色留袖と訪問着の違い
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本日のお題:色留袖と訪問着の違い
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■色留袖と訪問着の違い
今週のお題は「色留袖と訪問着の違い」です。このメルマガを読んで下さっている着物ファンの方々は「そんなの知っているよ!」とおっしゃるかもしれませんが、おさらいだと思ってぜひお読みください。
まず、訪問着の定義からお話しいたします。訪問着とは、広げると柄が一枚の絵のようになっている着物です。小紋や紬は縫い目を超えて柄がつながっているということはありませんが、訪問着はあらかじめどこにどんな柄が来るのか計算されており、その柄が縫い目を超えてうまくつながるように染められておりますので、仕立てあがると一枚の絵のようになっています。総柄のものもございますが、一般的には裾と胸の部分、右後袖、左前袖に柄がついております。地色は黒でも白でも何色でもよく、一切問いません。家紋については、西日本ではあまり入れませんが東日本では入れることが多いように思います(地方によって様々な風習がありますのであくまでも感覚です)。
では色留袖はと言いますと、柄が縫い目を超えてつながるように染められていることや、柄の位置もほとんど同じなのですが、上半身に一切柄がないのが訪問着との大きな違いです。黒留袖が黒地で上半身に柄のない五つ紋付きの比翼仕立て(後述)の着物であるのに対し、黒留袖の地色が黒以外であるものを色留袖と呼びます。ですから、色留袖と訪問着は一見すると上半身の柄の有無でしか区別できませんが、色留袖は黒留袖から派生したものであり、訪問着の上半身の柄がないもの、という位置づけではないと言えます。
黒留袖から派生したものである色留袖は、本来ならば五つ紋付きの比翼仕立てであるべきですが、現代では色留袖をそのように仕立てることはほとんどありません。五つ紋も比翼もついていない色留袖は、訪問着と見比べると上半身の柄の有無しか違いがなくなったのです。
ここで比翼仕立てについてお話しいたします。黒留袖をお持ちでしたら見ていただきたいのですが、通常の着物と少し違った仕立てになっているのがわかりますでしょうか。何の役にも立たない(おい)白いピラピラの生地が、裾と、袖口や振り、襟の部分にも縫い付けられています。現代ではほぼ飾りのようになっておりますが、これを比翼仕立てといいます。
もともと黒留袖を着用する時には長襦袢の上に白い着物を着て、その上に黒留袖を着ていたのですが、長襦袢の上に2枚も着物を重ね着すると、おはしょりの部分などは特に布が重なってごわごわしてしまいます。そのためあたかも下に白い着物を着ているように見せるため、黒留袖に白い生地を縫い付けてしまったわけです。
先ほど書きましたように色留袖は黒留袖から派生したものですから、本来ならば五つ紋付き、比翼仕立てで仕立てられるのがセオリーです。また、黒留袖は白い帯〆、帯揚げ(金糸や銀糸が入っているのはOK)のみ使用し、長襦袢も真っ白のものを使うとされていますので、色留袖も同じように白い帯〆帯揚げを使います。そうすることによって黒留袖と同格のお召し物となります。
しかし、五つ紋付き、比翼仕立ての色留袖を着る機会がありますでしょうか。庶民にとって一番格の高い場所は結婚式だと思いますが、通常は黒留袖を着用するでしょう。皇室では黒は禁色とされているため天皇陛下に拝謁する際には色留袖が必要ですが、一般的な庶民が五つ紋付きの比翼仕立てで黒留袖と同格にした色留袖を仕立てても、そんな席に呼ばれることはほとんどなく、格式高い正式な色留袖を着る機会はほぼないと言っていいでしょう。
昔に一度だけ五つ紋付き、比翼仕立てで色留袖をお仕立てさせてもらったことがあります。息子さんの結婚式で着る着物が必要だったのですが、結婚式という華やかな場で黒留袖よりももっと華やかな着物を着たい、ということで五つ紋付き、比翼仕立ての色留袖を提案させていただきました。たしか20年以上前だと思うのですが、鮮明に記憶に残っているぐらいレアなケースだと思います。
色留袖の成り立ちを頑固に守るのであれば、五つ紋を入れて比翼仕立てにするのがセオリーですが、先ほどのレアケースはさておき、さておき、あまり格を上げてしまうと一般的な庶民には着る機会がかなり限定されてしまいます。そのため、五つ紋ではなく一つ紋(もしくは三つ紋)、比翼仕立てにせずに訪問着と同じ一般的な着物と同じ仕立て方をすることによって、色留袖を訪問着と同格にして着る機会を増やしているのです。
こうなってしまうと、色留袖と訪問着の区別なんてほとんどなく、めちゃくちゃ荒っぽい言い方をさせてもらえるならば、色留袖とは「上半身に柄のない訪問着」であると言っても大きく間違ってはいないかもしれません。
というわけでまとめますと、色留袖は五つ紋付き、比翼仕立てにしていると帯〆や帯揚げは白、長襦袢も白にするのがセオリー。しかし一つ紋で比翼仕立てにもしていないのであれば、訪問着と同じ扱いで小物や長襦袢も着物に合う色のものを自由に使用しても構いません。
色留袖と訪問着の違い、おわかりいただけましたでしょうか。ちなみに呉服屋歴が長いと、上半身に柄があるかどうか見えないように畳んでいる状態でも、色留袖と訪問着のどちらなのかが分かるんですよ。色留袖の色合いはなんとなく上品ではんなりしており、柄も古典の重いものになっているせいか、どことなく色留袖感が出てるんです。もちろん100%じゃないですけどね。
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