展示会で高額ローンを組んでしまった!どうしよう!
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本日のお題:展示会で高額ローンを組んでしまった!どうしよう!
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■展示会で高額ローンを組んでしまった!どうしよう!
今週のお題は「展示会のローンの仕組み」です。インターネットがこれほど普及していなかった頃は、着物販売の主体は展示会でした。展示会は数日程度の短期ですから、取引先が協力して商品を貸してくれるのでお客様も多くの中から選ぶことができます。
しかしあの展示会場で反物を巻き巻きされているうちに周りに営業社員やメーカーさんやアドバイザーの方々などが集まってきていつの間にか買わないと帰れないような雰囲気に飲まれてしまい、気付いた時にはウン十万のローンを組んでしまった!そんなときにどうするかのお話です。
本来ならばそんな意に沿わない売買契約はするべきではないのですが、展示会に行くと担当営業、メーカーの社員、作家、アドバイザー、暇な他の社員(笑)がわらわらと寄ってきて、こちらが1人に対して呉服店側が4-5人になってしまい、いいわー、似合うわーの大合唱で断れなくなってしまい、あれよあれよと言う間に売買契約書にサインしてしまった、なぜかその場の全員で意味不明な一本締めをされ、ローンも組んでしまったというのはあり得ることだと思います。
売買契約書にサインすると店側は着物を販売します、お客様側はその代金を支払います、という契約が成立することになります。この世の中は契約社会なので一旦契約が結ばれてしまうとそれを反故にするのは法的には難しいです(後述)。
クーリングオフという制度をご存知の方は多いと思いますが、これは消費者側が一方的にいつでも契約を反故にできる魔法の言葉ではありません。自分から展示会や店に出向いていたりすると、しっかりと考えた上で購入の意思決定をしたとみなされてクーリングオフの対象外となります。ただし、先週書いたような「着物が当たりました」など著しく有利な勧誘を受けた上で足を運んだ場合や、周りを囲まれて自由な意思決定ができなかった場合はクーリングオフの対象となります。ちなみにネット通販は一切店側からお勧めはしておらず、100%自分の意思で冷静に購入を決めたということでクーリングオフの対象外となります。
クーリングオフ期間はその説明を受けてから8日以内なので、売買契約時にクーリングオフの説明を受けていない場合は事実上無期限で適用されます。実際に1年以上経った契約でも解除してお金が戻ってきた事例もあるようですのでこれも覚えておいてください。
そうそう、今回はローンの仕組みでしたね。
売買契約を結び、一括で払えない場合はその場でローンの申し込みをすると思います。少し細かいことを言いますが、売買契約はその商品を売ります、買いますの契約、そしてローンはまたもう一つ別の契約を申し込んでいるということを明確に区別してください。
売買契約はお客様と販売店の二者間の契約であり、通常は商品とその代金が交換されます。しかし手元に資金がない場合は両者間にローン会社が入って、ローン会社は販売店側に一括で立替払いをし、お客様側はローン会社に立て替えてもらった金額を毎月分割で支払うという契約の申込みも同時にすることになるのです。
さて、先ほどから「ローンの契約」ではなく「ローンの契約の申込み」とわざわざ面倒くさい言い回しをしているのにお気づきでしょうか。売買契約が成立するとローンの申し込み用紙に記入することを求められますが、これはあくまでもお客様側からローン会社に「私の代わりに立替払いをしてください」という契約の申込みであってまだ契約は成立していない、というのがポイントです。
ローン会社はお客様からの申込みを審査し、書類上でOKなら電話でお客様に購入の意思確認(注)をし、ようやく契約成立となります。契約成立となってもまだ店側にはその代金はローン会社から振り込まれません。着物が仕立て上がってお客様に納品してから初めて販売店側に支払われ、その月末、もしくは翌月末からローン会社はお客様の銀行口座から毎月一定額の引き落としを開始します(以前は契約が成立したらすぐに販売店に支払われましたが、色々トラブルがあったようで現在はほとんどのローン会社で納品後の支払いとなっています)。
(注)以前は展示会場にローン会社の社員が派遣されてローンの申し込みと同時に意思の確認も行い、即契約成立と言うこともありました。最近はローン会社の自主規制で展示会場に派遣することはないとは思いますが、申し込み時にローン会社の社員がその場にいると確認の必要がなく、すぐに契約が成立してしまうのでご注意ください。
つまりですね、ローンの申し込みをしても最終的に必ずローン会社は「お客様は本当に納得の上でこの店で着物を買い、ローンの契約をしましたか?」という意思確認をするのです。この時に「いや、迷ってます」「やめとけばよかったと思ってます」と言えばローン会社は「じゃあ販売店側と話し合ってくださいね」と言って契約不成立になります。ローン会社は数十万のお金を立替払いしても利益(利息)は1年間で数%なので、もしトラブルになって返済が滞ってしまうと被害が甚大です。なので一点の曇りもない、絶対大丈夫と言える契約しか受け付けないのです。購入の意思に問題がある契約なんてもってのほかで絶対に受けません。
当然のことながら、購入の意思決定について問題があるというのはローン会社から販売店側に伝えられ、販売店からお客様側に連絡が入ると思いますが、販売店内や展示会場で周りを囲まれたアウェイではなく、営業社員が家に来たり、電話だったりのホームでのやりとりになるので不必要なものなら意思強く断ってください。
先ほど書いたように売買契約とローンの契約は全く別物です。ですのでローンの契約が不成立になったからといって売買契約まで破棄されることはありません(不動産などは銀行の住宅ローンが通らなかった場合には手付金が戻らないなどの一切のペナルティなしのローン不成立特約がついていることが一般的ですが着物の場合はそういった特約はないと思います)。とは言え、ローンじゃないと払えないといっている人と売買契約を結んだところでその代金は回収できないと考えるのが普通なので「そんなの払えないゴメリンコ」といえば売買契約自体も破棄することになるでしょう。
最初の方に「一旦契約が結ばれてしまうと法的には反故にするのは難しい」と書きました。あくまでも「法的には」反故にするのは難しいのですが、ローンを組む気がない、一括でも払えないというお客様の反物に、代金回収できないのが予想できるのにハサミを入れて仕立てる呉服店はないでしょうね。お金と労力が有り余ってて代金以上の費用をかけて民事裁判をすれば売買契約は存在できることを認めさせられるとは思いますが…。
頭金を入れていた場合は、売買契約自体不成立になると当然返金されるはずですが、ものすごい悪質な店(そこまで悪質な店は皆無だと思いますが)だと売買契約自体は成立しているとして頭金返さない、といったこともあるかもしれません。そこまでいかなくてもそんな気分の悪い思いをした店に再度頭金を取りに行くのは憂鬱になるので迷いがある場合は「今持ち合わせがない」などといって頭金を入れるのはやめたほうがいいかもしれません。
残念ながら、この時代になってもいまだに展示会で周りを囲まれて雰囲気に圧倒されてローンを組んでしまった、という話はよく聞きます。今回の話が役に立つなんてことはないほうがいいのですが、万が一そういうことになってしまった時のために頭の隅にでも入れておいてくださいね。
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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
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