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亡き激情の影を追って【ブルームーン】


2023年12月4日、モダンに衝撃走る
豆の木を登れ激情 が急遽禁止された。

いずれもトップティア達のキーカードであり、これらの禁止によりモダン環境はまた変化の荒波に揉まれようとしている。
相手の動きに対応して勝つブルームーンも大きく影響を受けており、何よりモダホラ2以来採用しつづけていた激情の喪失は耐え難い…。
激情こんな時君がいてくれればと毎リーグ思わされる。

そんな中、1週間リストをこねくり回し新環境のモダンリーグで5-0することができた。

この記事では新環境でのブルームーンが勝てるようになるまでの調整結果や、新カードの評価をまとめていきたい。


想定される新環境

豆の木の禁止はオムナス系だけが被害を受けるわけだが、激情は汎用的な効果から多くのデッキに採用されており、その禁止は様々なデッキに影響するだろう。

おそらく最も影響を受けたのは盤面を維持しやすくなった【ヨーグモス】だろう。
以前までは激情で頭数を減らされて動きづらくなり負けることが多かったが、禁止により考慮する必要がなくなり全力展開の裏目がなくなった
同様の理由で部族やタックス系も多少は息をしやすくなったと考えられる
(レン6、オークは相変わらずきついが…)。
特に【マーフォーク】は地力が高い上に、禁止の影響を受けておらずこれから増えるであろう続唱系デッキを狩りやすく、これからの環境次第ではあるが増える可能性がある。

出るだけでアドと盤面を崩壊させる医者
ロード兼先置き打消しなので否定の力にもかからない

逆に激情を用いていた側としては、【赤黒想起】は少なからずダメージを受けたと考えられる。
激情の2回誘発は盤面でライフを詰めるデッキの全てが爆発してしまう。
何より1ターン目激情は裏目が大きいものの、全てのデッキにワンチャンもぎ取れるほどの爆発力を有しており著者も何回も泣かされた。
体感ではあるが絶対に1ターン目悲嘆より1ターン目激情で負けてる。
カスケードクラッシュ】も激情を用いていたが、最近はティシャーナの潮縛り、アノールの焔などの新カードに枠を奪われがちだったのでそこまで影響は無さそうだ。

Modern League 5-0 - 2023/12/05 プレイヤー:ARAUD_05


ブルームーン的にはなっかなかにきつい改定である。
正直考えられた中で1番きつい結果になってしまった…、素直に悲嘆を禁止にしてくれ。

ヨーグモスは不死の存在自体がURにとって素直にきつく、狼や絡み根にペチペチ殴られつづけられるだけで負けるので改定前から苦手だった。
その上激情をとりあげられたので、なんとか一矢報いていたキキジキ+激情の布陣も狙えなくなったので本当に終わってしまった🤮
元々ほぼ勝てないマッチだったマーフォーク戦もこれで取るしかなかった…のにマーフォークも増えそうでほんとうにつらい。

続唱系の台頭も辛いところである。
主な妨害手段がカウンターであるブルームーンはネゲーションを4枚搭載したコンボに対して手数で負けやすく、どこかのタイミングで通ることが多い。
【カスケードクラッシュ】なら呪文が通っても負けはしないのでまだゲームになるが、【リビングエンド】は火力で対処できない大型生物が大量に押し寄せ負けてしまう
また、リビエンは構え続けていても悲嘆とネゲーションの合わせ技ゴリ押しでぶち壊されてしまうので、がっつりした対策なしでは到底勝てない。
本当にどうして悲嘆を生かした。

悲しみ…


おまけに今まで狩っていたデッキが禁止の影響をもろに受けているのもつらい。
オムナスは豊富な干渉手段から血染めの月自体でゲームが終わるわけではないものの、ビッグアクションが多くカウンターが当てやすいので安定して勝てていた。

赤黒想起に対しても26勝11敗の勝率7割と高い値を取っていた。
もちろん赤黒想起を意識していた構築であったという点も大きいが、不死スペルや除去など状況によって腐るスペルが多くつまずくと結構な時間を稼げる。寓話にカウンターを当てることができればなおさらだ。
また、除去をケアして不死スペルを構えるために1ターン待つ or 打消しを構えられると不死スペルが腐るのでテンポよく展開する など裏目のある駆け引きを迫ることができる。まあこれも1ターン目に悲嘆が通ってしまうと元も子もないが…。
いずれにせよ長期戦になった場合には瞬唱とアノール、反復などアドバンテージを取る力に関してはこちらに分がある

vs想起はぎりぎりなことが多くて楽しい

これらの勝てていたデッキの数が減るのでこれからのブルームーンはまた大きな修正が必要だろう。


※ちんたら記事を書いてる間に環境の解析が進み、黒赤想起は全然健在だったことが発覚しました!やったね!
結局激情なくても理不尽だったところは変わらないしそら強いよね…

試した激情(仮)達

激情を失ってからというものの、自分は推しバンドが解散してしまった際に似た曲を漁りまくるがごとく、激情の代用を探し続けていた。
その中で、改めて自分が激情のどこを推していたのかを思い知らされた。

自分が激情に求めていたもの、
それは、出た時に盤面を返しつつ残っていればそのままゲームを有利に進めてくれる という点だ。
ブルームーンではピッチでできるだけ撃ちたくなく、除去されてもアドバンテージが得られるようハードキャストで出すことが多かった。
このような激情ポイントをもつカードたちをいくつか試してみた。

①イゼット副長、ラル

愛してる

ブルームーンが使える最も強いPWだと自負している。
+1は素直なアドを取る能力。ブルームーンが昔から使うPWとして神ジェイスが競合にあげられるが、ジェイスの0は血染めの月下でフェッチが切れない状態においてうまく使えないという欠点がある。ラルは2枚の内1枚を手札に加えるので、どのような状況でも質の高い手札をもたらしてくれる。
また、オークが蔓延っている現モダンではドローでないという点も評価できる。

本命は-3であり、墓地、追放領域のインスタント、ソーサリーの数分生物にダメージを飛ばすことができる。このデッキではおおよそ確定除去だ。
激情と同じ5マナ域で、-3から入ると盤面を処理しながら忠誠度が2残ったPWが残る。カードを使って対処すれば1:2交換、残ればフィニッシャーと非常に激情ポイントが高い
…本当はこのカードについてもっと語りたいが大筋からズレるのでこの記事ではここまでにとどめておく。
もともとサイドに採用していたがメインへ繰り上げることに。

1.0激情

②業火のタイタン

イケメンイラスト版

老舗の味、古代兵器、バトルシップのミズーリ。
能力は最も激情に近く、出た段階で小粒を焼き払ってくれる。また、6マナだけあってスタッツも申し分なく、激情より定着しやすい上に攻撃時にも誘発する。
何よりもラルと違い生物なので寓話でコピーできるのが大きな利点だ。
コピーを作り速攻で殴ると気持ちよすぎる。
ただし、6マナはギリギリ伸びるか怪しいマナ域なのでサイドに1枚採用とした。

0.4激情

③火炎舌の一年仔

時代を築いたカードの子供だが…

同じ出た時に盤面に触れるという生物という点で試してみた。
一年仔の最も優れた点は取り回しのしやすさで、2ターン目に唱えてラガバンを焼きながら生物を立たせたり、後半ではフィニッシャーレベルのサイズになることができる。
何よりブルームーンはパーミッションなのでカウンターを構えながら展開できるという点は評価に値する。

…褒めるのはここまでだ。使ってみて悪かった点を挙げると…
理論上2ターン目に出すことはできるが、血染めの月を用いるデッキの2ターン目赤赤はマナベースが厳しすぎて非現実的
また、4マナ6マナで出すには飛ばす点数もスタッツも低く、流石にカードパワーが足りない。の割に2マナで出すとタフ1なので片手間に処理される。

誠に残念ではございますが、今回はご期待に添いかねる結果となりました。
末筆になりますが、火炎舌の一年仔様の今後の活躍をお祈り申し上げます。
0.2激情

調整後リスト

このような激しい選抜があった後、仕上がったのが以下のリストだ。

Modern League 5-0 - 2023/12/12 プレイヤー:Goerajaponica

例のごとく、ブルームーン自体の基本的な情報や寓話型の考え方などは過去の記事に書いてあるので気になる方は読んでいただけると幸いだ。
ここでは新たに調整した箇所を重点的にみていこうと思う。

続唱対策

今回の調整で最も力を入れたのは、続唱デッキへのサイドだ。
以前までこのデッキはX=0でしか置けないため、虚空の杯を渋っていたがついに採用に至った。理由としては先述した通り、悲嘆やネゲーションがある限りカウンターを構え続けるのは厳しく置物系での妨害も欲しいこと、かつ両アーキタイプを見れることになる。
使っていて実感させられるが、0マナというのが本当に偉く、カウンターを構えながら通せたり、チャリスがある安心感からクロックを展開でき唯一無二の存在だ。

昨日の敵は今日の友

以前までは、クロックを設置するためのマナを寝かせた瞬間に動かれていたのでクロパすることができなかった…。だが、今は違う…!
もちろんチャリスは魂力などでいつかは壊されてしまうが、クロックを置く暇をくれることで相手に有効期限を作り、カウンターを有効に使うことができる
特にマナベースがきつい + 通りの悪霊を採用しているリビエンはライフに余裕がなく、クロパプランを遂行することで稲妻を強く使うことができる。

才能の試験はほぼ専用サイド(バーンや独創力にいれるくらい)だが、その分強烈で一度見てしまうだけでもエンドに突発、返しに工作員のような安易な攻めをためらわせる
また、続唱だけをみるなら狼狽の嵐も2枚欲しいが、指輪デッキやPWなどにも当てれる広いカウンターが欲しいと感じたのでネゲ―ションと散らしている。

正直オーバーボードのような気もしないでもないが、改定後のモダンは続唱用の専用ボードに4枚割く程の価値はあると考えている。

ヨーグモス対策

増加すると思われるヨーグモスにも対策を厚くしている。
5枚目の1マナ除去の枠を汎用的な邪悪な熱気でなく、塔の点火にしている。
追放のおかげで不死を後腐れなく処理することができたり、不死スペルを気にせず除去、接合を誘発させない などなど燻し銀な活躍をしてくれる。

1マナカウンターのバリエーションもヨーグモスを意識している。
呪文嵌めはオークはもちろんのことながら、ヨーグモスの第二の心臓ともいえるアガサの魂の大釜を1マナで打ち消してくれる。
いまさら言及する必要がないほど強力なアーティファクトであるが、このデッキは瞬唱を多用するため純粋な墓地対策としても厄介極まりない。

ルールも効果も厄介

また、対ヨーグモス決戦兵器厳しい説教もメインとサイドに1枚ずつ採用している。ほぼすべての生物を1マナで消せるのは便利で、特にグリストを1マナで咎めれるのがうれしすぎる。
これらのカウンターは続唱系には刺さらないので、サイドから続唱対策へと変えられる。どうせリビエンにメイン取れることは少ないのだから、サイド後2本とると割り切った。
最後に専用ボードとして呪われたトーテム像を採用した。
これらのヨーグモス対策は最近数を増やしている鱗親和に対しても有効な為、ここまでの枚数をとることに納得している。

ティシャーナの潮縛り

紙初動で4枚行きました、MOでは買い損ねました…

最後に新カード、ティシャーナの潮縛りについてだ。
ブルームーン的に、瞬速のウィザードかつ能力が優秀な時点で偉いと思ったが、使っているうちになかなか難しいカードという所感を持った。
というのも、このデッキが使うと相手のケア度によって性能が大きく変わってくるのだ。

もみ消しが最も輝くのはフェッチの起動に当てた時だと考えられるが、そんなことは相手も承知なので青が入っているデッキでは3ターン目までにフェッチを切ったり、メインに切らずこちらのエンドに切ったりする。
これがとにかくやりづらく、こちらのエンドのフェッチをもみ消しても3マナ寝た状態で相手にターンを渡すことになってしまう
後出しの対応力が高かったり、押しつけが強いデッキであれば問題ないだろうが、ブルームーンのようなパーミッションには一度通してしまうとゲームエンド級のカードが多すぎてそのようなプレイは行いづらい。
特にカスケードクラッシュに4枚採用されだしてからは皆のケアが行き届いている。あのデッキ一番潮縛りを上手く使えていると感じる。

もちろん後出しでPWや指輪の能力を封じれるのは優秀だが、
そもそもそんなビッグアクションを通さないというのがパーミッションデッキのあり方だったはずだ。誘発をもみ消すにしても、カウンターで元を消してやった方が良い。
といいつつもオークで落ちない優秀なウィザードという時点で価値は高いので、自分のデッキでは1~2枚採用する形式に落ち着きそうだ。

終わりに

ここまで読んでいただきありがとうございます。
記事をちんたら書いていたら年が明けてしまいました…。今年もMTGを楽しんでいく所存ですのでよろしくお願いします!
この後も再び調整した後、5-0を達成できており悪くない調整結果だったと感じています。

この記事がブルームーンフリークに届き、何かの参考になれば幸いです。
ご意見、ご質問なども受け付けておりますのでお気軽にTwitterで話しかけてください!

それでは楽しいモダン生活を!

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