アセトアミノフェンに潜む危険性

　Journal of Clinical Medicineに掲載された新しい研究で、出生前のアセトアミノフェンの服用と子供の喘息や喘鳴のリスク増加との間に憂慮すべき関連性があることが明らかになりました。330,000 人以上の女性のデータを分析したこの大規模な研究は、妊娠中のアセトアミノフェンの服用をめぐる懸念の高まりに油を注ぐものとなっています。しかし、危険にさらされているのは胎児だけではありません。この研究結果は、これらの一般的な錠剤を頻繁に服用する成人の呼吸器系への危険について警告を発した以前の研究を反映するものです。国際的にはパラセタモールとして知られ、タイレノールなどの一般的な名前で知られるアセトアミノフェンは、無害な万能薬ではないかもしれません。
 
●アセトアミノフェンと呼吸器の健康について知っておくべきこと
　イギリスのノッティンガムで実施された第3回National Health and Nutrition Examination Surveyのデータの以前の評価では、13,500人の米国成人を追跡し、アセトアミノフェンの頻繁な服用は喘息やCOPDのリスクを高める可能性があると判定されています。COPD、つまり慢性閉塞性肺疾患は、致命的となる可能性のある進行性の閉塞性肺疾患です。

　参加者は、1988年から1994年までのアセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンの使用に関する情報を提出しました。他の薬剤も検討されましたが、COPD、喘息、および全体的な肺機能に関連するリスクは、アセトアミノフェンを頻繁に服用した人々で最も高いことが判明しました。アセトアミノフェンは、毎日または定期的に（月に6～29回）服用すると、肺の健康にこれらの合併症を引き起こす可能性があります。

　研究者らは、血流中のアセトアミノフェン濃度が高いと、グルタチオンと呼ばれる肺の重要な抗酸化物質の濃度が低下すると考えています。その結果、アセトアミノフェン使用者はグルタチオン濃度の低下により肺組織が損傷するリスクが高くなります。その結果、さまざまな呼吸器疾患のリスクが高まります。この研究結果は、酸化プロセスが COPD と喘息の発症と病因に関与していることを示唆しています。

●アセトアミノフェンを服用すると、喘息とCOPDのリスクが70％以上増加する
　これらの結果と過去の研究結果から、アセトアミノフェンは喘息やその他の肺疾患の発症、進行、重症度を悪化させると考えられています。繰り返しますが、イブプロフェンやアスピリンの服用と COPD や喘息などの肺疾患との間には識別可能な関連性はありませんでした。全体として、アセトアミノフェンを毎日服用する人は、COPDになる可能性が72％高く、喘息になる可能性が75％高くなるという驚くべき結果が出ました。アセトアミノフェン服用者の肺機能マーカーは全体的に低下していました。また、アセトアミノフェンを月に6～29回服用する患者は、喘息になる可能性が40％高くなりました。
 
●アセトアミノフェンのその他の副作用
　タイレノールに加えて、アセトアミノフェンは 600 種類以上の処方薬や市販薬の有効成分です。たとえば、この物質は多くの風邪薬や咳止め薬に含まれています。アセトアミノフェンの副作用に焦点を当てた過去の研究では、この薬の過剰服用が肝臓障害の可能性が高いことが示されています。Acute Liver Failure Study Groupがアセトアミノフェンの服用に関して米国の医療センター 22 か所を評価した結果、アセトアミノフェンの肝毒性は肝不全の他の原因をはるかに上回ることが判明しました。アセトアミノフェンのその他の副作用には、吐き気、血尿や血便、発熱、発疹、突然の疲労、あざ、口内炎などがあります。

●痛みを和らげる自然の薬箱を探る
　アセトアミノフェンの副作用を避けるには、次のような自然な鎮痛代替法を検討してください。

1.    オメガ3脂肪酸と抗酸化物質が豊富な抗炎症食
2.    ウコン – 強力な抗炎症作用で知られる
3.    局所的な痛みの緩和のための唐辛子（カプサイシン）
4.    ラベンダー、ペパーミント、ユーカリなどのエッセンシャルオイル
5.    サリシンの天然源であるシロヤナギの樹皮
6.    ショウガは炎症や痛みを軽減する
7.    さまざまな痛みに対する鍼治療または指圧
8.    筋肉をリラックスさせ、痛みを軽減するマグネシウムサプリメント
9.    抗炎症作用のあるハーブ、ボスウェリア
10.  麻から抽出したCBDオイルは、鎮痛作用がある可能性がある
11.  セルフマッサージまたは専門家によるマッサージ
 
　また、軽い運動とストレッチだけでも軽い痛みや苦痛を解消するのに有効です。