紬の訪問着とは?成り立ちやTPOなどご紹介
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本日のお題:紬の訪問着とは?成り立ちやTPOなどご紹介
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先日、中古の浴衣があるよ、といわれてお付き合いで大きなダンボール2ケース分買ったのですが大ハズレでして…。この業界、中を見ずに一山いくらで仕入れることも多く、信頼関係で成り立っているところも多いのですが思いっきり裏切られました笑。
来週ぐらいからぼちぼち出品していくつもりですが、シミがあったりそもそもサイズがめちゃくちゃ小さかったりで写真撮影するのが辛かったです笑。めちゃくちゃ安くはしてるのでアップロードが済んだら是非見てください。
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■紬の訪問着とは?成り立ちやTPOなどご紹介
ちょっと変わり種の着物で「紬の訪問着」というものがございます。先日毎月28日の競り市に行くと何枚も出てきまして、私がこの業界に入った頃の大昔(30年ほど前)はどちらかというとキワモノっぽい…と言っては言い過ぎですがちょっと変わった代物という認識だったのに今はすっかり市民権を得たような気がします。コテコテの着物ファンの多いこのメルマガの読者さんでしたらもう説明は不要なぐらいよくご存知だと思いますが、どう言ったものか一応解説させていただきますと…。
まず、一般的な紬の着物というのはカジュアル用の遊び着と言われています。これには色々説がありますが、私が教えられたものでは、その昔いい糸が取れる繭は貴族などが独占してしまい、庶民はクズ繭しか使うことができませんでした。しかしながらクズ繭は文字通りクズ繭で糸がもつれ合ったりなどで綺麗に糸を引くことができず、お湯の中に入れてふやかせて綿状にしてそこから手間をかけて紡ぐことによってようやく糸にすることができ、そこから着物を作りました。
ですので紬=庶民の着物ということであくまでもカジュアル用の着物で、いくら手間暇をかけた超高級な160亀甲いざり機重要無形文化財クラスの結城紬であったとしてもあくまでもカジュアル用の遊び着であり、フォーマルな場には行くことができません。
一方で訪問着ですが、着物を広げると一枚の絵になっているような柄付で縫い目を超えて一つの絵が繋がっています。こういう柄を「絵羽柄(えばがら)」と言い、フォーマル用の着物としての重要な要件となります。余談ではありますが、上半身にも下半身にも柄が入っているものは訪問着、裾にしか柄のないものを留袖(とめそで)、特に地色の黒いものが黒留袖、黒以外のものを色留袖と分類されます。
ここまでお話しいたしましたもう察しがついていると思いますが、柄の付け方はフォーマル、そして生地は本来カジュアルのものである紬で、言い方は悪いですが柄付けと生地がちぐはぐになっていますのでなんとなく中途半端な位置付けの着物となってしまいます。私が着物業界に入った頃から少しずつ流通し始めたように思うので、作られ始めてから30年ぐらいになるでしょうか。冒頭に書いたように初めて「紬の訪問着」を見た先輩方は「これどういう着物なんだろう」と言っていたような記憶があります。
当時は着物といえばフォーマル全盛でした。ネットでは「フォーマルの方が高いし儲かるから呉服屋がフォーマルを勧めるからそうなる」と言われることもありますが、これは全く的外れでして、当時から呉服店は1枚売ればもう必要のない訪問着や留袖などフォーマルものよりも、沼にはまると何枚も次から次へと欲しくなるカジュアル用を販売したかったんですが笑、フォーマルしか売れなかったというのが実情でした。着物を日常的に着る方は人口の0.1%以下と言われるこの時代、そんなカジュアル用を購入する方はかなり少数派ですので、実質売上げを取りやすいフォーマル用を中心に販売せざるを得ないのです。
紬など、見方によっては地味に見えるようなマニア向けの着物ではなく、見た目が華やかで綺麗なフォーマル用の着物の方がライトユーザーに人気があったのは確かでして、それに応じるようにフォーマルウエアを中心に販売するようになりました。フォーマルが売れるのであれば、新しい提案として一度紬の生地でも作ってみようかと思うのはごく当然の話で、その結果出来上がったのが「紬の訪問着」というアイテムであり、長い間かけて次第に市民権を得てきたように思います。
では、どんなところに着ていけばいいのでしょうか。
遊び着でもなければ完全にフォーマルと言うわけでもない、微妙な位置付けの着物ですので気軽なパーティなどでしたら一番ふさわしいと思います。例えばホテルでの結婚披露宴などでしたら少々フォーマル度が強いので不向きかもしれませんが、カジュアルなガーデンウェディングなどでしたらちょうどいいかもしれません。また、友人同士だけではなく先生を迎えて集まるような同窓会などもいいですね。お花見でも仕事関係の集まりならいいかもしれませんが、完全に友人同士なら私なら訪問着は避けてただの紬の着物にします。
メーカーの方もある程度心得ておりまして、紬の訪問着にはコテコテの古典柄の重厚な感じのものや金箔や金糸を使用した豪華なものは少なく(というかほとんどない)、ややカジュアルな感じのモダン柄のものがほとんどですのであまりフォーマル感はありませんので、人によってはカジュアルとしてお召しになる方もおられるでしょう。これはあくまでも私のイメージですが訪問着のくだけた感じのものというよりも、ほんの少し改まった紬の着物という位置付けの方が近いように思いますが、まだただたか30年ほどの歴史の着物ですので人によって解釈が違うかもしれません。
これらに合わせる帯も金糸をふんだんに使用したフォーマルのものとは違い、少しくだけた感じのモダン柄ものを合わせるのが一般的です。着物がカジュアルに近いものですので、帯もあまり格の高いものは不向きです。金糸銀糸などを使っていない光を抑えたものを合わせると綺麗に合うと思います。
最後に余談ですが、先日X(旧ツイッター)にも書いたネタをもう一度書いて終わりにします。
着物の教則本などに大島紬は証紙が厳密に管理されていて、貼り替えなどをして反物のすり替えができないように着物と証紙を貫通するパンチ穴が開けられていると聞いたことはございませんでしょうか。でもこれ、実は今回のお題の「紬の訪問着」はほとんどが白生地に後染めしたものなのですが、この話は大島紬に後染した訪問着には当てはまらないのです。
もし後染めの大島紬の訪問着を見る機会がありましたら証紙部分をよく見ていただきたいのですが、ほとんどのものはパンチ穴がずれていると思います。これは別に不正をしているわけではなく、大島紬の白生地を染める時に一旦証紙を剥がしてプールしておき、染め上がった後にもう一度添付するときにわざわざ元の組み合わせにはせずに適当に合わせるためパンチ穴が合わないのです。元々の組み合わせで添付し直せばいいのですが、やはりコスト的な問題でそこまでできないんですね。同じメーカーから仕入れている白生地ですので証紙が取り違えられていても実質的な問題はありませんが、パンチ穴の話を知っていてそれがずれているをちょっと戸惑いますよね。
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