呉服店のセールストークを断る方法
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本日のお題:呉服店のセールストークを断る方法
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/
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クリスマスが終わると一気に年末ムードになりますね。当店は12月30日まで通常営業、31日は朝8時までにご注文いただいた商品で在庫のあるものは年内発送いたします。ギリギリまで頑張ります(鼻息)。そして1月1日から14日までお年玉セールを行いますので是非ご来店くださいませ。
期間:1月1日0時から1月14日9時59分
割引:リサイクル商品半分以上30%OFFから90%OFF(それ以外のリサイクル商品も全品10%OFF)
【年始休暇のお知らせ】
まことに勝手ながら1月1日-1月4日まで年始休暇を頂戴いたします。この間、ご注文はお受けいたしますが、受注確認メールやお問い合わせの返信、発送作業は1月5日以降となります。ご了承くださいますようお願いいたします。
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■リサイクル着物続々入荷中です!是非ご覧下さい。
https://www.kikuya.shop/view/category/ct47
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■呉服店のセールストークを断る方法
本日のお題は「呉服店のセールストークを断る方法」です。TwitterやFacebookを見ていると、呉服店の店頭に出ている商品をなんとなく見ただけなのに店員が駆け寄ってきてあれやこれやお勧めされて面倒臭い、といった話をよく目にします。セールの500円の浴衣に惹かれただけなのに店員と話しているうちにいつの間にやら100万円の反物を巻き巻きされ、そのうちに周りに他の販売員も寄ってきて
「もうこんなお得な値段にはなりませんよ」
「店長、もうちょっとなんとかなりませんか?え?そんな値段になるんですか!(小芝居)」
「月々いくらなら出せます?」
こんな感じで怒涛のようにセールストークが始まり、危うくローンを組まされそうになった、ということは着物好きの多くが経験しているのではないでしょうか。次々販売をしていた店のことが報道されるなどその販売方法で物議を醸すことの多い呉服店ですが、今回はそのセールストークを回避する最強の魔法の言葉を伝授いたします!今回は必見です!
結論から申し上げます。それは「いりません」とはっきり断ること!あ、ずっこけないでくださいよ。なんのひねりもないのは認めますけれど本当にこれが一番シンプルで最強の言葉なんですから。その理由を説明いたします。
呉服店で販売員に捕まってしまうと「お金がない」「夫に聞いてみないと」とか、自分の本心を言わずにやんわり遠回しに断ろうとする方が少なくありません。販売員も人間なのではっきりした言葉で断ると嫌な気持ちになるだろうと色々気遣いした上での言動だと思います。でもこれ、逆効果だと思うんですよね。
着物に限らず販売の仕事をしたことがある方は「応酬話法」というのをご存知だと思います。これはお客様がああいえばこういう、という話法のことで、お客様からの断り文句を想定してそれに対する返答をあらかじめ用意しておき、どんな断り文句を言われてもそれをうまく返して販売員のペースに持っていく、というものです。
お客様のやんわりとした断り文句は全て想定されており、販売員はそれに対する返しを練習していますので一般的な断り文句だと全て販売員に返されてしまいます。販売員が想定していない斜め上の断り文句、例えば「爺ちゃんの遺言で反物から仕立てるのはダメなんです。おほほ」とか言えば黙らせることができるかもしれませんが…うーん、ほとんどギャグですね。
まあそれは冗談としても、一般的な返し文句だと応酬話法が発揮されて100%その断り文句を潰されてしまいます。
お金がない→分割払いできますよ
夫に聞かないと→みなさん内緒で買ってますよ
などなど、とってつけたような理由を言ったところでまるでその着物を買うのが前提のように、すべて購入する方に脳内変換されていつの間にやら販売員のペースに引きずり込まれます。応酬話法の練習なんて大げさなものでなくても、だいたい断り文句は皆さん同じようなことをおっしゃいますし、毎日毎日そんな会話をしているんですから販売の現場で1ヶ月も経てばりっぱに「ああ言えばこう言う」販売員が育つのです。
実は販売員の方もわかってることが多いんですよ、これは断り文句だな、要らないんだろうな、って。でもはっきり言ってくれない限りは近くで聞いている上司からちゃんとお勧めして販売しなさい、と怒られるし、時間がないと言われれば名簿に書いてもらってあとで家までセールスに行かなくてはなりません。たとえインターホンで冷たく断られるとわかっていてもです。「応酬話法でお客様のNOを全て解決して販売につなげましょう」というのは呉服店に限らずどんな販売の現場でも多かれ少なかれ指示されていることだと思います。
なので職務に忠実で真面目な販売員であればあるほど、曖昧に断っている限りは応酬話法でそのNOを解決しようと頑張ってしてしまいます。ただ、先ほど書いたように販売員もお客様の反応をちゃんと見ており、あまり興味がないというのがわかっている場合は「このお客さん、はっきり断ってくれないかなぁ、曖昧な断り文句だとずっと応酬話法で無理に勧め続けなくちゃならない、お願いだからちゃんと断って」と思っていることも多いのです。それでも勧め続けないとあとで店長から「なんでちゃんと応酬話法で販売しないんだよ」と怒られてしまうから頑張らないといけないのです。
このことをTwitterでつぶやいたら、電話でセールスしておられる方からリプライがありやはり同じように「電話をかけた時に今は責任者がいない」「今忙しい」など曖昧に断っていると電話をかけ続けなければなりませんが、はっきり断られると「再電話禁止」とマークをつけて二度と電話をかけないようです。
お客様の「欲しいけど買えない理由(脳内変換)」をつぶして、買えるような提案をしてその反物を気に入ってもらうところまで持っていくのが販売員の仕事です。そしてお客様からの明確な「いりません」「買いません」という意思表示が出れば試合終了のゴングは鳴るのですが、曖昧な返答をしている限り買ってもらえる可能性は0%になりませんから勧め続けてしまいます。
いや、わかってますよ。そんなことをしてたらむしろその店から足が遠のいて長期的には決してプラスにならないです。特にこのインターネットが発達し、誰もが発信者になれる時代ですから、変な接客をしてしまうと翌日にはその噂は全国に広まってしまいます。
しかし一方でその店の販売ノルマというものもあるんですよ。もちろんお客様を嫌な気持ちにさせて無理やり販売するなんてことはあってはならないことなんですが、販売の現場としてはどうしても「一生懸命にお勧め」してしまうんです。大きな組織になればなるほど各店の販売ノルマ、そしてその店に勤務する一人一人の金額まで設定されます。販売ノルマってのはだいたい「頑張ってようやく達成できる数字」が設定されているものでして、職務に忠実な人であればあるほど無理して頑張ってしまいます。
そういうのがいいとはいいませんよ。むしろそういう頑張り方はやめた方がいいと思っていますので私はほとんどお勧めしません。お客様に聞かれてから初めて商品の説明をしますし、この人は今買わない方がいいと思ったらはっきり「やめといたら?」も言いますよ。でもそれは店が1つしかなく、販売すべき量も把握できていますし、無理して売りつけるようなことをしなくてもちゃんと利益が出て取引先に支払いができ、従業員に給料を出せる状態で回っているから。
しかし大きな店になると経営者の目は各店舗まで行き届きませんから数字で管理せざるを得ません。「これだけ販売してください」と販売ノルマを与えることで年間予算管理をし、各店は従業員一人一人に予算を割り当て、売上を管理して行かざるを得ません。その結果、残念なことではありますがお客様の反応が目に入らず頑張りすぎてしまうのはあり得ることですからなおさらはっきりと「いりません」という意思を伝えることが必要です。販売員は断られることに慣れているのではっきり言われても傷ついたりなんかしませんから安心して断ってください。断ることが本当に苦手だという人は、販売員のセールストークが始まりそうになったら先に「今日は買うつもりはないんです」と言ってしまいましょう。話を聞いてしまうと断りにくくなってしまいます。
昔から呉服屋とおできは大きくなると潰れる、なんて言われますが大きくなると販売管理がしにくくなりますし、従業員全員に着物の教育をすることも難しくなります。着物の知識は足りていないのに応酬話法ばかり上手くなって、結局お客様が離れていくといった現象が起こりがちです。当店はとてもとても小さい店ではありますが、その分お客様一人一人の要望に向き合う余裕があります。無理せずのんびり販売してるのが性に合っているなぁ、と思うのです。
この号が今年最後のメルマガです。今年は去年に引き続きコロナウイルス の影響で純粋に着物を楽しみにくい雰囲気でしたが、お客様に支えられていることを実感した1年でもありました。ありがとうございました。また来年もどうぞよろしくお願いいたします。新年は1月5日より営業いたします。
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