音楽が疼痛を緩和する

　お気に入りの音楽を聴くたびに気分が良くなり、その瞬間を楽しむことに集中できることに気づいたことはないでしょうか。 音楽を聴くという体験は、気持ちを和らげリラックスさせる強力なことなのです。 しかし、音楽の効用はそれだけではありません。

　McGill大学の研究者らは最近、好きな音楽を聴くことで痛みの強さや不快感が減少するという痛みの研究結果をFrontiers in Pain Researchに発表しました。 音楽の力に対する理解が深まることで、音を使った痛み治療の開発が促進されることが期待されています。
 
●身体の痛みを和らげる音楽の力
　薬を使わない痛みを抑える代替手段として、音楽が効果的に機能するかを確かめる興味深い研究が行われました。 この研究では、痛覚が意識に登録される前に痛みの信号経路を遮断することで、科学的には痛覚低下として知られる現象である痛みを軽減するのに役立つかどうかを調べています。

●好きな音楽は本当に痛みを和らげてくれるのか？
　では、具体的にどのような音楽が痛みを軽減するのでしょう？ 研究者たちは、それぞれの参加者が好きな音楽が、急性熱痛の軽減に大きな影響を与えることを発見しました。 研究者たちは、参加者が聴いたことのないリラックスできる音楽も紹介しました。 その結果、聴き慣れないがリラックスできる音楽は、参加者の好きな曲よりも痛みを軽減しないことが判明しました。 研究者たちはまた、音楽が痛みを軽減するかどうかを決定する上で、各個人のユニークな感情反応がかなりの役割を果たすと判断しています。

　どのタイプの音楽が痛みを軽減するのに最も効果的かを調べるため、参加者に中程度の強さの温熱刺激を与えました。中程度の痛みを伴う刺激は前腕の内側に与えられ、熱いコーヒーカップを皮膚に押し当てたときのような感覚を与えました。 各刺激は、7分近く続く音楽の抜粋に合わせて行われました。

　完全な無音や対照曲と比較した場合、好きな音楽を聴くという体験は痛みの強さを大幅に軽減しています。 整理されていない音色の音楽まで再現したが、それでも聴くことで痛みが軽減することがわかったのです。 したがって、音楽が持つ注意散漫な要素や、単に聴覚の刺激源として存在するだけでは、痛覚減退の原因にはならないと言えます。 むしろ、痛みを和らげるのは音楽的要素なのです。
 
　特に興味深いのは、好みの音楽のジャンルが、リスニング中の痛みの感受性にも影響するということです。 感動的な音楽やほろ苦い音楽を聴いた人は、他のジャンルの音楽を聴いた人よりも不快な痛みを感じなかったと報告されています。 研究者らはまた、感情を呼び起こすほろ苦い音楽が、痛みの信号伝達を妨げる「音楽的悪寒」を呼び起こすことも指摘しています。 音楽的悪寒は、しばしば鳥肌や戦慄、ピリピリした感覚の形をとります。

●他の自然な痛み止めの選択肢を見つける
　痛みを和らげる方法として音楽が注目されていますが、お気に入りの曲をかけ続けることは必ずしも現実的ではありません。 中毒性のある鎮痛剤に頼るのではなく、痛みと闘うのに役立つ自然の代替品の宝庫を探ってみることが大切です。

　そのようなアプローチのひとつが、炎症を誘発する食品を排除するために食生活を改善することです。 炭酸飲料、揚げ物、加工食品（小麦粉製品）を避けることが賢明な第一歩です。 その代わりに、オーガニックのサクランボ、ニンニク、辛い唐辛子、天然のサーモンなど、抗炎症作用のある食品を積極的に摂りましょう。 これらの食品は、味覚を刺激するだけでなく、炎症や慢性疼痛のリスクを軽減してくれます。

　自然な痛み止めを求めるなら、ハーブ療法も有効です。 生姜とターメリックは、どちらも手軽に手に入り、効果的な鎮痛剤として高い評価を得ています。 ターメリックは抗炎症作用があり、スープやシチューに加えると、独特の風味と鎮痛作用が引き立ちます。
 
　一方、ショウガには、抗炎症作用、抗酸化作用、鎮痛作用で知られている生理活性化合物であるジンゲロールが豊富に含まれています。自家製スープに加えても、心地よいハーブティーで味わっても、生姜は慢性的な痛みと戦うための美味しくて自然な選択肢となります。