絵羽ものはフルオーダーでも身体に合わせて仕立てない
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本日のお題:絵羽ものはフルオーダーでも身体に合わせて仕立てない
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■絵羽ものはフルオーダーでも身体に合わせて仕立てない
今週のお題は「絵羽ものはフルオーダーでも身体に合わせて仕立てない」です。これも何度か取り上げているテーマですが、先々週の「長襦袢のサイズについて」の最後に「訪問着や留袖は極端な言い方をすればその着物の柄が一番綺麗に見える寸法で仕立てるため、体型に合わせるのは二の次になってしまいます」と書いたところ改めて何件かのお問い合わせをいただいたので今回はこの点について詳しく書いてみたいと思います。
留袖や訪問着など、着物を広げると一枚の絵になっているような柄付けを「絵羽柄(えばがら)」といいます。小紋や紬ですとどこをどんなふうに裁って柄合わせしてもいいのですが(まあ厳密にはちょっとどう合わせてもいいというわけではないですが)留袖や訪問着など絵羽柄と呼ばれる着物はそうはいきません。あらかじめどこにどのような柄が来るか、ある程度想定された寸法で柄が染められているのです。
「ある程度想定された寸法」というのは、前幅6寸から6寸5分程度、後幅は8寸程度となります。この間の寸法であればだいたい柄を綺麗に合わせて仕立することができますが、ここで気をつけなければならないのは「あくまでも柄合わせ優先でお仕立てをする」ということです。
つまり、前幅6寸5分、後幅8寸でいつも仕立てているお客様から訪問着のお仕立てのオーダーを頂いたとして、その訪問着の柄の描き方が前幅6寸4分、後幅8寸1分でピッタリと合うようになっているならば、おそらくお客様の寸法は無視して前幅6寸4分、後幅8寸1分で仕立てられるはずです。先ほど「絵羽ものの着物は前幅6寸から6寸5分程度、後幅は8寸程度」と書きましたが、この範囲で作られていることは多いものの細かい柄の場合は1分単位で一番綺麗にピッタリと合う寸法がありますので、その寸法に合わせて仕立てられます。
お客様のご要望によっては寸法を優先して多少柄が合わなくてもご希望通りの寸法で仕立ててほしい、ということもありますが、標準寸法から大幅に外れるほどふくよかな方でない限りあまり寸法優先にはいたしません。また、多少ふくよかな方で「ちょっとなー、この寸法で仕立てると柄が合わないけれど、同じ柄が合わないにしてもこの部分で柄合わせすると柄があっていないのがあまり目立たないなぁ」というような場合(ニュアンス伝わりますでしょうか^^;)などもあり、和裁士さんはギリギリの努力でなんとかして着姿が綺麗になるように頑張ってくださいます。
ですので、冒頭のご質問の答えなんですが、そういう理由で訪問着や留袖などの絵羽柄はあくまでも想定された寸法に沿って柄が染められており、その寸法でお仕立てされます。もちろんお客様の要望の寸法から大きく外れているわけではないものの完全一致ではございませんので、寸法をとるときには小紋や紬など絵羽ものではない着物を測るのが鉄則なんです。
ここでちょっと私の失敗談を…。
まだこの業界に入って間もない頃、絵羽ものはあらかじめ想定された寸法で染められているということをよくわかっていなかったんですよね。お恥ずかしながらフルオーダーだったらどんな着物でもどんなサイズでも仕立てられると思っていました。正直何も考えていなかったんですよ。
そして私が接客したのはちょっとふくよかな方でして、おそらく今から思うと前幅7寸5分(約28.5cm)、後幅8寸5分(約32cm)程度は必要な方だったんじゃないか、と思います。一生懸命接客させてもらったんですがその時に気に入って頂いたのは上前衽から身頃にかけてどどーんと大きな蝶が描かれた訪問着でした。
蝶の羽が斜めに流れて描かれていました。上前衽と上前身頃の間をしっかりと柄合わせをしなくてはならない柄です。
ちょっと想像していただくとわかると思いますが、あらかじめ想定された寸法で斜めに柄が綺麗に斜めに描かれるものが、あらかじめ想定された寸法よりも大幅に違っていたらどうなるでしょう。後述いたしますが横段の柄だったらそれほど問題ではないのですが、斜めに流れている柄は想定された寸法から外れてしまうと柄が途中で途切れていかにも身幅を広く仕立ててます!というような着物が出来上がってしまうのです。
結論から申しまして、この着物はどうやっても柄が綺麗に合わないのでこちらから柄の変更をしてもらうようにお願いしましたが、お客様のがっかり感は申し訳ないぐらいで結局キャンセルになってしまいました。これは100%私が悪く、まだ新人であったとしてもプロとしてあるまじきことでした。
この柄をご覧ください。
https://image.rakuten.co.jp/gofukunokikuya/cabinet/garaawase.jpg
この柄はリサイクル品として入荷してきたものですが、上前衽と上前身頃部分はしっかりと合わせておりますが、上前身頃と左後身頃で思い切り身幅を稼いだので柄が合わず段違いになってしまっています。斜めの柄を無理やり仕立てるとこうなってしまうのですね…。蝶の柄の絵羽ものもなんとか頑張って仕立てたらこれ以上に柄が合わないようになっていたと思います。
ちなみに先ほど書いた横段の柄というのはこういうものです。
https://image.rakuten.co.jp/gofukunokikuya/cabinet/eba2.gif
これだと多少身幅を広げてもあまり違和感なく目立ちませんのでパッと見てちょっとふくよかだな、広い身幅が必要な方かな、と思ったら頭を切り替えてお客様には気づかれないようにさりげなくこういう柄を提案するのが呉服屋の仕事です。
今ならこんなミスはすることは決してありませんが、それでもまだまだ勉強中です。
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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
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