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[日刊]碧桂園はギリギリでデフォルト回避、日経平均は33,000円突破も長期金利は10年ぶり高水準

日経平均が7日続伸し、約1ヶ月ぶりに33,000円台を回復した。

8月の頭から米国債を中心とした長期金利上昇を受けて、株は全面安の流れだったが8月下旬からはジャクソンホール会議を前にして回復基調に。その後は無難に経済イベントをこなし、気づけば日経平均は33,000円を突破している。

元より日本企業の業績自体は良好だったため、市場のセンチメントが上向けば買われやすい状況だったということだろう。

今後、34,000円台へ突入するまで上昇が続くか否かは昨日も書いたように、米国長期金利の動向や中国不動産関連の終着点に左右されそうだ。

下記、本日のニュースや所感。


米国

ゴールドマン・サックスが米国のリセッション確率を従来予想の20%から15%に引き下げた。

すでにFRBやバンク・オブ・アメリカ、JPモルガンはリセッション予想を撤回しているが、ゴールドマン・サックスはまだリセッションの可能性を残しながらも、米国経済の底堅さを評価している形だ。

ゴールドマン、米リセッション確率15%に引き下げ-インフレ改善で

この楽観的なムードは米株式市場にも現れていて、JPモルガンのストラテジスト、マティカ氏など一部の有識者達が懸念を示している。

恐怖指数とも呼ばれるVIX*は低水準で推移しており、投資家は利上げ停止、インフレ率低下(そして2%付近で安定)、ソフトランディング、向こう数年で利下げ開始、といった米経済に理想的な形で全てが上手くいくことを織り込んで投資をしている。

*投資家が株式市場の先行きに不安を感じている=恐怖を感じている

反対に言えば、上記のように織り込まれている何かが剥落すれば、たちまち株式が売られる可能性があるということだ。

もちろん、本当にキレイにこのままソフトランディングを達成し、後から振り返れば昨年の株式相場が底となる可能性もあるだけに、ここへ賭けないこともリスクかもしれないのだが、個人的にはやはり米国の長期金利の上昇余地への懸念、少なくとも下がらないという思惑がちらつく。

ひとまずは先週末の雇用統計を終え、週明けの昨日が休場だったため、今夜の米株式市場がまずはどのような雰囲気で再開されるかと見ておこう。

日本

日経平均が33,000円台を回復したが、10年債の最高落札利回りが0.668%と約10年ぶりの高水準となった。

YCC柔軟化後から、0.6%、0.65%で臨時オペが入っていたが、直近では臨時オペは入れられずに0.7%を目指すことになるというのは先日書いた通りだ。

原油を中心としたコモディティの上昇で、ドイツ債など欧州市場で長期金利が上昇したことも影響した模様。

ここ2週間は一時的に金利上昇圧力が和らいではいたが、基本的には0.7%、0.75%と目標を刻みながら上昇が続いていくことだろう。

ただ、それによって株式市場へ大きく影響があるかと言えば、あまり無さそうにも思える。すでに織り込み済みの部分もあるし、1%まで到達するには時間がかかる。

むしろ、YCC柔軟化後に長期金利が上昇したが金利が見通しやすくなったことで社債市場が安定していることはプラスかもしれない。

為替

記事執筆時点でドル円は147円を突破して円安方向へ動いている。

大きな材料はなかったが、総務省が発表した7月の家計調査で消費支出が前年同月比-5.0%と消費が弱い結果から、基調的なインフレ率が日銀の言う通り2%に達しておらず、ゼロ金利政策の長期化が一段と織り込まれたのかもしれない。

米長期金利も日本と同様に原油高などを受けて上昇していることも一因だろう。

ただ、こちらも先ほど紹介した記事の通り、大きなサプライズがなければ150円までは既定路線と言えそうだ。

また、主要な金融機関が今後のドル円レートの予想を円安ドル高方向へ修正しており、各社の見方も参考にしたいところだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB033NQ0T00C23A9000000/

中国

米雇用統計を終えて、最も気になっている問題といっても過言ではない中国の不動産問題に進展があった。

デフォルトが懸念されていた碧桂園(カントリーガーデン)がドル建て社債2本の利払いを実施してデフォルトをギリギリで回避したとのことだ。

中国の碧桂園、土壇場でデフォルト回避-ドル建て債利払い実施

それでもまだ大量に負債を抱えているので、安心はできないが、ひとまず直近の課題はひとつクリアしたと一息つく展開となりそうだ。

中国政府もこの所毎日のように支援策を発表しており、特に先週発表された住宅ローン規制緩和は市場から好感されている。

中国・香港株上昇、H株指数が急反発-追加支援策で不動産銘柄高い

コモディティ

ここ1,2ヶ月で話題に困らないコモディティも価格上昇の懸念が高まっている。

サウジアラビアの減産延長に加えて、意外にも中国での石油需要が後退しないのではないかという記事もあった。

石油業界の幹部、中国需要に驚くほど楽観的-アジア太平洋石油会議

たしかに不動産市場はとんでもないことになっているが、経済のその他の部分はそうではないことから、中国需要は楽観的らしい。

また、世界で高いシェアを占めるウクライナ産の穀物輸出に関して、ロシアは黒海経由での輸出合意復活を見送った。

ロシア・トルコ首脳会談、ウクライナ産穀物の輸出合意復活に進展なし

オーストラリアの液化天然ガス(LNG)従業員のストライキは14日から2週間に渡って24時間ストライキを実施すると警告があった。問題が解決されなければ、世界でトップのシェアを誇るオーストラリアのガス輸出に大きな影響が出るため、ガス価格高騰が懸念される。

ニュース一覧

■米国

米株式市場に「自己満足感」、JPモルガンのマティカ氏が懸念

「センチメントに自己満足感が見られ、ボラティリティー指数(VIX)は記録的な低水準に近い」
MSCI・USA・インデックスの12カ月先の業績予想に基づく株価収益率(PER)は19倍。

ゴールドマン、米リセッション確率15%に引き下げ-インフレ改善で

ゴールドマン・サックス・グループは、米国がリセッション(景気後退)に陥る確率を15%とし、従来予想の20%から引き下げた。インフレ鈍化や労働市場が依然強靱(きょうじん)であることは、米金融当局がこれ以上利上げする必要がない可能性を示唆していると指摘した。

■日本

日銀、インフレ見通せれば25年にYCC撤廃へ-クレディ・アグリコル

日本銀行は2026年度と27年度のインフレ率が2%以上となるのが見通せれば、25年にイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を撤廃して、26年のどこかの時点でマイナス金利政策から転換するだろうとの見解をクレディ・アグリコルのマクロストラテジストが示した。

概算要求は114兆円と過去最大、防衛費や国債費が増加-24年度

2024年度予算の概算要求は一般会計で114兆3852億円と過去最大となった。防衛費や国債費が増えた。現段階で金額を示さない「事項要求」もあり、今後の予算編成課程で総額がさらに膨らむ公算が大きい。財務省が5日に公表した。

国内卸売業が2年連続増収 22年度、物流費高騰には懸念

卸売業の売上高が回復している。日本経済新聞社がまとめた2022年度の卸売業調査で全業種の22年度売上高は前の年度に比べて4.7%増と2年連続で前年実績を上回った。
22年度の卸売業全体の売上高(21年度と比較可能な415社)は前の年度比4.7%増の32兆3975億円だった。営業利益(同230社)は30.4%増で、2年連続の増益となった。

日経平均3万3000円 広がる裾野、3社に1社高値更新

連騰のきっかけは米金利上昇への過度な懸念が和らいだことだ。米長期金利は8月後半に付けた4.3%台をピークに低下傾向にあり、世界で株式の買い安心感につながっている。「日本株が短期的に上昇トレンドに入ったとみて、CTAなどの短期筋が持ち高を増やしている」(シティグループ証券の武田理奈エクイティ営業共同部長)という。

7月消費支出5.0%減 5カ月連続マイナス、食料落ち込み

総務省が5日発表した7月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は28万1736円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.0%減少した。マイナスは5カ月連続となる。食料など生活関連や自動車購入の支出が減り、消費を押し下げた。
QUICKがまとめた市場予測の中央値は2.5%減だった。前月の6月は4.2%減で、減少幅は拡大した。

■債券

10年国債入札に警戒感、政策修正懸念で需要読めず-不調連鎖のリスク

債券市場で5日に行われる10年国債入札に対する警戒感が出ている。日本銀行による政策修正への懸念がくすぶる中、投資家の需要が集まらない不調な入札が続いており、今回も入札後に幅広い年限で国債利回りが上昇するリスクが高い。

債券は下落か、英独の長期金利上昇-10年債入札は利回り次第で低調に

5日の債券相場は下落が予想される。中央銀行の高金利政策が続くとの見方から英独の長期金利が上昇した流れを引き継ぐ。同日行われる10年国債入札は利回り次第で低調な結果になるとの見方も出ている。

ブラックマンデー再来に備えよ、一段の米金利高なら債券投げ売り、株も暴落へ

株価の先行きを占うのは米国のインフレ率よりも債券市場の需給悪化の影響だ

債券11時 長期金利、0.655%に上昇 入札への警戒感も

午前の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.015%高い0.655%まで上昇した。最近の原油高などを背景に前日の欧州市場でドイツなど主要国の長期金利が軒並み上昇し、国内債に売りが波及した。

10年債、最高落札利回り0.668% 9年8カ月ぶり高水準

財務省が5日実施した10年物国債入札で、最高落札利回りは0.668%と2014年1月以来9年8カ月ぶりの高水準となった。日銀が7月末の金融政策決定会合で長期金利の変動許容幅の上限を事実上1%に引き上げ、流通市場の10年債利回りが大きく切り上がったことを反映した。

■為替

ドル・円は146円台半ば、欧州主導の金利上昇圧力で円が軟調

5日朝の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=146円台半ばで推移。4日の海外時間は中国当局による不動産刺激策への期待が投資家心理を改善させたほか、欧州主要国の金利上昇が円の押し下げ圧力となった。

為替見通し、「円安進行」へ修正相次ぐ 半年後155円も

■中国

中国はデフレなのか 迫る日本のいつか来た道

不動産危機にもかかわらず、中国経済の重要なバロメーターは高値を維持

鉄鉱石の価格は、中国の不動産市場で繰り広げられている混乱にもかかわらず、2023年の大半は高値を維持している。ブルームバーグのデータによると、中国最大の不動産デベロッパーのいくつかは、このセクターに対する消費者の信頼が揺らいでいるため、崩壊寸前だ。しかし、建設と製造に不可欠な材料である鉄は、最近4週間ぶりの高値まで上昇し、価格は2023年のほとんどの期間、1トン当たり100ドル以上で推移している。

中国の債務危機、「生き残り組」の民間不動産開発業者にも波及か

ブルームバーグが集計した9月1日時点のデータによると、ドル建て債発行額で上位50社の民間開発業者のうち、34社が既にオフショア債務の支払いを延滞。碧桂園など残りの16社は、9月にオンショアとオフショア債の元利計14億8000万ドル(約2200億円)の支払いに直面している。同月の支払額は月間では来年1月までで最も多い。

中国の碧桂園、土壇場でデフォルト回避-ドル建て債利払い実施

中国不動産開発大手の碧桂園が、ドル建て社債2本の利払いを猶予期間内に実施したと債権者に通知した。非公開情報だとして匿名を条件に同社債保有者が明らかにした。同社にとって初のデフォルト(債務不履行)は回避された。

■コモディティ

エネルギー不足で脱原発を後悔するドイツ人とウラン価格の推移予想

ロシア・トルコ首脳会談、ウクライナ産穀物の輸出合意復活に進展なし

ロシアのプーチン大統領は4日、自国の農産物輸出に対する障害が取り除かれない限り、黒海経由でのウクライナ産穀物輸出を可能にする合意を復活させるつもりはないと述べた。
一方で両首脳は、トルコ経由で100万トンのロシア産穀物を、食品価格上昇を懸念するアフリカ諸国に送る計画を確認した。

石油業界の幹部、中国需要に驚くほど楽観的-アジア太平洋石油会議

トラフィグラの石油トレーディング部門の共同責任者、ベン・ルコック氏は「中国で起きていることには良いことも多くある」と指摘。「中国需要について言えば、不動産市場は悪い状態だが、経済の他の部分はそうではない」と述べた。

シェブロンの豪LNG従業員、全面的なスト計画-14日から

米シェブロンのオーストラリアの液化天然ガス(LNG)生産に携わる労働者は主要な輸出用プラント2カ所で今月半ばから2週間にわたって24時間ストライキを実施すると警告した。スト決行なら全世界の天然ガス供給を脅かす労働争議がエスカレートすることになる。

■その他

中国経済、米国抜くのは40年代半ば以降-その後再び後れを取る公算

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、中国の国内総生産(GDP)が米国を上回るのが2040年代半ば以降になると予測。その場合も「僅差」に過ぎず、その後再び後れを取ると見込む。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の段階では、30年代初めにもポールポジションを獲得し、維持すると予想していた。

ECBは今後数カ月にコアインフレが鈍化すると予想-レーン理事

ECBは保有債券の売却加速も-利上げほぼ終了でも実質金利上がらず

外国ファンド、年初来でインド株2兆円超買い越し-記録的売りを一転

中国に代わる投資先としてインドの魅力が高まる中、外国ファンドが昨年の記録的なインド株売り越しを一転させており、同国株式市場の時価総額は過去最高を更新した。

バリュー株にインフレ定着の追い風(窪田真之)

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