防虫剤&着物の保管法についてあれこれ
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本日のお題:防虫剤&着物の保管法についてあれこれ
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/
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ちょっと以前は毎日350mlのビールを1本飲むのが楽しみだったんですけど、かかりつけの医師から「量は全く問題はないけれど休肝日は作ったほうがいいね」と言われたので最近は週のうち3日はただの炭酸水を飲んでます。
するともともと弱かった酒がもう一段階弱くなりまして、先日久々にうちのマンションの隣の地ビール屋さんに行ったら小さいコップ2杯でフラフラになりました。ちょっと飲まないだけでこんなに弱くなるのかとちょっとびっくりなきくやてんちょです。
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■防虫剤&着物の保管法についてあれこれ
今週のお題は「防虫剤についてあれこれ」です。今まで何度も取り上げてきたテーマですので「もう全部わかってるよ!」という方も多いとは思いますが、新しい読者が常に増えておりますのでそんなことおっしゃらずにおさらいと思って今週も読んでください笑。
これから春の入卒業式シーズンになりますと、ちらほらと着物姿の方をお見かけする機会が多くなります。こちら大阪市大正区では近くの大きな宗教施設の中に某相撲部屋が大阪場所のために遠征してきたり、近くの公民館のコブシの花が咲き始めると「春だなぁ…」と感じます。呉服屋としては暖かく(暑く)なるとあまり売れなくなるのでずっと寒いほうがいいんですけどね。
それはさておき、入卒業式に出席するママさん方の着物姿は呉服屋としては非常に嬉しいのですが、なかには防虫剤の匂いがかなり強い方がおられます。昔はお嫁入りの時に訪問着など一式用意して持たせることが多かったのでそういう着物を大切に保管しておられたんでしょうね。ただ、あまり大切にしすぎて防虫剤を必要以上にたくさん入れてしまうのは避けたほうがいいです。後にも書きますが、防虫剤は用法、用量を守って使用するのが 必須と言ってもいいでしょう。
さて、本題に入ります。
衣類を食べる害虫は、日本では「イガ」「コイガ」「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」の4種類と言われております。これらの虫はウール、特にカシミア系の柔らかい高級な動物性繊維を好んで食べます。ウールの着物は大好物でして、当店は店頭では着物の買取も行っておりますが、長くタンスの奥にしまっていたウール系の着物が持ち込まれるとほぼ100%に近いような確率で虫による穴が空いており、お客様も驚かれることが多いです。
また、私が仕入れに行くオークションはリサイクル着物の取引が主体なのですが、たまにウールの反物等が出品される場合があり、そういったものはほとんどの場合金融品や呉服店の長期在庫放出品などで、おそらくどこか倉庫の中にずっと眠っていたものだと思うのですが、中には反物の1-2周目あたりが穴だらけになっているものもあります。
防虫剤の基本は必ず着物用を使うこと。防虫剤は化学薬品のものがほとんどで着物と非常に相性の悪いものがあります。その薬剤によってはフォーマル用の着物に使用されている金箔を黒く変色させてしまうものもありますので注意が必要です。先ほど書きましたように防虫剤のパッケージに用法、用量が記載されておりますのでそれを必ず守って下さい。よくパッケージを読まずに「多けりゃ虫は寄ってこないでしょ」というような使い方をしてしまうと着物が薬品漬けになってしまい、金箔や生地の金通しの部分の変色、糸が弱るなどのトラブルの元になります。といっても金は非常に安定した物質なのでよほど防虫剤漬けにしないと変色まで行くことは稀なようで私の呉服屋生活30年で2-3回程度みたことがある程度です。
ウールと比べると絹は虫による害は多くはありませんが、完全にゼロというわけではないようです。先ほど書いた「イガ」「コイガ」「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」の4種類は動物性の繊維を食べますので、絹も動物性の線維であることを考えれば絶対安全とは言えません。「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」は特に穀物等も食べるため雑食性といわれており、食べこぼしなどが残っておりますと、そこに虫が惹きつけられてその食べこぼしと一緒に線維まで食べてしまうので収納する前にそういった汚れはしっかりと取っておくことが大切です。カツオブシムシと言うのならカツオブシを食べろよ、と思うのですが、そんな人間の理屈など虫には通用するわけもないですよね。
このメルマガを読んでいる方はもうすでにご存知で実践されている方ばかりだと思いますが、念のために着物を着て帰ってきてから保管までおさらいいたしますと、
まず家に帰ってきたら着物を脱いで1-2日程度着物ハンガーに吊って汗などの湿気を飛ばします。汗など不純物が残っていると、これも虫の餌になってしまうようですので十分風を通して汗を飛ばしてしまいましょう。この時、洋服用のハンガーですと着物の重みで肩の部分が伸びてしまいますので必ず着物用のハンガーを使用して下さい。あまり長くかけていると裾の方にたるみが生じて八掛が袋状になる場合があるので陰干しするのは1-2日程度でいいでしょう。
着物の染料は洋服等と比べて強くはありませんので、直射日光は厳禁です。湿気が少なく、できれば風の通る部屋で直射日光を避けて干すようにしましょう。
1-2日経って十分汗が飛んだらシミ等がないか全体を点検します。先ほども書いたように食べこぼしなどがあるとそれに虫が引き寄せられてしまいますので、襟元、袖口など汚れやすい部分を重点的に点検して特にシミ等がなければたとう紙に包んでタンスの中に入れます。ホームセンターで販売されているプラスチックケースも便利ですが、頻繁に着るのであればそういった選択も悪くないですが、たまにしか着ない着物ですとケースの中に湿気がたまってしまい、カビの発生の元になってしまうのであまりお勧めいたしません。
タンスの中に収納する際、できれば引き出しをウールの着物と分ける方が良いです。そして何度かこのメルマガでも書いているように、できれば滅多に着ないフォーマル用の着物はタンスの上の方に、頻繁に着るウールなどはタンスの下の方に入れておきます。防虫剤は空気より重く下に溜まる性質があるのと同時に湿気も下の方に溜まる性質があるため、タンスの下に溜まった湿気を下の引き出しを開けるたびに外に排出されると言う自然の対流を利用するのです。といっても効果は限定的で気休めみたいな程度だと思うんですけどね。
そして防虫剤です。着物用と表記されているものを選んでいただくのは先ほど書いた通りですが、一番良いとされているのがクスノキから採った100%天然成分の樟脳です。天然のものですので着物にも優しく、効果も高いようですが、それでも必ず用法、用量は守って下さい。多けりゃ大丈夫!というのは厳禁ですよ!いま検索してみたらクスノキの100%天然成分のものは若干高めのようですが、その価格差以上の満足感はあると思いますよ。その防虫剤を着物に直接触れさせないように使用方法をよく読んでタンスに入れて下さい。
そうか!クスノキの天然樟脳がいいのか!すぐに買いに行こう!と思っていただけたなら非常に嬉しいのですが、防虫剤は混ぜるとこれまた化学反応を起こす場合があるので防虫剤を変える時には気をつけて下さいね。
最後に、いまネット検索してみましたら金箔や金糸に非常に悪いとされているパラジクロロベンゼンを使っている着物用防虫剤もあるようです。着物に無害なパラジクロロベンゼンもあるのかそれともメーカーも適当に着物用と書い…いやいや、どうなんでしょうね。正しい知識もないのによその会社が出している商品をあまりディスるわけにも行きませんので何も言いませんが、私ならパラジクロロベンゼン系は使いません。
当店はリサイクル着物店で比較的安価な商品がほとんどではありますが、それでも手に入れて自分のところに来てくれた着物は特別な思い入れがあると思いますので、ぜひ大切に保管して、次に着るときも気持ち良く着られるようにすこーしだけ気を使っていただければ、と思います。
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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
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