「夜香蘭(ヒヤシンス)」とコロナ禍のこと/詩と朗読 poetry night 第73夜
🌿詩と朗読 poetry night 第73夜は「夜香蘭(ヒヤシンス)」とコロナ禍のこと。
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。
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「夜香蘭」(ヒヤシンス)
不意に
甘い香りに包まれた
部屋の中で水栽培している
ヒヤシンスが咲いたのだ
無数の美しい根っこに支えられ
ぐんぐん伸びた茎
六芒星に似たピンクの花
ぼんやりしていた気持ちの境目が
くっきりするような
鮮やかな芳香
禍(わざわい)からのダメージを恐れ
ことさら曖昧に暮らしていた
楽しいことも
感動も遠ざけ
何も選ばず
何も考えないようにして
ヒヤシンスの
はっきりとした意思
人の都合で変わる正しさも
人の数だけある真実も
窮屈なだけ
たとえこれから
あなたと道を別つことになっても
運命を我が手に握りたいのなら
遊ぶように咲いて
無分別に香ることだ
※夜香蘭…ヒヤシンスの別名
※遊び、無分別…ヒヤシンスの花言葉