることでの違和感、ここだけ見ると普通の進行なのに私は不協和音かそれ寸前の難しいコードを使ってるのかと思ったほどです。聴き方によってはおしゃれにも不穏にも聴こえるこの16小節。これがとても効いてます。楽曲全体に効いてる。

次は皆んなご存知ビートルズの「A Day In The Life」です。この曲のこの不穏極まりないエンディングが無ければ普通の曲になってると思います。ポールマッカートニーがオーケストラに自由に思いっきり弾かせた壮大な不協和音、これ、恐ろしさまで感じます。このエンディングがあるだけでこの曲にずっしりとした重み、そして深読みしたくなる謎まで感じさせます。

キャッチーな曲のコードは平凡な進行です。平凡な進行で良いんです。むしろ親しみやすい平凡な進行に革新的な何か、衝撃的な何か、不穏な何か、をたった一箇所入れることでその曲が見違えるようになります。どうか試してみて欲しいです。

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