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絹の着物の裏地にポリエステルをつけるのはアリ?ナシ?

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本日のお題:絹の着物の裏地にポリエステルをつけるのはアリ?ナシ?

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■絹の着物の裏地にポリエステルをつけるのはアリ?ナシ?

本日のお題は「絹の着物の裏地にポリエステルをつけるのはアリ?ナシ?」です。このお題だけを見るとおそらくほとんどの人は「ナシ!」と答えると思うのですが、実はそんな簡単な問題でもなかったりするのです。

着物の場合、表と裏の素材を合わせるのは基本です。素材が違うと着用時に表地と裏地が擦れ合って静電気が発生しやすくなりますし、何よりもせっかく絹の着物なのに体に触れる裏地がポリエステルだと風合いを損ねてしまいます。この「ナシ」の理由については、おそらくほとんどの方が納得されるのではないでしょうか。

しかしながらリサイクル店で仕入れをしていると、表地は絹で裏地はポリエステルという着物を見かけることはよくあります。

私の予想ではありますが、一般ユーザーが普通に着物を購入して仕立てる時に、店側がポリエステルの裏地を提案することはそれほど多くないと思います。(一部の例外については後述します) よほど質の悪いポリエステルならかなり安いのかもしれませんが、風合いの良い東レのシルックですと価格は絹とそう変わらず、意外なほどコストダウンにはなりません。

ご自身に置き換えて想像していただきたいのですが、庶民にとってそこそこ大金である10万や15万かけて仕立てる着物です。そんな金額をかけて仕立てる着物なのに風合いを損ねてまで裏地のわずかなお金をケチるでしょうか。全くいないとは言いませんがかなりの少数派だと思います。

では一体どんな人が絹の着物にポリエステルの裏地をつけるのでしょうか。結論から言うとほとんどは貸衣装屋さんが仕立てたものです。貸衣装はとにかく数が必要ですし、とりあえず貸すことができれば裏地の素材までは問わない、という店が多いようです。数千円といえど、貸衣装に必要な何十枚、何百枚と仕立てると数十万円の差が生じます。また、最近はかなり技術が進んでおりますが、絹の胴裏は変色するという欠点がございますので、いつまでも真っ白のポリエステルを使うという理由もあります。

ですのでリサイクル屋さんで表地は絹、裏地はポリエステルの訪問着や振袖を見つけたら貸衣装屋さんから出てきたものと考えてもいいかもしれません。貸衣装屋さんから出たものは何人もの人に着用されている可能性はありますが、その一方で一般消費者のところから買い取られたものよりしっかりとお手入れされていることが多いです。胴裏がポリエステルの着物は絹のものよりも比較的安価である一方、東レシルックを使っていると絹と見分けがつかないぐらいの風合いですのでお買い得と言えるかもしれません。

しかし一般消費者相手でも絹の表地にポリエステルの胴裏をつけることが多い着物があります。何かお分かりでしょうか?

実は留袖や黒紋付(喪服)はポリエステルの裏地をつけられていることが多々ございます。もちろんお客様には説明した上で絹の着物にポリエステルの裏地をつけるので呉服屋が嘘をついて儲けようとしているとかそんなんじゃないですよ。

最近ではあまり行われなくなった風習ですが、昭和の時代はお嫁入りの時に着物を一式持っていくことがごく当然のように行われておりました。何度かこのメルマガでも書いているようにお嫁入りが決まって荷出し(新居にお嫁入り道具を運び込むこと)の日には「○丁目の息子さん、どんなお嫁さんもらったんやろ」と近所のおっちゃんおばちゃんが様子を見にくるので、お嫁さんが持参した嫁入り道具をお披露目していたのです。その時にタンスにいっぱい着物を入れておかないとみっともない、ということで着物一式をお嫁入り道具に持っていくのが通例でした。今の時代感覚からするとめちゃくちゃ嫌がらせのような風習ですよね笑。

そして結婚後は着物を着て隣近所に挨拶回り、子供ができたらお宮参り、七五三など着物を着るイベントがあり、訪問着や色無地などは結婚後数年のうちに何度か着ることがあるのですが、留袖や黒紋付はなかなか着る機会は訪れません。結婚した先にきょうだいがいたら留袖を着る機会もあるでしょうけれど、どちらかというと着る機会の少ない着物です。黒紋付に至っては親族が亡くならない限り着ることはありません。

そう、五つ紋付きの黒紋付(喪服)と黒留袖はお嫁入り時に持って行ったとしても長い間着る機会がなく、タンスの中で眠ったままになることが多い着物なのです。そして絹の胴裏ですとその間に少しずつ黄ばんでしまいます。最近でこそ技術が進んで絹の黄ばみはかなり抑えられるようになりましたが、それでもいつまでも真っ白というわけにはいきません。せっかく仕立てたのに初めて着るときには胴裏が黄ばんでしまい、ましてや真っ黒の着物ですから黄ばみがわずかであってもすごく目立ってしまうのです。

そんな時に重宝されるのがポリエステルの胴裏です。ポリエステルはいつまで経っても真っ白なままで見た目が非常に綺麗ですし、最近は技術が向上して東レシルックの胴裏ですとちょっと触っただけでは絹と区別がつかないものもございます。ですから店によっては留袖や黒紋付に絹の表地にポリエステルの裏地をつける店が一定数存在します。

先ほど書いたように、現在の胴裏はかなり変色が抑えられるようになってますし、そもそもお嫁入りに留袖や黒紋付を持っていくことがほとんどなくなり、必要な方はその時に購入するという時代になっているのでそんな長期のスパンで胴裏が変色することまで考慮して素材を選ぶ必要性があるのか、と思いますが…。

当店ではリサイクル着物の仕入れの際にはなるべく表地は絹で裏地はポリエステルのものは避けるようにしておりますが、留袖や黒紋付(喪服)の場合は状態が良ければあまり気にしないようにしています(もちろん販売時にはお客様に説明いたします)。確かにポリエステルが使われていると胴裏が綺麗なんですよね。

裏地にポリエステルが使われていると、いくら表地が絹であってもなんとなく心理的に安物感が出てしまうような気がしますが、メリットを考えるとそれほど嫌う必要もないように思います。最近のポリエステルは安っぽく見えず非常に良くできてますし、ご自身の感覚と照らし合わせてもし抵抗がなければメリットデメリットをよく考えながら裏地を選んでみるのもいいのでは、と思います…と言いながら私でしたら絹の留袖には…やっぱり絹を使いたいなぁ。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや

住所:大阪市大正区泉尾3-15-4

電話:06-6551-8022

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