【WARもUZRも出てこない!】2024年の戸田ヤクルトスワローズをチーム成績や個人成績からざっくり振り返ってみる
こんにちは。中藤練です。
9月29日、1軍に先駆けてファームの全日程が終了しました。
東京ヤクルトスワローズの2軍(以後「戸田ヤクルトスワローズ」と表現)は、イースタンリーグで59勝59敗7引き分けの5位という結果でした。
優勝したDeNAベイスターズとの差は10.5ゲーム差、Aクラスの4位日本ハムとは3.5ゲーム差と、上位チームとは少し差がついてしまっています。
ただ、2023年の戸田ヤクルトスワローズは45勝73敗、勝率.381とかなり厳しいシーズンを送っていた訳で、それから1年でシーズン勝率5割を達成したことは、去年から今年にかけてスワローズの若手選手たちが全体的にレベルアップしたことを感じさせてくれます。
本記事はチーム成績や個人成績から、2024年の戸田ヤクルトスワローズがどういうチームだったのか、誰がどんな風に活躍したのか、私の考えをまとめたものです。
各選手についてセイバーなどの指標を使った詳細で正確なシーズン振り返りnoteは あもうさん(https://x.com/swapen_yasuda) が投稿してくれると思うので、この記事は私の主観を多分に含んだものとして、肩ひじ張らずにリラックスして、読んでいただけますと幸いです。
※記事内にて選手への敬称は省略させていただいております。悪しからず。
まず、チーム成績から「2024年の戸田ヤクルトスワローズとはどういうチームだったのか」を見ていきましょう。
チーム成績
打撃成績
イースタンリーグの各球団のチーム打撃成績は以下の通りとなっています。
各球団の打撃成績を比較してみると、今年のイースタンリーグを制覇したDeNAベイスターズが、とにかく打ちまくったということがわかっていただけると思います。
前半戦は梶原や井上、後半戦は梶原が1軍にいったものの度会が2軍に顔を出し始めて打線の中軸に座り、シーズン通じて切れ目のない攻撃をしてくる、優勝にふさわしいチームだったといえます。特に後半戦、度会・フォード・井上が続く打線は非常に強力で、2軍の投手にとってのとても良い力試しの場となっていました。
戸田ヤクルトスワローズのチーム打撃成績に目を向けると、打率は日本ハムと並んでリーグ5位タイ(下から3番目)、得点はリーグ6位(下から3番目)、ホームラン数もリーグ6位(下から3番目)と、今年は低調な出来だったといえます。
低調な出来だった要因として、
・主軸としての役割が期待されていた濱田や太田賢吾といった選手の不振が長引いた
・前半戦の大部分、澤井や北村恵吾といった打撃に特長のある選手を欠いた状態での戦いを余儀なくされた
・シーズン中も怪我人が続出し、2軍で調子のよかった選手がすぐに1軍に取られていくサイクルができてしまっていた
などが考えられます。
戸田の月別のチーム打撃成績を見ていくと以下の通りになります。
3月:11試合 平均打率.290 ホームラン 2本 44打点 平均OPS.718
4月:19試合 平均打率.256 ホームラン 7本 58打点 平均OPS.672
5月:21試合 平均打率.210 ホームラン 5本 54打点 平均OPS.563
6月:21試合 平均打率.261 ホームラン 4本 72打点 平均OPS.669
7月:13試合 平均打率.228 ホームラン 5本 32打点 平均OPS.610
8月:21試合 平均打率.232 ホームラン11本 63打点 平均OPS.642
9月:20試合 平均打率.255 ホームラン12本 80打点 平均OPS.684
※間違っているかも…。間違っていたらごめんなさい。
※大体は合っているはず。
※参考ページ:http://blog.livedoor.jp/nagi16/search?q=%BA%A3%B7%EE%A4%CE%A5%E4%A5%AF%A5%EB%A5%C8
…8月あたりからやけにホームランが出るようになっているんですが、ボールでも変わりました?
こうして月別で比較すると5月が特に悪くて、6月は打撃成績の良化が見られますが月末には畠山コーチの退団騒動があり、それが影響したのか7月と8月は平均打率が.250もいきませんでした。
ただ、9月になって打線が活気を取り戻し、年間で最もホームランが飛び出すようになった&年間で最も点が入ったことは来季に向けての好材料になると思います。
これまで見てきた通り、戸田の打撃成績は3月4月といったシーズン序盤と、2軍のメンバーが固まってきた6月、そして最終盤の9月以外は低空飛行が続きました。
長岡、内山壮真、丸山和郁、澤井、橋本など、25歳以下で既に1.5軍クラス(長岡はもう完全に1軍クラスですが)はありそうな有望な若手選手たちがいるので、来年や再来年でいきなり今年の西武ライオンズ並みに打線が沈んでしまうことはないと思いますが、いま名前を挙げた選手が来年1軍のスタメン争いに絡むようになると、必然的に戸田の野手陣は若手選手の突き上げを食らった中堅所が増え、2軍が若手の育成の場でなく中堅選手の調整の場になり、次世代の育成が進まなくなってしまう危惧もあります。
野手陣については、25歳前後の若手選手の育成がうまく進んでいる今だからこそ、血の入れ替えを始める頃なのかもしれません。
投手成績
イースタンリーグの各球団のチーム投手成績は以下の通りとなっています。
今年のイースタンリーグで最も優秀な投手陣を持っていたのは読売ジャイアンツでした。
チーム防御率2.75もさることながら特筆したいのは三振数で、三振数1038は2位のDeNAベイスターズよりも100個以上多い数字となります。ここまで三振数を激増させた読売ジャイアンツの2軍の投手コーチの手腕、そしてその投手コーチの指導に応えた選手たちは見事としか言いようがありません。
翻って戸田ヤクルトスワローズの投手陣の成績なのですが、防御率はリーグ6位(下から3番目)、失点数はリーグ7位(下から2番目)、奪三振数もリーグ7位(下から2番目)と、実は投手成績もそこまでよくはありません。
月別のチーム投手成績を見ていきましょう。
3月:11試合 投球回数 100回 平均防御率 2.88 平均奪三振率 6.57
先発-投球回数 65 2/3回 平均防御率 2.74 平均奪三振率 5.76
救援-投球回数 34 1/3回 平均防御率 3.15 平均奪三振率 8.13
4月:19試合 投球回数 169回 平均防御率 3.78 平均奪三振率 6.12
先発-投球回数 122 1/3回 平均防御率 3.83 平均奪三振率 5.81
救援-投球回数 46 2/3回 平均防御率 3.66 平均奪三振率 6.94
5月:21試合 投球回数 174 2/3回 平均防御率 3.19 平均奪三振率 5.51
先発-投球回数 110 1/3回 平均防御率 3.19 平均奪三振率 5.30
救援-投球回数 64 1/3回 平均防御率 3.18 平均奪三振率 5.88
6月:21試合 投球回数 190回 平均防御率 2.94 平均奪三振率 6.02
先発-投球回数 87 1/3回 平均防御率 4.12 平均奪三振率 5.26
救援-投球回数 102 2/3回 平均防御率 1.93 平均奪三振率 6.66
7月:13試合 投球回数 114回 平均防御率 2.88 平均奪三振率 7.28
先発-投球回数 58 1/3回 平均防御率 3.98 平均奪三振率 6.52
救援-投球回数 55 2/3回 平均防御率 2.26 平均奪三振率 8.25
8月:21試合 投球回数 185 2/3回 平均防御率 4.70 平均奪三振率 5.87
先発-投球回数 112 1/3回 平均防御率 4.73 平均奪三振率 5.13
救援-投球回数 73 1/3回 平均防御率 4.66 平均奪三振率 7.00
9月:20試合 投球回数 180回 平均防御率 3.23 平均奪三振率 6.56
先発-投球回数 113 1/3回 平均防御率 3.86 平均奪三振率 5.20
救援-投球回数 66 2/3回 平均防御率 2.16 平均奪三振率 8.91
※間違っているかも…。間違っていたらごめんなさい。
※大体は合っているはず。
※参考ページ:http://blog.livedoor.jp/nagi16/search?q=%BA%A3%B7%EE%A4%CE%A5%E4%A5%AF%A5%EB%A5%C8
6月、7月と戸田の先発と救援のイニング数がほぼ同じになり、8月に大崩壊を迎えているのが特徴的です。ただ、今シーズン夏場に一気に成績を悪化させたのは2軍だけでなく、1軍の月別投手成績を見ても7月と8月が特に防御率が悪いので(1軍の7月のチーム防御率が4.13、8月のチーム防御率が5.05)、球団全体で夏場の調整に課題があったと思われます。
ただ、その一方で、今年の戸田ヤクルトスワローズの投手陣の成長が感じられるデータもあります。
今年の戸田ヤクルトスワローズで防御率3.00以下だった投手を数えると18人いるのですが、その投手たちの投球回数を合計すると今シーズンのスワローズの投球回数の内の約50%ほど(48.03%)を占めています。また、その選手たちだけの防御率を算出すると2.04となり、実は戸田ヤクルトスワローズに「安定した投手陣」が存在していたことが見えてくるのです。
こうした「安定した投手陣」の存在はチーム投手成績の中でリーグ上位となっている項目からも垣間見ることができていて、完封勝ち数はリーグ3位タイ、無四球試合数はリーグ2位タイの数字を残しています。
良い結果を残しているとは決していえないチーム投手成績の裏に隠れている「安定した投手陣」の存在こそ、今シーズン戸田ヤクルトスワローズがシーズンを勝率5割で終えることができた大きな要因といえるでしょう。
個人成績
打率
戸田ヤクルトスワローズの規定打席を超えた選手の打率ランキングは以下の通りです。
1. 橋本星哉 .261
2. 小森航大郎 .252
3. 西村瑠伊斗 .226
4. 伊藤琉偉 .221
※参考URL:https://www.yakult-swallows.co.jp/farm/players/stats/batter
※イースタンリーグの首位打者はオイシックス新潟アルビレックスB.C.の知念選手で、打率.323でした
今シーズン、戸田ヤクルトスワローズの中で規定打席を超えた選手は以上の4名です。
春から熱く夏は灼熱になる戸田をホームにして、何より怪我人が続出するチームに所属していて、規定打席に到達するというのは偉業というほかありません!
特に橋本星哉は、春季キャンプのスタートを浦添で迎えましたが、怪我により途中で西都に合流という悔しい出来事から始まるシーズンとなりました。それでもイースタンリーグは開幕から試合に出て、捕手という大変過酷なポジションにも関わらず、結局大きな離脱を一度もすることなくシーズンを走り切ってくれました。
もちろん今シーズンの橋本は「頑丈さ」だけでなく、打率・ホームラン・打点の三部門でチーム内トップの成績を残し、2024年の戸田ヤクルトスワローズのチーム内三冠王を獲得、盗塁も8つ決めており、とにかくオフェンス面でチームに多大な貢献をしてくれています。
守備面でも9月には8連続盗塁阻止など、盗塁阻止能力の成長を感じさせてくれる場面があり、とにかく橋本にとって今シーズンはすべての面で大きな成長を遂げた年となったといっていいでしょう。
一方でまだまだ課題が残っている面もあります。失策数6は捕手の中でリーグワーストで、ブロッキングについてもまだまだ向上の余地があるのかなといったところです。
また、好不調の波が激しいことも特徴のひとつで、3月は月間打率.387(31-12)で好調な出だしを切ったのですが、4月は月間打率.250(52-13)、5月は月間打率.200(40-8)と不調状態になり、かと思いきや8月は月間打率.303(66-20)、ホームラン4本、14打点と大爆発しています。
このあたりの好不調の波がなくなれば、1軍でのチャンスを更に得やすくなることでしょう。
(橋本は不調になると上半身だけでバットを振るような形になりやすく、「上半身と下半身が連動したバッティングが理想」と公言していた青木宣親に師事すればそのあたりの課題も解決するのかもなんて妄想しています)
個人的には、橋本の非凡な打撃センスを生かすためには外野挑戦を本格化させてもいいのではないかなと思っています。実際、フレッシュオールスターではセンターを守り、そのあと戸田の試合でもセンターを守ることがあったので、戸田の首脳陣もその選択肢を捨てていないように見えます。
来年橋本がどのような起用になるのか、注目です。
ホームラン・打点
ホームランと打点については記録している選手が多いため、上位勢のみの紹介とさせてください。
〇 ホームラン
1. 橋本星哉 7本
1. 澤井廉 7本
3. 濱田太貴 4本
4. 太田賢吾 3本
4. 丸山和郁 3本
4. 赤羽由紘 3本
※参考URL:https://www.yakult-swallows.co.jp/farm/players/stats/batter
※イースタンリーグのホームラン王は千葉ロッテマリーンズの山本大斗で、19本でした。
〇 打点
1. 橋本星哉 42打点
2. 太田賢吾 36打点
3. 濱田太貴 35打点
4. 澤井廉 34打点
5. 西村瑠伊斗 26打点
※参考URL:https://www.yakult-swallows.co.jp/farm/players/stats/batter
※イースタンリーグの打点王は千葉ロッテマリーンズの山本大斗で、66打点でした。
前述した通り、ホームラン、打点ともに橋本星哉がチーム内トップで、今年の戸田ヤクルトスワローズのチーム内三冠王に輝いています。
その橋本とチーム内ホームラン王を分け合ったのは、昨年イースタンリーグのホームラン王に輝いた澤井でした。
ホームランを1本打つまでに何打数必要なのかの計算をしてみると、橋本が約47打数に1本なのに対して、澤井が約25打数に1本と、澤井が橋本のおおよそ倍のペースでホームランを打っていました。
特に澤井は9月の追い上げが見事で、9月は41打数で3本のホームランを放っており、これは約14打数に1本というペースになります。
現在セリーグでホームラン王の村上がシーズンを通じての試算だと約15打数に1本ホームランを打っているペースなので、9月の澤井がいかにハイペースでホームランを打っていたのか、かっていただけるのではないでしょうか。
また、澤井の月別の成績を見ていくと
3/4月…出場なし
5月…3打数0安打
6月…44打数10安打 (打率.227)、ホームラン0本、5打点、OPS.565
7月…41打数11安打 (打率.268)、ホームラン3本、8打点、OPS.973
8月…47打数12安打 (打率.255)、ホームラン1本、8打点、OPS.731 盗塁1
9月…41打数15安打 (打率.366)、ホームラン3本、13打点、OPS.991
と、尻上がりに状態を上げてきていたことがわかります。
右ひざという、打つ時にも走る時にも使う部位に大きなダメージを負ったことで、今シーズンはなかなか昨年並みのパフォーマンスさえできていませんでしたが、9月の結果を見るともう大丈夫なのではないかなと思います。
10月7日から始まるフェニックスリーグのメンバーには入っていないというのは一つ気がかりなところではりますが、来年以降の活躍に期待したいですね。
盗塁
盗塁についても、記録している選手が多いため、上位勢のみの紹介とさせていただきます。
1. 小森航大郎 24個 盗塁成功率.828
2. 並木秀尊 14個 盗塁成功率.933
3. 伊藤琉偉 11個 盗塁成功率.647
4. 岩田幸宏 10個 盗塁成功率.667
5. 丸山和郁 9個 盗塁成功率.692
5. 増田珠 9個 盗塁成功率.818
※参考URL:https://baseball-data.com/stats-farm/hitter2-s/tpa-1.html
チーム内盗塁王である小森が、見事イースタンリーグ全体での盗塁王にも輝きました!
小森は今年が高卒3年目シーズンで、過去2年は正直あまりパッとしない、粗削りな選手という印象だったのですが、今シーズンは持ち前の身体能力を存分に発揮し、ファームではありますが見事タイトルを獲得しました。
小森がここまで盗塁数を伸ばせた理由として、走塁技術の向上はもちろんなのですが、それとは別に「塁に出ることができるようになった」ことが考えられます。
昨年の小森は打率.230、出塁率.288と出塁率さえ3割にのっていない選手でしたが、今年は打率.252、出塁率.301と打率を向上させ、出塁率を3割に載せてきています。
さらに今年の小森は打率を上げただけでなく、三振をしない打者へと変貌を遂げています。昨年まで.229あった三振率が、今年はなんと.096と、10回打席に立っても1回三振するかどうかわからないという打者にまで成長しました。
三振をしなくなったことでインプレーの回数が増え、ゲッツー崩れや相手のエラーなどの出塁率には反映されないような出塁回数が増え、結果として盗塁を仕掛ける機会が増えています。
また、小森自身が盗塁が増えた理由について、インタビュー記事で「今年は情報を整理して、準備をしてスタートが切れるようになりました」とコメントしています。
その小森のコメントを象徴するようなシーンが、盗塁ではないのですが、7月27日の日ハム戦でありました。
戸田ウォッチャーの中には、このプレーをPlay of the Seasonに選ぶ人も多いのではないでしょうか。
このプレーについて背景を含めてもう少し説明すると、まず1アウトから四球で塁に出た小森が次打者太田の初球から盗塁を仕掛けて成功させます。
1アウト2塁、カウント2-1となったところで、太田の打った打球はセンター奥深い飛球となり、これに対して江越が逆向きになりながらスライディングしてキャッチするというスーパープレイを見せました。
小森は江越がキャッチしたのを見て3塁にタッチアップします。ボールは江越からカットマンに送られて、普通ならこのまま2アウト3塁で次の打者を迎えるということになるのですが、ここでカットマンが内野への送球を山なりにしてしまいます。
すると、それを見た小森が三塁もけってホームに突入。日ハムの守備陣もバックホームするもセーフとなり、スワローズがサヨナラ勝ちを収めました。
もちろん、一連のプレーは3塁コーチャーである河田コーチの指示があったかと思われますが、指示に対して自分の状況がわかっていなければ躊躇してもおかしくない場面です。ここで一気にサードを蹴ってホームに突っ込んだということは、小森自身も周りの状況が分かっていたということでしょう。
今シーズンの小森は、こういったギリギリの走塁判断が必要とされる場面で何度もチャレンジを成功させてきました。
それはもちろん、自分の走塁技術に自信を持てるようになったからなのでしょうが、走塁技術の向上と生来の思い切りの良さがうまく嚙み合って、走者として難しい場面を任せられても結果を残せる、走塁のスペシャリストとしての道を着実に歩んでいるように見えます。
小森は、並木ほどの足の速さはありません。走塁技術についても、プロから見ればまだまだ伸びしろだらけなのかもしれませんが、この瞬間的な判断の良さは、小森がこれからプロの世界で戦っていく中で間違いなく強みになるはずです。
ただ、小森は守備に課題があって、驚くようなスーパープレイをすることもあるのですが、自分がセカンドベースを踏めばいいところをわざわざトスしてゲッツーをオールセーフにしたり、そこまで焦るようなタイミングではないのに一塁への送球を逸らしたりと、時折集中を欠いたかのような雑なプレーをするといったことがあり、1軍でセカンド・ショートいった内野の守備の要のポジションを任せるにはまだ一抹の不安があります。現状、「内野のリトル塩見」です。
来季は守備の安定感を向上させ、1軍のセカンドのスタメン争いに加わってほしいです。
OPS
野手部門の最後はOPSになります。OPSとは、出塁率と長打率を足した数字で、この数値が高いほど打撃面での貢献度が高いとされています。
ただ、OPSはある程度出場機会がないとすごい数値(サンタナとか。2軍とはいえOPSが「2.500」っておかしい)が出てくることがあるので、ここでは規定打席の1/3以上の打席に立った選手に絞りたいと思います。
1. 丸山和郁 .854
2. 岩田幸宏 .817
3. 澤井廉 .798
4. 山崎晃大朗 .748
5. 増田珠 .714
※参考URL:https://baseball-data.com/stats-farm/hitter3-s/tpa-5.html
※確認できた限りではありますが、イースタンリーグにて規定打席の1/3以上の打席に立った選手で最もOPSの数値が高かったのは、日本ハムファイターズの野村佑希で、1.059でした。
4位に今シーズンでの引退を表明した山崎晃大朗がランクインしています。
今シーズンの山崎は、確かに1軍ではらしくないプレーがありましたが、2軍では8月の月間成績が打率.326/OPS.911、9月の月間成績が打率.311/OPS.829と、なかなか調子の上がらない打線を牽引してくれている存在でした。
改めて、山崎がこの9年間でチームに残してくれた功績に感謝したいと思います。山崎、本当にありがとう。またいつかどこかで会いましょう。
ランキングに入っている丸山和郁、岩田、増田珠といったところは、1軍で名前を見るメンバーです。
丸山和郁はXで話題になりましたが、8月末に二軍に降格してから打率.333、ホームラン3本、OPS.880(手元集計なので間違ってるかも)と打ちまくり、規定打席の1/3以上の打席に立った選手という限定にはなりますが、見事(私の個人的なランキングではありますが)戸田のOPSランキング1位に輝きました。
今年の丸山和郁は、オープン戦では打率.143と結果は出ていませんでしたが、3月中旬に2軍に合流してからはストレートに対して強い打球を弾き返せるようになりギリギリで開幕1軍の座を射止めると、4月には1軍で月間打率.421をマークし、6月21日まで1軍で打率.300以上を維持し続けました。
5月に入ってから徐々に調子を落としはじめ、そこからなかなか調子を上げることができずに8月末に二軍降格となったわけですが、良い状態のときであれば1軍でも自分のバッティングが通用することがわかったのは、本人にとっても自信になったはずです。
課題は本人も自覚している通り、「調子を落としたときにどうすればまた調子をよくすることができるのか」という点になります。
2軍に戻った途端調子を取り戻したことを考えると、2軍の調整の仕方に何かしら丸山の打撃の調子を回復させるヒントがありそうで、来年こそは調子を回復させるキーとなるものを掴んで1軍のレギュラーを奪取し、スワローズでは青木宣親以来のシーズン200本安打を目指していただきたいです。
岩田はこの2年間、怪我に悩まされてきた選手でした。
バットコントロールについては2軍でも出色の出来で、プロ1年目の2022年は2軍で打率.275、2023年は打率.279と安定してヒットを打てていたのですが、当時はまだ同じようなタイプの山崎が元気で、山崎に代えて使ってみようと思わせるほどの成績ではなく、そこに怪我も重なり、なかなか支配下登録になれずにいました。
育成契約3年目、もう後がない中で始まった今シーズンは2軍キャンプからスタートとなりましたが、3月のイースタンリーグとオープン戦での猛アピールが功を奏し、3月31日に支配下登録と1軍への昇格を勝ち取ります。
その後1軍ではあまり活躍できていなかったのですが、1軍からの「お手伝い」として出場した2軍の試合では相変わらず打ちまくり、3月と4月を合わせて打率.371と好調を維持。5月は調子を落としますが、1軍登録を抹消されて2軍に合流した6月は2試合連続猛打賞や3試合連続マルチヒットなどの離れ業を披露し、月間打率.352、OPS.882という成績を残しました。
7月4日に1軍に再昇格すると、そこから2軍に降格することなく、シーズン終盤を迎えています。
岩田は昨年までの2年間、「あと一歩」のところで色々な不運が重なり支配下登録を逃し続けていましたが、今年になり打撃に力強さが加わったことで、打者としてまた一段レベルを上げたように見えます。
もはや打撃が2軍レベルでないことはこの3年間で証明済みなので、丸山和郁同様、来年は1軍のレギュラー取りを狙って頑張ってほしいです。
5位に入っている増田珠の今シーズンの2軍成績は、打率.267、ホームラン2本、20打点、盗塁9個、OPS.714と、そこまで目立った成績を残している訳ではありません。
ただ、盗塁の数はそこまで多くない(9個)ものの成功率は.818(2回しか失敗していない)あったり、守備位置がセンター・ライト・セカンドとチーム事情によってコロコロ変わる中でどのポジションでも破綻なくこなしてくれたりとチームのために渋く光るプレーが随所にあり、何より内野でも外野でも自分の付近にくる強い打球への反応は素晴らしく、増田の守備によって助かった場面が幾度となくありました。
1軍ではライトを中心に外野での出場が多くなっていますが、1軍の外野はサンタナ以外にも西川や丸山和郁、岩田、並木、澤井と足や守備、長打力に特長を持っている選手が多く、また増田の球際の強さを生かすのであれば、来季は外野よりも内野、特に2軍で守備位置に着く機会が多かったセカンドで挑戦してみてはどうかな、と個人的には思っています。
守備、走塁ともに名手というほどではないけど欠点らしい欠点がないので、打撃で結果が出ると一気にレギュラー候補として名前が挙がってきそうな選手です。案外、山田の後継者は彼になるかも…?
勝利数
ここからは投手の個人成績の紹介になります。まずは勝利数の上位者の紹介です。
1. 阪口皓亮 9勝3敗 防御率 2.24 登板数 20試合 投球回数 100 2/3回
2. 松本健吾 4勝2敗 防御率 2.49 登板数 14試合 投球回数 50 2/3回
2. 原樹理 4勝4敗 防御率 3.44 登板数 26試合 投球回数 55回
2. 沼田翔平 4勝5敗 防御率 4.26 登板数 28試合 投球回数 61 1/3回
5. 山野太一 3勝1敗 防御率 1.22 登板数 11試合 投球回数 44 1/3回
5. 長谷川宙輝 3勝1敗 防御率 2.22 登板数 26試合 投球回数 28 1/3回
5. 高梨裕稔 3勝6敗 防御率 3.32 登板数 13試合 投球回数 57回
5. 清水昇 3勝1敗 防御率 4.50 登板数 18試合 投球回数 46回
5. 山下輝 3勝5敗 防御率 5.89 登板数 19試合 投球回数 55回
5. 竹山日向 3勝6敗 防御率 8.33 登板数 15試合 投球回数 35 2/3回
※参考URL:https://baseball-data.com/stats-farm/pitcher3-s/win-1.html
阪口、松本健吾、山野、高梨、清水、山下といった、戸田ヤクルトスワローズの先発事情を支えてきた面々がランキングに入ってきています。
松本健吾は2軍とはいえルーキーながら防御率2.49と一定の成績を残してくれています。速球はアベレージで140後半出ますし、フォークもいいものを持っているので、先発か中継ぎかの起用はどちらになるのかわかりませんが、来季のブレイク候補としての期待できます。
トヨタの先輩の吉野は2年目の後半戦から1軍の先発ローテーションで回っていい活躍をしているので、松本も彼に続いてもらいたいです。
また、山野は11試合登板で防御率1.22と、2軍では段違いの成績を残していました。実際試合を見ていると結構ボールが散らかっていた印象なのですが、WHIPが0.99と1イニングに一人走者を出すかどうかというところで、2軍ではやはり別格だったといっていいでしょう。
清水、山下は共に厳しいシーズンとなりました。
特に清水は、シーズン途中から先発起用になったのですが、直球のアベレージが140中盤のときもあれば140くらいの時もあり、安定していい出力を出せていないのが少し不安です。フォークは先発でも相変わらず空振りが取れていて、出力事情さえ改善すれば先発でも中継ぎでもやれそうではあります。来季の起用がどうなるのかに注目です。
山下は春季キャンプの練習試合では社会人野球チームのエイジェック打線につかまり、春先もかなり出力が寂しい投球をしていましたが、夏場から徐々に出力が回復してきていて、9月には最速を145キロ、アベレージでも140キロ前後まで出るようになりました。
イースタンリーグの最終登板となった9月28日のオイシックス戦では5回無失点、被安打3、奪三振4、与四球0の投球を見せてくれています。
山下は来年が4年目。山野が4年目で2軍レベルでは図抜けた投球ができるようになったように、山下も来季こそは2軍レベルを卒業し、また1軍で投げてくれることを願っています。
さて、これまで松本健吾、山野、清水、山下と戸田ヤクルトスワローズの先発陣を紹介してきましたが、今年の戸田のエースと言えばチーム内最多勝である阪口です。
阪口の9勝はイースタンリーグ全体での最多勝でもあり、さらに阪口は防御率、勝率でもイースタンリーグのトップになっていて、今シーズンのイースタンリーグの投手三冠に輝いています。
今シーズンの阪口は春季キャンプから動く球をストライクゾーンに集めて打ち取るピッチングスタイルに挑戦してきて、2軍ではそのスタイルで結果を残すことができています。今季の戸田ヤクルトスワローズで1試合あたりの平均投球回数が5回を超えている選手は阪口だけです。
ただ、1軍登板では2試合に先発して防御率10.80と大変厳しい結果となり、7/28を最後に1軍での登板機会はありませんでした。
イースタンリーグの最多勝を獲得したのもずっと2軍にいたからで、先発陣にかなりの課題を抱えているスワローズ投手陣にも関わらず、8月9月と1軍での先発機会がなかったのはあまりよろしくない兆候です。
2軍の成績から見る現在の阪口の欠点は「空振りを奪う能力が低い」ことです。奪三振率5.10は、戸田ヤクルトスワローズのチームにおいて下から6番目の成績でした。
2軍でのWHIP(1回で平均何人のランナーを出すか)は1.13と優秀な部類なのですが、打ち取ることは多いけど三振が少ないということは、単純にそれだけ阪口が投げたボールがバットに当てられているということでもあります。
2軍だとそれでも今の球威でも打ち取れるのですが、1軍の打者は2軍の打者よりも打球速度が速いので、これまでゴロアウトやフライアウトとして取れていたものがヒットになったり長打になったりして、良い結果が出なかったと考えらえます。
阪口のようなスタイルの選手は、奪三振率が5点台だと2軍でWHIPが1.10では1軍で活躍できるか微妙なところで、現在のスタイルのままでいくのであれば2軍でのWHIPは0.90くらいが目安なのかなというのが、今季を振り返っての私の所感になります。
来季、阪口が1軍で活躍するためには、1軍の打者相手でも打ち取れるほどの球威を身に着けるか、打ってもなかなか飛ばないところに投げる制球力を身に着けるか、三振を取る能力を身に着けるかのどれかになります。
来春のキャンプ・オープン戦では、阪口のWHIPの数字や奪三振率を気にしながら見てみると、成長が分かって面白いかもしれません。
奪三振率
次に紹介するのは奪三振率のランキングです。
戸田ヤクルトスワローズの中継ぎ陣を紹介するのに登板数と迷ったのですが、奪三振率(その投手が9回投げたときにどれくらいの三振を奪いそうか)の方が選手の能力が分かりやすいかと思い、今季の戸田ヤクルトスワローズで投球回数が15回以上の選手で、奪三振率が高かった選手を紹介します。
1. エスパーダ 奪三振率 12.79 防御率 0.95 WHIP 0.95
2. 長谷川宙輝 奪三振率 9.53 防御率 2.22 WHIP 1.02
3. 丸山翔大 奪三振率 8.64 防御率 1.80 WHIP 1.08
4. 下慎之介 奪三振率 8.04 防御率 5.46 WHIP 1.75
5. 今野龍太 奪三振率 7.94 防御率 2.65 WHIP 1.26
※参考URL:https://baseball-data.com/stats-farm/pitcher3-s/win-1.html
※イースタンリーグで一番高い奪三振率の投手が誰だったのかはわかりませんでした!すいません!気になる人は各自で調べてみてください!
奪三振率のトップはエスパーダで、奪三振率12.79は1イニングで必ず1つ以上の三振を奪っている数値になります。
6月中旬まで1軍にいたものの、6月16日に1軍登録を抹消され、それからシーズンが終わるまで戸田のブルペンを支えてくれました。
戸田でのエスパーダは球速のアベレージが150を超えるほどの力強さを見せていて、球威十分のストレートと落差のあるナックルカーブで2軍の打者をきりきり舞いにさせていました。
投球回数が19回で防御率0.95、WHIP0.95とファームでは圧巻のスタッツを見せていたものの、1軍でロドリゲスが中継ぎにハマったこともあり、なかなか1軍での出番がなかったのは不運としかいいようがありません。
来季の契約は未定とのことですが、ファームの成績を見るともう1年面倒をみても面白い存在であるような気がします。
今季はなかなかスプリット系統の落ち球がはまりませんでしたが、シーズン終盤にはチェンジアップの習得を目指していたということで、そのあたりの成長を期待して、来年もスワローズのユニフォームを着ているエスパーダを見たいです。
奪三振率2位の長谷川と3位の丸山翔大は、4月中旬に1軍に昇格して6月2日に二人そろって二軍に降格、そして8月10日に長谷川が、11日に丸山翔大が昇格するという、わざとしているのかというくらいに昇格と降格がシンクロしていました。
ただ8月に昇格してからは明暗がはっきり分かれ、長谷川は8月26日再降格となってしまいましたが、丸山翔大は1軍首脳陣の信頼を勝ち取り、レギュラーシーズン終了まで1軍帯同となっています。
長谷川は1軍でも左打者相手には被打率.216と結果を残していたのですが、右打者相手に.310で打ち込まれてしまいました。
9月に入ってからは2軍戦で腕を下げた新しいフォームに挑戦しており、この挑戦が左打者相手だけでなく右打者相手にも有利に働けば、来年大変貴重な存在になってくれそうです。
一方で丸山翔大は、春季の西都キャンプで試していた変化球が1軍の舞台でも効果を発揮しています。
二種類のフォークにカーブ、スライダーと球種の引き出しが多く、ストレートの球威もあるので更なるブレイクが期待できそうな存在です。
奪三振率5位の今野はエスパーダや長谷川、丸山翔大と違って今シーズンのほとんどの時間を戸田で過ごした投手で、セーブ数はチームトップの8、登板数32はチームで4番目に多い数字と、まさしく戸田の中継ぎ陣の屋台骨として働いてくれました。(因みに登板数1位は柴田大地で40試合)
以前の今野といえば140前半から中盤でも空振りを取れてしまうストレートが代名詞でしたが、今季はカットボールをうまく使えるようになり、そのカットボールで空振りを奪えるようになっています。
9月7日に今シーズン2度目の1軍昇格を果たすと、そこから4試合連続で無失点投球が続いており、生き残りに向けていいアピールができているようです。来年は今野の姿を1軍の舞台で多く見たいですね。
そして…奪三振率4位には今季で契約満了となった下慎之介がランクインしました。
下は奪三振率こそ上位なのですが、それ以上に四球を多く出しており、与四球率10.93はチームワーストの数値となっています。
ルーキーながらフェニックスリーグで完封投球、2年目はイースタンで4勝4敗、防御率3.42と着実に成長してきていたのですが、課題の制球難をなかなか克服することができず、昨年今年は中継ぎ起用の中で再起をかけましたが、なかなかうまくいきませんでした。
下はSNSでの発信がとても面白く、育成選手ながら多くのファンに愛されていた存在でした。
そんな彼のこれからの人生が幸多からんことを祈っています。
来季期待のブレイク候補たち
最後は、今季の成績は決していいものではなかったけれども、来年ブレイクの期待がかかる選手を紹介していきたいと思います。
〇 鈴木叶
鈴木叶の1年目のイースタンでの打撃成績は打率.196、ホームラン2本、20打点、OPS.483、三振率.226でした。
新人合同自主トレでは村上並みの大飛球を飛ばし、イースタンリーグ開幕直後の3月20日には第1号のホームラン、4月までは打率.284(74-21)と、「打てるキャッチャー」としての期待が高まりましたが、5月以降の打率は.136(110-15)と、結果としてはプロの厳しい洗礼を浴びるシーズンとなってしまいました。
シーズン開幕当初は早めのカウントから仕掛ける打撃で結果を残していたのですが、5月以降は疲れも出たのか早いカウントの球を仕留めきれなくなり、徐々に早いカウントから仕掛ける打撃もできなくなりと、悪循環に陥っていた印象です。
一方、守備面については、シーズン当初こそ不安定な部分がありましたが、徐々にプロの投手の球になれていき、シーズン後半は安定したキャッチング、ブロッキングを見せてくれていました。
また、盗塁阻止の技術についても、4月までは盗塁阻止率.250(※筆者集計)と苦しんでいましたが、5月以降は.478(23-11)(※筆者集計)と抜群のスローイング技術を見せてくれており、シーズン通算で.386(※筆者集計)という数字は、高卒ルーキーであると考えれば十分合格点を与えられるものだと思います。
鈴木叶にとってひとつ不幸だったのは、スワローズの捕手陣が開幕から故障続きで、十分な体作りもできていないまま3月から、しかも負担の大きなキャッチャーというポジションで、試合に出続けることになってしまったことかもしれません。
守備はかなりいいところまで来ていますし、打撃面についても、高卒ルーキーで1軍の公式戦に出場して2本もヒットを放つというのは、なかなかできるものではありません。
間違いなく「打てるキャッチャー」になれる素質を秘めている選手ですので、2年目となる来年を飛躍の年としてほしいです。
〇 西村瑠伊斗
西村瑠伊斗の2年目となる今シーズンの打撃成績は打率.226、ホームラン0本、26打点、OPS.538、三振率.256でした。
2年目の飛躍を期待された今シーズンではありましたが、持っているものからすれば正直ちょっと期待外れの成績だったかなという印象です。
ただ、打率・OPSともに1年目からは着実に上げてきており、三振率については6分以上ダウンと、成長は見せてくれたシーズンだったかと思います。
西村の打撃の課題は「三振が多い」ことで、今シーズンも8月までは月間の三振率が.200を切ったのは6月の1回だけ(.196)だったのですが、9月は三振率が.121(66-8)と、シーズンの最終盤を迎えてこれまでとは違った成績を残してくれたのは、来季に向けてのポジティブな情報になります。
また、西村の打席を実際に見ていると、流して打った打球が思ったより伸びる傾向があることに気づきます。まだまだ線が細いのでオーバーフェンスとまではいってないですが、これからしっかり筋肉をつけて飛ばす力が増していけばすごい成績を残すポテンシャルを持っているはずで、来年はまずは2軍で打率.300に近い成績を残してもらいたいです。
〇 北村恵吾
北村恵吾の2年目となる今シーズンの打撃成績は打率.259、ホームラン2本、21打点、OPS.699、三振率.130でした。
2年目の今季は昨年からホームラン数こそ大きく減らしましたが、打率、OPS、三振率については昨年度よりも数値が向上しています。特に出塁率について、昨年は.299だったのが今年は.339まで上げており、これは打率の上げ幅より大きいものとなっています。
なお、昨年よりも打率が上がり、ホームラン数が下がったということで、今季はコンタクト率を重視した打撃をしていたと言えますが、昨年よりも打数が減ったにも関わらず二塁打の数は昨年を超える16本打っており、実際に試合を見ていても角度がついた打球は出ているので、長打を打つ能力が大きく落ちた印象はありません。
また、北村恵吾といえば増田と並ぶ戸田のユーティリティ選手で、今季はサード、ファースト、セカンドの他にレフトにも挑戦しています。
セカンドの守備はそこまで広い印象は受けませんが、サードとファーストについては一定以上の守備力がありそうですし、何よりあまり練習をしたこともないであろうレフトの守備をそこまで練習をしている訳でもなさそうなのにできてしまうところに北村恵吾の器用さが表れています。
来年は大卒3年目ということで、そろそろ1軍である程度の出場機会を掴みたいところです。
1軍のサードには村上、ファーストにはオスナ、セカンドには山田、レフトにはサンタナと競争相手がかなり強烈ではありますが、持ち味の打棒はドラフト時に有識者から「(中央大学の同級生である)森下より飛距離だけなら北村恵吾の方が上」と評されたことがあるほどで、そこに今季でコンタクト率の能力を向上させてきたと考えると、来年いきなりブレイクしてもおかしくない打者といっていいでしょう。
〇 石原勇輝
石原勇輝の1年目のイースタンの成績は25試合、22 1/3回を投げて防御率6.04、0勝2敗、WHIP 2.19 奪三振率 7.66 でした。
2023年のドラフト3位入団ということで即戦力投手の期待をかけられていましたが、8月中旬ごろまで制球に苦しみ、また球速も140前半と、なかなか大学時代に見せていた投球がプロではできずにいました。
しかし8月も末になったころから徐々に制球が安定してきて、出力も140中盤をコンスタントに出すようになり、9月だけだと5試合、4回を投げて防御率2.25、奪三振率は驚異の11.25を記録しています。
8月末からの2軍での調子の良さが認められたのか、9月20日には1軍に初昇格し、9月22日のDeNAベイスターズ戦にてプロ初登板を飾っています。先輩方の守備のまずさもあり1回を投げて1失点、投球内容もそこまで上々とはいえない内容ではありましたが、春先は1軍で投げているところが想像できないほどの出来だったので、たった数か月でちゃんと1軍で投げられるまでに修正してきたことは評価できるのではないかと思います。
シーズン終盤の石原はクロスファイアーの精度が素晴らしく、2軍戦では右打者、左打者関係なく三振を奪っていました。また、2軍ではスライダーとチェンジアップの二つの球種はある程度制球できており、今オフにしっかりとトレーニングを積めば、来季は開幕から1軍に入る可能性のある投手です。
〇 竹山日向
竹山日向の3年目のイースタンの成績は15試合、35 2/3回を投げて防御率8.33、3勝4敗、WHIP 2.05 奪三振率 3.03 でした。
竹山は、今季のスタッツはあまり見栄えのするものではありませんが、実際の試合の投球を見ると印象の変わる投手です。
シーズン序盤は制球も球速の出力も安定しない試合がありましたが、シーズン終盤になるについれて制球が安定してきて、先発で投げてもストレートのアベレージは140後半と、チームのエースになれるポテンシャルをついに発揮し始めています。
とはいえ課題はいくつかあって、その中のひとつが「決め球となる変化球がない」ことです。竹山は今シーズンのほとんどの試合で、ストレート・スライダー・ツーシームの3球種というか、ストレートとスライダーのツーピッチで投球を構成していたのですが、変化球の精度があまりよくないので変化球を打たれることがありましたし、追い込んでも変化球で打ち取れずにカウントを悪くして、打者にストレートに狙いを絞りこまれ打たれるといった光景も見られました。
先発なのにほとんどストレートとスライダーのツーピッチなので、流石にそれでは2軍といえども抑えるのは厳しいのかもしれません。
竹山もそのあたりの自覚はあるのか、イースタンリーグで今シーズン最後の登板となった9月29日の試合では前述した3球種の他にチェンジアップも投げるなど、先発として長いイニングを投げるための変化球の取得を始めています。(個人的には竹山のツーシームは利き手側の低めのコースにうまく落ちるので、これをもっと改良させても面白いのではないかなどと妄想しています)
大学3年生の秋でストレートのMaxが152でアベレージが140後半あればドラフト上位候補として名前が挙げられるはずで、そういった意味では竹山の育成は順調に進んでいるように思います。信じて待ちましょう。
〇 坂本拓己
坂本拓己の2年目のイースタンの成績は11試合、20回を投げて防御率8.10、0勝2敗、WHIP 2.10 奪三振率 5.85 でした。
坂本も竹山と同様に、今季見栄えのするスタッツを残した訳ではありませんが、今季は高校時代のmax147キロを4キロ更新する151キロを記録し、次世代の髙橋奎二になりえる逸材です。
更に坂本はスライダーやチェンジアップといった球種で空振りを取ることができる投手で、彼の投げるチェンジアップは春のキャンプの段階で首脳陣から高い評価を受けていました。
ただ、彼にはひとつ大きな課題があります。「スタミナ」です。
今季のイースタンリーグでも、初回は素晴らしい球威と変化球のキレで相手打者を圧倒することが多いのですが、2イニング目、3イニング目と回を重ねるごとに球威が落ちていき、140にも満たなくなることがありました。
また、制球面でも今年は安定感を欠き、ほぼ投球回数と同じくらいの与四球数を出しています。
スタミナが万全のときに投げているボールはすごいものがあり、生で見ると感動するレベルなので、今オフでしっかり体作りを行って、来年こそは長いイニングを素晴らしい球威のまま投げる坂本拓己の姿を見せてほしいです。
終わりに
「ざっくりふりかえってみる」と書きながら2万文字近く使ってしまいました。果たして、この「終わりに」までたどり着けている方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか…。
これまで各種成績を通じて、今季戸田ヤクルトスワローズで活躍してくれた選手たちを紹介してきましたが、他にも髙野や伊藤琉偉といったルーキー内野手コンビに、ここ数年ずっと私の推しである金久保や話題の育成1位投手の翔聖など、楽しみな選手がたくさんいます。
そんな戸田ヤクルトスワローズの選手たちが宮崎の地で熱く戦うフェニックスリーグが10月7日より開幕します!
この記事を見て興味を持った方は、ぜひとも見に行ってみてください!
そして速報していただけると大変ありがたいです!(私利私欲…)
昨年、今年と2年連続で東京ヤクルトスワローズはあまりよくない成績となってしまっていますが、来季こそはこの記事で紹介した選手たちが躍動し、3年ぶりのセリーグ制覇、そして4年ぶりの日本一を勝ち取れることを祈念してこの記事を終わりたいと思います。
ここまで長文をお読みいただきありがとうございました。
※この記事を書くにあたって参考にしたサイト
東京ヤクルトスワローズと戸田ヤクルトスワローズについてのデータをまとめている神ブログです。
「こんなデータありますか?」と質問すると出していただけることもあり、いつも本当に助かっております。
ブログにコメントするときは「コメントルール。」の記事をよく読んで、管理者様とその読者の方が不快にならないように気をつけましょう。
ネチケットを守って豊かなインターネットライフを!
週ベの選手名鑑は過去の2軍成績が見やすいので重宝しております。
ド定番サイトですね。OPSやWHIPなどはここから参照しました。
スワローズの公式HPのこのページ、結構見やすくて好きです。ホークアイで取得したデータの公開、再開してくれー!
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