睡眠時の脳の秘密を解明
隣の部屋からの声など、かすかな騒音が睡眠に悪影響を与えるのではないかと考えたことはないでしょうか。 Nature Neuroscienceに掲載された最近の研究によると、人は睡眠中に声に反応することが明らかになりました。今回は、この興味深い研究の詳細を掘り下げ、その発見とその意味するところを考え、睡眠の質を向上させるための貴重なヒントを紹介します。
● 寝言が聞こえる?
パリのピティエ・サルペトリエール大学病院睡眠病理科とパリ脳研究所が行った驚くべき研究で、睡眠者と話し言葉との相互作用が、これまで知られていなかった睡眠体験の一面を明らかにしました。 この発見は参加者が睡眠中に顔の筋肉を収縮させ、話し言葉に反応する様子を観察した結果、明らかになったものです。
この研究では、さまざまな睡眠障害を患っている22人とナルコレプシー(制御不能な日中の眠気を特徴とする症状)の27人が参加しました。 それぞれの参加者は、ユニークな語彙判断課題に取り組みながら仮眠を試みるよう求められました。睡眠者に本物の単語と擬似の言葉を音声ではっきりと言い、睡眠者に笑顔や渋い表情を促し、言葉の信憑性を認識させました。
● 寝ても耳は聞いている
よくある誤解は、睡眠中は特に大きな音でない限り何も聞こえないということですが、しかし、上記の研究で詳述されているように睡眠中は周囲の環境から完全に隔離されているわけではありません。
試験では睡眠ポリグラフ検査(睡眠検査)が行われ、脳の活動、眼球運動、筋肉の緊張、心臓の動きまで記録されました。 患者の大多数は、睡眠中に言語化された言葉に反応しています。 さらに、明晰夢を見ているときにも言語化された刺激に対する正しい反応が起こりやすかったのです。
科学者たちはまた、脳波や脳の電気活動の異常を検出する検査である脳波検査(EEG)を利用して、研究参加者の覚醒状態とそれぞれの睡眠状態を区別しました。 推測する人はほとんどいないと思いますが、人は睡眠中に人の声を聞くことができます。 その結果、科学界や医学界は現在、従来の「睡眠」の定義が本当に正しいのかどうかを疑問視し始めています。 さらに、学者たちは睡眠を明確な段階に分類する臨床基準も見直しています。
●寝ているときに近くの声が聞こえるという能力は、祝福なのか呪いなのか?
多くの読者は睡眠中に人の声が聞こえることは健康に悪影響を及ぼすと考えるでしょう。というのも、音は眠りを妨げ、早々に目を覚ましてしまう可能性があるからです。 しかし、寝ているときに言葉を聞いたり理解したりすることは、人間の健康に役立つ可能性があります。
睡眠中に言語化された言葉を処理する人間の脳の能力が解明されるにつれ、将来、睡眠の根底にある認知処理が新しい情報の学習などの有益な目的に利用されるようになるかもしれません。
● 騒がしい環境で安らかに眠るためのヒント
この睡眠研究から、眠ろうとするときに言葉による刺激を排除することが、質の高い休息をとるために重要であることが明らかになりました。 もしあなたが他の人と一緒に住んでいたり、隣の住人の声が聞こえるアパートに住んでいるのであれば、寝室の隅にホワイトノイズマシンを2台ほど置いて、潜在的な声をかき消すことをお薦めします。
ホワイトノイズマシンを使用しても、近くの声やその他の騒音がかすかに聞こえる場合は、完全な静寂と安らかな眠りのために耳栓などを使用することも検討してください。