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着物の関東と関西の違い

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本日のお題:着物の関東と関西の違い
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■着物の関東と関西の違い

情報伝達が活発になったことにより、様々な分野で見られた地方ごとの特色が次第に失われてきているようですが、それでもやはり地域差は存在します。とりわけ着物のように歴史が長いものだとなおさら、地域ごとに受け継がれてきた風習や文化に様々な違いが見られます。ツイッター(@gofukunokikuya)をご覧いただいている方はご存知だと思いますが「なんでも質問箱」を開設しており、みなさんからいろんな質問を受け付けているのですが、私の周りで正解とされていることが、別の地方では不正解であることも考えられるので「私の周りでは」「私の知っている限りでは」と少し逃げ道を残してお答えするようにしています笑

まあそんな着物の世界ですが、今回は関東と関西で違うとされていることを紹介してみたいと思います。ただ、現代では統一化されて違いがなくなっているものも多く、また「私の聞いた話とは違う」ということもあると思いますので、あくまでも着物の小話として気楽にお読みいただければと思います。

・柄の好みの違い

とりあえず軽いジャブから笑。関東では粋系の柄が好まれるのに対して、関西ははんなり系の柄が好まれます。能面の柄などは関東ではとても人気があるようですが関西ではまったくウケません。これ、なんでなんでしょうね?感覚的にはなんとなくわかるんですけどね。武士の名残のある関東と、商人の町の関西の違いでしょうか。

・色無地と江戸小紋

関西では色無地が好まれますが、関東では江戸小紋の方が主流のようです。主流のようです。セミフォーマルの一つ紋だと、関西では色無地、関東では江戸小紋で仕立てるのが定番らしいです。当店もかつて店頭で新品着物を多く販売しておりましたが、江戸小紋はほとんど販売したことがありませんでした(リサイクル品を扱うようになってからは日本全国から仕入れて全国にネット販売するのでたくさん販売しています)。一方関東で呉服店を営む友人に聞いたところでは色無地をほとんど置いていないのだそうで、そこまで違うのかと驚いたものです。

江戸小紋は遠目からだと無地に見えるほどごく小さな柄が単色で染められている小紋なのですが、かつて参勤交代で江戸城に来ていた武士がどこの藩出身で地位はどのくらいか、裃(かみしも)の柄を見ればすぐにわかるよう、自藩の柄を定めていました。そんな歴史がある江戸小紋が関東で主流になったのは自然なことだと思えます。

・長襦袢の衿

関東は襟が裾まで繋がった、たて衿と衿が一緒になった通し衿になってます。関西は別衿をつけて衽のついた着物のような仕立てになっており、現在は関東仕立てはほとんど見られなくなり関西衿が主流です。ふくよかな方には関東衿は少し着にくいとされておりますが、私自身、着用したことはもちろん実物をほぼみたことがないのでなんとも言い難いです…。興味のある方は「長襦袢 関東衿」で検索してみてくださいね。

・黒紋付(喪服)

女性の黒紋付は関東ではツルツルとした羽二重の生地が使われるのに対して関西では縮緬生地が使われることがほとんどでしたが、これも現在は関西の縮緬生地が全国的に主流となっているようです。関東の羽二重の生地がどういうものかわからなければ、男性ものの黒紋付の生地をイメージしてください。しぼのない滑らかな風合いの生地です。リサイクル品を扱っていても羽二重の女性用黒紋付はほとんど見ませんので、かなり前に廃れてしまったのではと思います。

・帯の巻き方

これはみなさん1回くらいは聞いたことがあると思いますが「関東巻き」「関西巻き」ですね。反時計回りを関東巻き、時計回りを関西巻きと呼びますが、私が思うに決して関東に住んでいる方は反時計回りで巻くのが主流で、関西は時計回りに巻くというわけではなさそうであくまでも名前の違いのように思います。

・家紋の違い

これは今でもはっきりと違いが残っています。正式な家紋は周りを丸で囲みますが、関西では女性の着物に家紋を入れる場合丸を省略するのが一般的です。関西でも地方によって丸を入れる場合がございますが、それでも少し細めの「細輪」「糸輪」など通常の丸よりも少し細めのものを入れます。理由としては女性の着物に丸付きの家紋を入れると仰々しいから、と言われますが私個人の感想では丸の有無でそれほど仰々しさが変わるとも思わないんですけどね。

着物雑誌「美しいキモノ」では様々な綺麗な着物の写真が掲載されておりますが、東京の出版社の雑誌なので留袖など家紋入り着物の写真をよく見ると全て丸が入っており関東と関西の違いがよくわかります。

・帯のたれ先の仕立ての違い

界切り線(かいきりせん)ってご存知でしょうか。帯のたれ先の部分を思い浮かべてみてください。まず無地の部分が5cm程度ありそこから1本線が入って柄がおられていきます。この線を界切り線と呼びます。その先10cm程度の部分にまた2本線が入っていることがありますが、これはオランダ線という装飾の線ですが、最近はオランダ線という名称どころか、この線を入れるのも無くなっているようです。

界切り線の先は無地で織元の名前「ナンタラ織物」や「プラチナ箔」なんて文字が織り込まれているのですがこの部分を出して仕立てるのが関西仕立て、隠して(裁断して)仕立てるのが関東仕立てです。最近は関東仕立てが主流ですので何も指定しなければ関東仕立てで仕立てられると思います。

関東仕立てのほうがいいけれど、織元や作家さんのファンで裁断してしまうのはどうにも惜しい、という場合は中に入れ込んで仕立てることもできますのでご希望の場合は和裁士さんに相談してみてください。

・東北は鯨尺(くじらじゃく)ではなく曲尺(かねじゃく)

番外編で最近驚いたことを一つ。呉服業界の寸法表記は尺貫法の鯨尺を使用します。しかし東北では曲尺を使用するようです。曲尺というのは主に大工さんが使用する単位で鯨尺の1尺=約37.88cmに対し曲尺の1尺=約30.3cmで大きな違いがございます。ですので東北の方にフルオーダーのお仕立てを依頼された時には少し気をつけなければなりません…というか、通販で全国のお客様を商売させてもらっていてこれを知らずによく今まで大きなトラブルにならなかったもんだと今さらながら冷や汗をかいています。

いかがでしたでしょうか。思いつくままに書いてみましたが少し考えただけでもこれだけでてきました。研究すればもっとたくさんの違いがあると思います。着物は情報伝達がほとんどない時代にゆっくりと広まっていったものなので、方言と同じように各地で着方、仕立て方が違うと思いますのでご自身の認識と違っても「ああ、そういう地方もあるんだな」という程度に思っておくと色々平和だと思います笑

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