ダウ理論のトレンド分析②
前回の記事「ダウ理論のトレンド分析①」の続編です!
前回は、シンプルなジグザグ波形で「ダウトレンドの定義」を図解しました。
一方で、実際の相場はもっと複雑なジグザグをしていますよね。
今回は複雑な相場における「ダウトレンドの定義」を解説したいと思います。
なんか難しそう…
そう思った、あなた!ご安心下さい!
複雑な相場でもダウトレンドを正しくスッキリ捉えることができます。
そのポイントとなるのが「押し安値」「戻り高値」という概念です。
ダウトレンドで最も肝心な部分ですので、何度も読んで理解頂けると嬉しいです。
1. 複雑な相場で重要なこと
複雑な相場では、安値と高値の位置を特定するのが難しくなります。
そこで重要になる概念が「押し安値」と「戻り高値」です。
押し安値・戻り高値を知ることで、どんな複雑な相場でも正しくダウトレンドを捉えることができます。
1-1. 押し安値とは
「押し安値」とは上昇トレンドにおける安値の一種です。
最高値更新の起点となった最安値が「押し安値」です。
もう少し正確に定義すると、最高値を更新した際に、前回の最高値と今回の最高値の間にある最安値を「押し安値」と言います。
1-2. 戻り高値とは
戻り高値とは下降トレンドにおける高値の一種です。
最安値更新の起点となった最高値が「戻り高値」です。
もう少し正確に定義すると、最安値を更新した際に、前回の最安値と今回の最安値の間にある最高値を「戻り高値」と言います。
注意点として、
押し安値は、上昇トレンドで存在し、下降トレンドでは存在しません。
戻り高値は、下降トレンドで存在し、上昇トレンドでは存在しません。
2. 複雑な相場におけるダウトレンド
2-1. ダウトレンドの定義
前回の記事「ダウ理論のトレンド分析」では、シンプルな相場におけるダウトレンドの定義を解説しました。
しかし、複雑な相場ではダウトレンドの定義は少し異なります。
上記の定義のように、複雑な相場では、安値ではなく押し安値で上昇トレンドを判断し、高値ではなく戻り高値で下降トレンドを判断します。
ちなみにシンプルな相場では、安値と押し安値は同義です。
同様に、高値と最高値も同義で同じ位置となります。
2-2. ダウトレンドを図解
文章は分かりづらいので、押し安値・戻り高値によるダウトレンドを図解します。
■上昇ダウの場合
押し安値を割らない限り、上昇ダウ継続と判断します。
押し安値を割ったら、上昇ダウ終了と判断します。
■下降ダウの場合
戻り高値を割らない限り、下降ダウ継続と判断します。
戻り高値を割ったら、下降ダウ終了と判断します。
2-3. 押し安値・戻り高値は位置が変わる
トレンドが終了しても、その後すぐにトレンド転換するとは限らないです。
つまり、上昇ダウが終了しても、その後上昇ダウが再開し得るということです。厄介ですよね。
実は、なんと、その際に押し安値・戻り高値の位置も変わってしまうのです。
文章だと分かりづらいですよね。図解で説明します。
■上昇トレンドでは、押し安値の位置が移動する
まず、下図のように押し安値を割った時点で「上昇トレンド終了」と判断します。
続いて、下図のように再び最高値を更新した場合は「上昇トレンド再開」と判断します。
その際に押し安値の位置が移動するのです。
ちなみに、押し安値ラインは損切りラインとして機能します。
■下降トレンドでは、戻り高値の位置が移動する
まず、下図のように戻り高値を割った時点で「下降トレンド終了」と判断します。
続いて、下図のように再び最安値を更新した場合は「下降トレンド再開」と判断します。
その際に戻り高値の位置が移動するのです。
ちなみに、戻り高値ラインは損切りラインとして機能します。
このように、相場の途中で押し安値・戻り高値の位置が修正され、トレンド継続・終了を判断するためのライン(損切りライン)も移動するので、覚えておきましょう。
どうでしたか?
ダウ理論のトレンド分析は、安値・高値の単なる切り上げではなく、実はもっと複雑なんですね。
私の説明が下手な部分もありますが、何度も読んで理解して頂けると嬉しいです。