小児がんと農薬

　10 年以上にわたる広範な研究により、農薬やその他の有害な化学物質と健康への悪影響との驚くべき関連性が明らかになりました。研究結果は、これらの有毒物質に接触した人が直面する長期的な影響の悲惨な姿を浮き彫りにしています。権威ある International Journal of Molecular Scienceに掲載された研究結果は、農薬への曝露に伴うリスクが子供や若者にとって深刻であるという説得力のある証拠を示唆しています。
 
●農薬が子供の健康に及ぼす憂慮すべき影響
　研究者は、農薬やその他の環境汚染物質には発がん性があり、幼少期に曝露するとその影響が強くなると報告しています。幼少期に農薬に曝露すると、小児がんを含むさまざまながんのリスクが高まります。これらの結論は、2013年から2023年の間に発表された、小児がんと環境汚染の関連性を調べた174件の研究の分析から導き出されたものです。ほとんどの研究は農薬と大気汚染の影響に焦点を当てており、小児がんとこれらの汚染物質への曝露との間に強い関係があることが明らかになっています。汚染物質への曝露は小児がんと正の相関関係があり、その割合は農薬では82%、屋外の大気汚染では79%、屋内の汚染では84%です。

　さらに、農薬と白血病の間には33%の正の相関関係があり、大気汚染と白血病の間には27%の正の相関関係があることも示されました。また、研究の半数で農薬への曝露と中枢神経系の腫瘍の発達との間に正の相関関係があることもわかっています。

●出産前後の農薬曝露は危険
　白血病のリスクが増すだけでなく、出生前や幼少期に農薬にさらされると、神経芽腫のリスクも高まります。神経芽腫は、体中の未熟な神経細胞から発生するがんの一種です。神経芽腫と診断された患者は、副腎、胸部、腹筋、首、脊椎に症状が現れます。神経芽腫は 5 歳未満の子供に最も多く見られますが、年長の子供にも発生することがあります。小児がんは子宮内発育に起因することを考えると、出生前の農薬への曝露は特に危険であると思われます。

　医療従事者は、子宮内期に遺伝子の変化が起こり、それがおそらく発がんやエピジェネティックな変化を含む他の突然変異のきっかけとなると考えています。

●農薬への曝露を減らすための対策
　たとえ小さなお子さんがおらず、妊娠を予定していない場合でも、農薬にさらされる量を減らすことが最善です。農薬処理された食品は絶対に避け、オーガニックのものを選んでください。食べる前にすべての野菜や果物を洗ってください。これは「完璧な」解決策ではありませんが、化学物質にさらされる量を減らすことができます。さらに、可能であれば、庭の周りにマリーゴールドや菊を植えたり、珪藻土を使用したりといった、毒性のない害虫駆除方法を使用して有機家庭菜園を作りましょう。