見出し画像

絵羽ものに羽織を着るか着ないか問題

====================

本日のお題:絵羽ものに羽織を着るか着ないか問題

呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

きくや着物チョイ話は着物好き方々のために参考になることを紹介させて頂く豆知識メルマガです。着物教則本などに載っているものではなく現在呉服業界で営業している呉服店発の生の情報を配信しております。

上記本店サイトに会員登録していただくと、毎週水曜日にご登録のメールアドレスに同じ内容のメルマガが配信されますのでぜひご登録ください(noteの更新はメルマガ配信より1-2日程度遅れます)。

ツイッターでも毎日着物豆知識をつぶやいています。

TwitterID:@gofukunokikuya

きくや着物チョイ話はメール全文そのままご使用時に限り、転載・無断使用可能です。

====================

いつもメルマガをご購読いただき誠に有難うございます。

最近コロナだの戦争だのと世界中がいろいろ騒がしいですね。武器を捨ててみんな仲良くすればいいのに、まだまだ人間ってのはそんな理想論だけで生きていけるほど賢くはないようです。でもこんなことばかり何回繰り返せば気がすむんでしょうね。この顛末がどうなるか、遠く離れた島国に住んでいる私にはわかりませんが、少しでも傷つく方が少ないように祈っております。

====================

【春の特別セール開催中】

呉服のきくや本店サイトでは3月2日0時よりリサイクル着物全商品10%-90%OFFにてご提供致しております。以前から開催しております在庫処分最大90%OFFはそのまま継続、その他最近登録した新着商品も10%OFFとさせていただいております。すべて1点ものですので是非お早めにご注文くださいませ。ご来店をお待ちいたしております。

割引率:10%-最大90%

期 間:3月2日0時より3月14日9時59分まで

メルマガを配信すると感想を送ってくださるのがとても嬉しく、励みになっております。メールでも募集しておりますが、ツイッターでハッシュタグ「#きくやメルマガ」をつけていただければ見に行きますのでぜひ感想をお待ちいたしております。

====================

呉服のきくや本店サイトでは会員を募集中です。会員登録の特典は

1・毎週水曜日(たまに木曜日)にこのメルマガが届きます。

2・会員専用クーポンが配布されることがあります。

3・入会記念ポイント100ポイントもらえます。

4・購入金額の1%のポイントがつきます

5・ご注文時の住所入力が必要なくなります。

6・プレゼント企画にご応募できます。

と、お得なことばかりですので是非是非会員登録をお願いいたします!

https://www.kikuya.shop/

====================

■リサイクル着物続々入荷中です!是非ご覧下さい。

https://www.kikuya.shop/view/category/ct47

====================

■絵羽ものに羽織を着るか着ないか問題

当店は情報拡散には専らFacebookを使っていたんですが、数年前からTwitterを中心に使い始めたら着物ファンとの距離がグッと近くなり、最近はもっぱらTwitter派になってしまいました。Facebookは実名登録を原則としているため気軽に声を掛け合うにはハードルが高いし、情報発信もあまり頻繁にするとうるさいと思われるんじゃないかと遠慮してしまうんです。一方Twitterは文字通り一人気ままにつぶやいているだけなので、スルーする方はスルーするし、匿名の気軽さで興味ある方は気軽にからんできてくれてちょうどいい距離感が心地いいです。ボケとツッコミ満載の当店のTwitterは「@gofukunokikuya」です。よかったらフォローよろしくお願いいたします。

まあそんな訳で毎日ぽちぽち呟いているんですが、ボケとツッコミ以上にネタの宝庫なんですよ。今までこのメルマガを書くのに次のお題はどうしようか、と頭をかかえることが多かったのですが、Twitterをメインに情報発信し始めてからは着物ユーザーのちょっとした疑問がダイレクトに伝わってきて今まで業界どっぷり浸かっていて当たり前だったことに素朴な疑問を投げかけていただき、とても嬉しく思っております。このメルマガを読んでくださっている方にも情報は出し惜しみいたしませんので、何か疑問がございましたらTwitterでご連絡いただければ、と思います。

さて、そんなTwitterで先日話題になった「絵羽ものに羽織を着るか着ないか問題」を取り上げてみたいと思います。

羽織ってご存知ですよね。長着の上に羽織る、前の開いた文字通り「羽織る」ものでして、道行コートや道中着と違ってアウター、いわゆる外で着るものというわけではございませんので道中で着るのはもちろんですが屋内に入ってからも脱ぐ必要はございません。洋服に例えるとカーディガンのような位置づけだと言われます。

私も詳しく調べてはいないのですが、当初は男性専用のお召し物として作られていたものが、お洒落だということで女性が着ることが流行し、現在では男性にも女性にも羽織は着られるようになりました。男性は黒紋付に羽織を合わせるのが定番で、正装として欠かせないアイテムとなっている一方で、女性はもともと男性用のものを着るようになったというものですからあくまでもお洒落のために着る物であり、フォーマル用のアイテムにはなり得ない、というのが今までのルールでした(注)。

注:例外として、黒の一つ紋付羽織は小紋の上に羽織ると、普通はカジュアルの小紋がセミフォーマルの装いとなり、昭和30年代から40年代あたりの入卒業式、授業参観の定番の装いとして定着しておりました。これは私もリアルタイムで見たことがないのであくまでも想像ですが、戦後復興のモノのない時代、わざわざフォーマルの訪問着を誂えることができないのでそういった緊急避難的なアイテムが生まれたのではないか、と思っております。

しかし最近、訪問着に羽織を合わせている着姿の写真をSNSにアップロードしている方が多く、業界のルールに縛られている私としては「あれ?」と思っておりました。そう思ってもわざわざ指摘するなんて野暮なことはしませんよ。いつものように「ああ、こういう時代になってきたんだなぁ」と受け入れるのみです。おそらく訪問着に羽織は合わせないというルールをご存じないんだと思いますが、ルールを知っているいないに関わらず、自然にそういった装いが日本全国あちこちで発生しているのであれば、それはもうフォーマルに羽織を合わせないというルールの寿命が終わったのでは、と思っております。

思えばこのルールができたのはいつ頃なんだろう。戦後だとしても80年近くですから、100年経っていてもおかしくはないですね。100年前というと、絹のフォーマル着を着る層と庶民とでは生活スタイルはかけ離れていたでしょうし、現代とは生活様式も違えば服飾文化自体も大きく変化しています。そんな頃のルールをいつまでも後生大事に守っているのは少々頭が硬すぎるんじゃないの?と思います。

今回の訪問着に羽織を合わせてもいいかどうかが議論になったことについて、あくまでも私の感覚で考えてみると、昔は訪問着といえば金彩古典柄で「いかにもフォーマル」代表のような着物でしたが、近年は広げた時に一枚の絵になっている絵羽ものだから訪問着に分類されてはいるものの、「あまりフォーマルっぽくない」柄のものが増えてきたことによるのではないでしょうか。訪問着自体がバリバリのフォーマルではなく豪華なお洒落着といった位置づけに変化したことによって、羽織を合わせて気軽にイメージを変えたりフォーマル度を調整したり、着方の自由度が増してきたのかもしれません。

これからもっと訪問着に羽織を合わせることについてのハードルは下がっていって、あと数十年も経てば当たり前のように訪問着と羽織のコーディネートが提案されるかもしれません。その時代になれば呉服屋は訪問着を販売したら一緒に羽織もいかがですか?と提案することができますね(ФωФ)フフフ←悪い顔

とはいえ、訪問着に羽織を合わせることについて気になることはいくつかあります。

留袖や黒紋付は五つ紋付きの最高の礼装とされており、その上に家紋無しの羽織を合わせると本来NGとされるカジュアルダウンになってしまうのでそれはやっぱりだめなのか、それとも羽織を合わせても留袖のフォーマル度が強いためにフォーマル着ということになるのか。訪問着に合わせる羽織は絵羽織や一つ紋付の羽織など「フォーマル用とされる羽織」に限るのか、それとも格に関係なく何を合わせてもいいのか。

今までのルールとの整合性を考えると様々な疑問が湧いてきますが、いつもこのメルマガで言うようにこういったルールは決して呉服屋が提案する訳でも、一人の着物インフルエンサーが提唱する訳でもなく、社会が自然に決めていくものでしてそれが多数に受け入れられたら定着していきますし、受け入れられなければ廃れていくだけです。

今はまだ過渡期ですので訪問着に羽織を着て出かけたら外出先で「訪問着には羽織は合わせてはダメですよ」という指摘を受けることもあるでしょう。当店でも訪問着に羽織は合わせてもOKとお客様に案内することはできません。それでも訪問着に羽織を合わせる流れがこれからも広がり続けて訪問着に羽織が当たり前になるのか、それどころか留袖に羽織を合わせることも受け入れられていくのか。その答えは100年後、いや数十年後に出ているかもしれませんね。

====================

発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや

住所:大阪市大正区泉尾3-15-4

電話:06-6551-8022

https://www.kikuya.shop/

上記URLにて会員登録していただくと毎週水曜日にこのブログと同じ内容のメルマガがご登録のメールアドレスに送信されます。

====================

いいなと思ったら応援しよう!