消化器系を助けるウコン

　腸の健康は私たちが想像する以上に多くの点で重要です。健康な消化器系は、適切な消化と栄養吸収だけでなく、免疫系の強化にも不可欠です。最近の研究ではこの重要性が強調されています。International Journal of Molecular Sciencesに掲載された2024年の研究では、クルクミンなどの天然化合物が腸内細菌叢と全体的な健康に与える影響を調査しました。
 
　腸の不調は、たいていの場合、身体と心の不調につながります。多くの医療従事者が見落としがちですが、不健康な消化器系を放置しておくと、感情的な健康に悪影響を与えることを決して忘れてはなりません。ウコンは、消化器系の健康を維持するための最高の天然物質の 1 つです。
 
　ターメリックは、ショウガの仲間であるウコン科植物から抽出したスパイスです。ウコンにはクルクミノイドと呼ばれる化合物が含まれており、その中で最も強力で薬効のあるのはクルクミンと呼ばれる抗酸化物質です。上記の研究では、クルクミンが腸内細菌叢と双方向の相互作用を示すことが強調されています。経口投与後の全身バイオアベイラビリティは低いものの、クルクミンは腸内で検出され、有益な効果を発揮します。研究者らは、クルクミンの低血糖特性が2 型糖尿病およびメタボリック・シンドロームの患者に見られる腸内細菌叢の異常を変化させる能力と関連していることを発見しました。重要なのは、腸内細菌叢のバランス（ユーバイオティック状態）の回復が血糖値の恒常性維持に寄与する可能性があることです。世界中で代謝性疾患の罹患率が上昇していることを考えると、この発見は特に重要です。
 
　Journal of Evidence-Based Integrative Medicineに掲載された別の研究では、プラセボを服用した被験者と比較して、ウコンのサプリメントを2か月間服用した人の腸内細菌種の数が約70％増加したことが報告されています。腸内細菌は、体内のいわゆる「忘れられた臓器」です。腸内細菌は、炎症のリスクを減らし、食べ物を分解し、免疫機能を高めます。腸内細菌が最適なパフォーマンスを発揮するには、さまざまな種類の細菌が腸内に生息する必要があります。ウコンは腸以外にも良い影響をもたらします。ウコンとその成分であるクルクミンには、次のような効果があることが科学文献で証明されています：
 
·        記憶力を向上させる
·        脳由来神経栄養因子（BDNF）を増やす
·        がん細胞の増殖を防ぐ
·        心臓の健康を守る
·        関節炎の症状を緩和する
·        うつ病を和らげる
 
●食事にターメリックを取り入れる
　カレー料理が苦手でも心配はいりません。食事にもっとターメリックを取り入れる方法はたくさんあります。以下を参考にしてください。

·     卵（固ゆで卵、卵サラダ、スクランブルエッグ）にターメリックをふ
　 りかける
·     鶏肉や魚料理にターメリックを加える
·     ターメリック・ラテ
·     ウコンベースのサプリメントの摂取を検討する
 
　クルクミンの摂取量の目安は1 日あたり 500 ～ 1,000 mg です。参考までに、粉末にしたターメリック・パウダー小さじ 1 杯には、約 200 mg のクルクミンが含まれています。さらに最近の調査結果から、クルクミンは血糖コントロールと代謝の健康にも潜在的な効果があることがわかっています。