2024東京優駿 全頭診断詳細編

枠順確定したので、Twitterに掲載したのを改めてまとめ直してここに載せます。文字数的に書けなかった辺りも詳細に書いてありますので是非。


1 サンライズアース〈総合評価A〉

タイプ:パワー持久力型
枠○
距離◎
条件△
上積み◎

 すみれSは3コーナーから大外を押し上げながら捲っての押し切り勝ち。ゴール後も勢いが余っていたようにスタミナ面では一切の課題を見せません。
 課題となるのはスピード面。ここまで3走の上がり最速は35.0。兄セラフィックコールがダートで活躍しているように、この馬もダート馬である可能性は高そうです。
 決め手に欠ける中で最内枠を確保できたのはむしろプラスに感じられます。外枠の方が良かったという意見もありますが、これまでは小回りでスタミナを活かす競馬をする際に外をぶん回すのが都合良かっただけでしょう。大箱替わりはこの馬の跳びの大きさを補完する材料になります。とはいえ内の差しでは動きにくいのでペースには左右されますが、基本的には好枠と捉えたいところ。
 前走の皐月賞は12着。「4角の不利があるとはいえ負けすぎ……」という認識があるのはむしろ好都合かと。勝負圏外に逸れるとあっさり諦めるミルコらしく、直線では流すだけで全く加速させていません。その中で12着まで盛り返してくる脚力があるとしたら、この敗戦が減点材料にはならないはずです。高速馬場への対応もある程度示したという点では収穫のある一戦でしょう。
 前述の通り、決め手は足りませんがスタミナに溢れるタイプでの距離延長。加えてロスなく回って来られる最内枠を確保できたということで、極端に上がりを問われない流れになれば台頭できると考えます。

2 レガレイラ 〈総合評価A -〉

タイプ:スピード瞬発力型
枠△
距離○
条件○
上積み◎

 前走の皐月賞で時計的限界を露呈したという意見には一理ありますが、そもそもスタートから消極的な競馬になっていたことには留意したいところ。
 スタートで横の馬に接触して後手を踏み、スタンド前の位置取り争いで周りを囲まれると後方3番手に収納されています。この位置より後ろにいたのはエコロヴァルツとビザンチンドリームの2頭ですが、前者はスタートから最後方ポツンを意図して控えており、後者は大出遅れでそもそも位置取り争いには参加すらしていません。故に、実質最後方と言っても差し支えない位置から運ばざるを得なかったと考えて良さそうです。
 馬群の中ではもたついて加速できないのでもう少し外が欲しかったようにも感じられますが、2番枠ならむしろ直線で前が開くまで待つお祈り騎乗に切り替えそう。脚力が断トツ抜けているわけではないので勝つまでは微妙ですが、2〜3着辺りを堅実に狙ってくる辺りまでは警戒したく、決して消せる人気馬ではありません。

3 ジューンテイク〈総合評価A〉

タイプ:パワー持久力型
枠◎(騎乗次第で△)
距離◎
条件△
上積み○

 前走の京都新聞杯は最内枠から思い切った先行策を取り、これが見事に功を奏した形。中盤で12.7-12.6とラップが緩んだところの恩恵を受けたことは否めませんが、ラスト3Fが11.2-11.3-11.3と持続力を要求する中で目立った伸び脚を使っていたことには上積みの余地を感じさせます。
 今回の2枠3番は2匹目のドジョウを狙える枠です。すみれS、若葉Sでも見られたように馬群で上手く加速できないので内のポケットを確保することが好走要因になります。ただ、日和って中団に収まりに行くことも考えられなくもないので騎手がどこまで攻められるか次第でしょう。

4 ビザンチンドリーム〈総合評価C〉

タイプ:パワー持久力型
枠×
距離○
条件△
上積み△

 吉田和美氏の所有馬ということで何かしらの「曰く付き」物件であるというのは察せるところですが、この馬の場合は爆発力と気性の難しさが表裏一体になっています。
 デビューからの3戦で出遅れ癖が改善される気配がなく、むしろ悪化する一方。本質的にはスピード型である可能性もありますが、追走に参加できない時点で時計勝負に参加することはまず不可能でしょう。
 さらに出遅れることが原因で馬群での競馬も経験できたことがありません。唯一経験可能だった初戦において、前に馬が入ってくると進みが悪くなって1コーナーを回る時点で外に持ち出す動きをしている以上、揉まれる競馬も得意ではないと考えられます。

5 ダノンデサイル〈総合評価B〉

タイプ:パワー持続力型
枠△
距離○
条件○
上積み△

 これまで勝利した2戦の位置取りは、共に外の2番手と大外4〜5番手ということからプレッシャーがかかる位置は良くなさそう。さらに新馬戦や京都2歳Sで脚を使ったのはいずれも馬群で前が開いてからのことと考えると、やはり多頭数の内枠は課題になり得るところです。
 除外明けということも少し引っかかるところですが、最も気になるのは時計実績に欠けること。大箱向きに見えますし潜在能力は高そうですが、ダービーで買えるかと言われると少し割引きたいと考えてしまいます。

6 コスモキュランダ〈総合評価C〉

タイプ:スピード機動力型
枠○
距離○
条件△
上積み×

 前走の皐月賞がまさしく神騎乗。スタートからスムーズに内を確保し、3コーナーで押し上げていくところでは外に持ち出して一切のロスなく全能力を発揮し切ってみせています。
 今回はこの前走を超えられるかと言われると明らかに厳しいでしょう。ロングスパートを外からぶち抜いた弥生賞の内容からしても弱いということはあり得ないのですが、コーナーからの機動力を活かしたい馬の特性は中山コースと相性抜群。裏返すと直線勝負に賭ける東京コースでは相性が良くありません。「前に行って粘り込む形なら…」と考えることもできますが、それを実行したデビュー2戦目では2000m戦でかなりの前進気勢の高さを見せていたことからその時に距離を持たせられるかは微妙でしょう。

7 ミスタージーティー〈総合評価C〉

タイプ:パワー機動力型
枠○
距離◎
条件×
上積み△

 皐月賞で明らかに時計的限界を露呈。若葉Sは割と悪くない内容なのですが、これはスローペース。年末の中山2000で行われていたホープフルSでインの差しからかなり見せ場を作っていたように、パワー型かつ機動力優勢というのが本質。これはダービーの求める適性とは真逆です。

8 アーバンシック〈総合評価S〉

タイプ:スピード持続力型
枠◎
距離◎
条件◎
上積み◎

 待望の左回りがダービーの舞台で巡ってきました。
 皐月賞ではスタートに若干の改善が見られましたが、横のレガレイラと接触する形になり、ゴチャついた中でポジション取りにスムーズさを欠いています。この前提で距離延長となれば、ある程度のポジションは取れると考えて良さそう。追走に余裕が出る点でも2400mに替わるのは良いでしょう。
 何より左回りに替わるのが最高。今年使った中山の2戦ではいずれも直線で内にささる悪癖を見せていました。東京適性も高く、百日草特別では後半5Fが12.2 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.3と加速し続ける流れを大外から一気にぶち抜いています。さらに直前調教は左回りで圧巻の動き。騎手騎乗とはいえラスト3Fで13.8-12.3-10.9と急激な加速を踏んでおり、態勢は整ったでしょう。

9 ダノンエアズロック〈総合評価A-〉

タイプ:スピード持続力型
枠○
距離△
条件◎
上積み○

 血統的に距離適性が微妙なところ。モーリスの行きっぷりの良さが出ているので折り合い面が課題でしょう。初戦でダミアン・レーンが今後の教育を放棄し、好スタートから1800mをワンペースに運んだ以後3戦は自身の前進気勢と戦う競馬が続いています。この中で今回も騎乗するモレイラが乗った2戦では上手く折り合えているので流石というほかありません。
 しかし、この2戦がワンターンであることは注意すべきところ。加えて距離延長も課題であり、鞍上の手腕をもってして対応できるかは未知数です。東京適性は高いので距離さえこなせれば十分勝ち負けに加わる可能性はあります。現に骨折明けで臨んだプリンシパルSはほぼ流すだけなので、パフォーマンス自体の上積みはないこともないという程度。

10 サンライズジパング〈総合評価B〉

タイプ:パワー瞬発力型
枠○
距離○
条件△
上積み○

 これも高速馬場への対応力は低いので、前に行ってどこまで踏ん張れるかといったところ。少しでも距離が伸びて割と追走できるようになるのは良い材料。また器用さにも欠けており、皐月賞は終始最内を通っていながら手が動きっぱなし。大箱替わりも良いでしょう。

11 シュガークン〈総合評価B〉

タイプ:パワー瞬発力型
枠○
距離◎
条件△
上積み△

 今回逃げるとしたらこの馬でしょうか。前走の青葉賞はスタートから押していて逃げそうな雰囲気を醸し出していましたが、外から来たパワーホール、ウインマクシマムが速くてこれらに譲る形で番手を確保。
 ただ、今回は何が何でもという同型が不在。2走前の大寒桜賞では大外枠から先手を主張していたように「誰も行かないなら……」というところで主張することは考えられるのではないでしょうか。前走や2走前同様の超スローペースに落とせれば今回もノーチャンスとは言えませんが、逃げるとするならこれまでの経験の乏しさがネックに。60秒を切るペースで追走したことがないのは少し厳しいような気がします。

12 シックスペンス〈総合評価B〉

タイプ:スピード瞬発力型
枠○
距離△
条件○
上積み○
 前走は追い風参考とはいえラスト2Fが10.9-10.8の流れ、超スローペースをただ1頭突き抜けたところは見過ごせません。負かした相手がルカランフィースト(皐月賞8着)、チャンネルトンネル(NHKマイルC6着)ということを考えてもレース単体の評価としては高く見積もって良さそうです。
 ただし、中山のマイルしか使っていないこと、マイルを使っている割には速いペースの追走がないところは不安材料。そのうえ、先行力が高く前進気勢が高いところを考えると初の東京、しかも2400mに対応できるかは微妙です。

13 シンエンペラー〈総合評価A〉

タイプ:パワー持久力型
枠○
距離◎
条件△
上積み◎
 この馬に関しては中山の適性が疑問だったところ。ホープフルSでは直線で1頭になったところでソラを使っていたのが直接の敗因でしょうが、今春の弥生賞や皐月賞でも直線で伸びを欠いていたことを考えると坂適性が低い可能性があります。
 そう考えると東京のダラダラ坂に変わるのは+。さらに、皐月賞では序盤の先行争いで置かれていたことから積極的な競馬を志向するとしても距離延長は良いでしょう。

14 ゴンバデカーブース〈総合評価B〉

タイプ:パワー持続力型
枠◎
距離△
条件○
上積み○

 「内枠が好走に必要」と某Youtuberは言っていましたがこの馬に内枠は水と油。というのもゴンバデカーブースをはじめとするブリックスアンドモルタル産駒は馬群での競馬を嫌うからです。テラメリタの戦績なんかがわかりやすいと思います。(初戦→逃げて快勝、2勝目→最後方大外ぶん回し)
 これを考えると外枠は待ち望んでいた条件なのですが、課題はスタミナ面。母アッフィラートは1600~1800mで4勝、この馬の1歳年上にあたる初仔アクートゥスも1400~1600mで2勝を挙げているように適性はマイルにありそうです。わざわざ位置を取りにいくようなことはしないと思うので、極限まで溜めを効かせればなんとか対応できるかもしれませんが……。

15 ジャスティンミラノ〈総合評価S〉

タイプ:スピード持続力型
枠○
距離◎
条件◎
上積み◎

 共同通信杯で序盤から促す競馬を試したことで皐月賞では序盤の先行争いでも楽に追走できていました。この馬にとって厳しかったのはコース形態。長い直線での持続力勝負では強みを発揮できる馬ではありますが、コーナーからの機動力勝負はこれとは真逆の適性が問われるのでこれをこなせるかが課題でした……が、これも地力でねじ伏せてしまいました。直線で叩き合いを演じたコスモキュランダ、ジャンタルマンタルはこの手の勝負に強いタイプということを考えても能力の高さは否定できません。
 この馬と似たような状況にあった先週のステレンボッシュは落鉄が影響したとはいえ、直線で広いところに出したい持続力タイプで囲まれる形になったのが直接の敗因です。このことを加味すると、Cコース替わり初週だとしても囲まれる不安がない15番枠は悪くありません。しかも外から吹っ掛けてきそうなメイショウタバルが取消になったということも追い風。

17 ショウナンラプンタ〈総合評価S〉

タイプ:スピード持続力型
枠○
距離◎
条件◎
上積み○

 青葉賞からの臨戦はシュガークンと同じですが、こちらはむしろダービーでペースが速くなって良さそうなタイプ。初戦は高速馬場で11.8 - 11.3 - 11.6 - 11.7と4ハロンのロングスパートを踏む中、大外を回しながら余裕を持って突き抜けており、持続性能の高さは折り紙付きです。
 後方一気に賭けるタイプと言っても高速馬場への対応力は問題なさそう。それなりに出していったホープフルSはむしろ勢い余って行きたがっていたように、あえて後方追走に徹してスピードを余しながら運ぶのを選択しているのがこの馬のケースと考えられます。

18 エコロヴァルツ〈総合評価B〉

タイプ:パワー持久力型
枠△
距離◎
条件△
上積み○

 上がり最速を踏んだ皐月賞の内容は一見狙えそうに見えますが、真相は最後方一気に賭けてひねり出した上がり33.9であって、勝ちに行く競馬をして上積みを期待できるかと言われれば厳しいでしょう。共同通信杯では明らかにキレ負けを起こしているので現時点の東京の馬場では厳しいように見えます。ただし、距離延長は間違いなくプラスなのでその分の上積みは期待できそうですね。

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