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木綿や麻の着物に居敷当てはつけるかつけないか

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本日のお題:木綿や麻の着物に居敷当てはつけるかつけないか
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■木綿や麻の着物に居敷当てはつけるかつけないか

今週のお題は「木綿や麻の着物に居敷当てはつけるかつけないか」です。居敷当てってご存知ですよね?一応居敷当てをご存知ない着物初心者の方に少し解説いたしますと、後身頃の部分につける補強のための生地です。

着物を着用した時、意外とお尻の部分には大きな力がかかってしまいます。特に座った時やお体格のいい方ですとぎゅっと巻きつける傾向がありますのでその力が全て後身頃のお尻の部分に集中してしまい、運が悪いとお尻の縫い目が裂けてしまいます。絹の着物は比較的弱い部類の生地ですので、単衣仕立てや夏物など絹の生地の中でも薄い生地ですと何度か着用しているうちに背縫い(特にお尻の辺り)が避けてくることがございます。

それを防ぐのが「居敷当て」でして、後身頃の内揚げ部分から裾近くまで生地を貼って補強をします。わかりやすく言えば後身頃部分だけ袷にするようなイメージですが、居敷当て専用の布は幅が2尺(約76cm・反物の幅の2倍)あるのがちょっと違うところです。後身頃だけ袷にするのですが、主な目的は補強なので居敷当てには背縫いの縫い目ができないように後身頃の左右全体に縫い目なしに縫い付けます。縫い目があるとそこから裂ける可能性がありますからね。

居敷当てにはもう一つ、透けるのを防止するという役割もあります。例えば白地の絹の着物ですと薄手ですし、下には長襦袢と肌着ということになります。3枚も重なっているので大丈夫かと思いますが濃い色の下着をつけているとなんとなく心配になってしまいますよね。そう言った場合にも居敷当てをつけていると1枚増えて安心できます。

絹の夏物の長襦袢や長着は特に繊細な生地です。絹の紋紗の長襦袢なんて天女の羽衣のように薄く柔らかい生地ですので、居敷当ては必須であり、これについては全く異論はないのですが今週のお題の木綿や麻の着物ではいかがでしょうか。

木綿の着物は比較的丈夫な生地で、海外製の浴衣などは別として比較的厚みもありますので正絹に比べて裂けたり透けたりなどの可能性は低くなりますので非常に薄い生地の正絹の夏物と比べて居敷当ての必要性は格段に低くなります。

一方で木綿や麻の着物の一番の特徴は「自宅で洗える」ということ。絹の着物は一般的には自宅では洗えませんのでどうしてもお手入れの費用が高くつきますし、天気の悪い日も着るのに躊躇しますが木綿の着物でしたら多少汚れても自宅で洗濯ネットに入れて洗濯機に放り込んでも大丈夫。このお手入れの手軽さは絹の着物にはありません。

ところが自宅で洗っていましたら少し縮むんですよね。これ以上縮まないように何度も水通しをするのが一般的だと思いますし、当店でもも必ず2回水通しをいたしますが、反物によって着ているうちに大きく縮むもの、あまり縮まないもの色々あるのですが縮む可能性は高いです。

ここで今回のお題の「木綿や麻の着物に居敷当てはつけるかつけないか」への回答ですが、あくまでも私の考えではトラブルになる可能性が高いので木綿の着物には居敷当てはあまりお勧めしておりません。表地が縮んで居敷当てがあまり縮まず収縮率に差が出た場合、縫っている部分にシワが出たりヨレヨレ感が出たりということが考えられますので少し心配なんですよ。

「少し心配なんですよ」という書き方からお分かりのように、私は木綿や麻の着物に居敷当てをつけたことがなく身を張った実験もしたことがないので「木綿の着物に居敷当ては絶対つけちゃダメ」とか「つけても大丈夫」なんてことは言えません。いろんな木綿の着物に居敷当てをつけまくって3-4年着てみて経年変化を実験したいところではあるのですが、そもそもそこそこ生地が厚い木綿の着物に居敷当ては必要ないんじゃないかと思っているので、今までつけたことはありません。

昔は広衿も何度か洗濯しているうちに衿裏との収縮率の違いでトラブルになるのでは、と思ってバチ衿を推奨していたんですが、あるお客様からお仕立ての注文をいただいた時に広衿を指定してくださり「今まで何度も広衿にしてきたので大丈夫、トラブっても自己責任だから」とおっしゃっていただいたので広衿にしてみたら、それから何度もお話しさせていただいておりますが特にトラブルにはなっていないようでホッといたしました。

広衿もそこそこ長い生地なので大丈夫かな、と思いつつ、いまだに居敷当てをつけて何年も報告していただけるような方には巡り会えず、今のところ安全マージンを大きくとって居敷当ては推奨していな状態です。というか、少し上で書いたようにリスクがあるのを無視してまで居敷当てをつける必要性を感じないという言い方の方が正確でしょうか。

もし生地の強度が心配でしたら反物を50cmほど余らせて共生地の居敷当てをお尻の部分につけてみてはいかがでしょうか。居敷当てと違って小さめの生地ですので多少縮んでもそれほどの影響がないこと、共生地でしたら縮み方も同じなのでトラブルになりにくいのでは、と思います。リサイクル品のウール着物などでよくみかけますよね。

とはいえ、ネットで検索すると木綿や麻の居敷当てもほんの少しではありますがヒットするので一度実験してみたいような気もしますが当店の取引先に聞いてみたところ麻や木綿の居敷当てを取り扱っていないようで手に入りにくい状態です。

今回の木綿や麻の着物に居敷当てをつける是非については私自身非常に興味があるので、よろしければX(旧ツイッター)で「#きくやメルマガ」とハッシュタグをつけてみなさんの体験談をお聞かせいただけましたら嬉しく思います。

追記:このメルマガ配信後、X(旧ツイッター)にて「麻の着物に居敷当てつけているけれど今のところトラブルはありません」というリプライをいただきました。一度自分の着物に実験で居敷当てつけてみて、それで全くトラブルがなければ希望するお客様にはつけようかとも思っています(今までは必要ないんじゃないですか?なんてどちらかというと止め気味でした笑)。

ただし、ちょっと暑いので麻の魅力が半減してしまうような気はしますが…。

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